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歓迎会

 俺は朝目覚めると、花恋に挨拶をして、出かける準備をする。今日は学校は休みで土曜日だ。ボランティア部のみんなで約束していた日なので、入部して間もない俺が遅刻する訳にも行かないので、早めに出かけることにする。


 立花先輩が遅刻したら全裸で校内を逆立ちしながら一周させると言っていたので、それを回避するためでもある。普通の人が言うのであれば冗談だと思うのだが、立花先輩であれば本当にさせそうなので怖い。


 女の子にさせることは絶対ないと思うので、俺が遅刻しなければ想像しただけで地獄図のようなことをする心配は無くなる訳だ。それなら多少早く出ることになってしまうが、やむ得ない。


 俺の家から徒歩十五分程度掛かる駅前に到着した。時刻は十時三十分だ。集合時間が十一時なので、流石に誰もまだ居なかったが、分かりやすい場所にベンチがあるので、俺はそこに座り他のみんなを待つことにした。


 十分ほど経過すると、近づいてくる足音が聞こえたので、携帯電話から目線を逸らし、前を向くとピンクのスカートを履いた彩の姿があった。学校で会う時とは違い私服なので新鮮さを感じる。


「航、おはよう!」


「おはよう、服に合ってるぞ」


「あ……ありがとう。航も似合ってるよ!」


 少し頬を赤らめて言う彩。こうしてみると学校以外で会うのは久々な気がする。私服を見たのも何ヶ月前になるだろう。学校では話したりするが、学校外ではあまり会ったりすることは無い。付き合っている訳ではないので、当たり前だが。


「おはよう♪二人とも遅刻せずに来れたんだね!」


 彩と話をしていると静奈さんが到着した。白いワンピースを着ており、胸の部分に赤いリボンが付いている。普段の静奈さんのイメージとは違い、また違ったよさというものがある。


「待たせたな……我は今到着した」


 先輩の後ろからちょこっと顔を出す柊は、いかにも普段のイメージと同じと言った感じの服装で、子供らしさ……高校一年生より幼く見える服装だった。だが、子供のような可愛らしさがあり、似合っていた。


「おはよう♪後は六花だけだね」


「そうですね、立花先輩遅れずに来るといいですね」


「後十分程度あるし、流石に言いだしっぺだからくるよ。私が知る限り、立花先輩が遅刻した所見たこと無いよ!」


「我も無いのだ……皆でどこかに行くことが始めてのことなのだ!」


「わからないよ??案外六花は遅刻すること多いから。特に遊びに行くときは結構待ったことあるよ」


 俺はベンチから立ち上がり、女の子三人座ってもらう。ちょうど三人ぐらい座れる大きさなのでちょうどいいだろう。後十分程度と言っても、男の俺が座り、女の子が立っているという光景もよろしくない。


 集まっている四人で部活のことや、学校での出来事などで話しをして待っていると、約束の時間はすぐに来てしまった。こうしてみんなで話しをすることが、部室以外で初めてなので新鮮だが、こういう時間は嫌いじゃない。


 だが、一つ問題が発生している……。


「立花先輩来ませんね……」


「そうだね……自分から時間指定したのに遅刻するって……」


「そういえば、立花先輩が言ってましたよね、遅刻したら全裸で逆立ち校内一周させるって」


「我も聞いたのだ。それが怖くて絶対に遅刻しては行けないと思ったのだ」


 やっぱりみんな立花先輩のその言葉を意識して、遅刻しないようにと思ったようだった。立花先輩なら本当にさせそうだと思ったのだろう。


「これは六花にやってもらうしかないね♪全裸で逆立ち校内一周♪♪」


「楽しそうですね」


「航君は楽しみじゃない??六花がこれを聞いた時にどんな反応するか」


 少し、考えてみると答えはすぐに出てきた。


「楽しみですね」


「いつもこういうことを言うのは立花先輩だから、言うのは新鮮だよ」


 そんな話をしていると、十五分程度話をしていると、正面から立花先輩らしき人が姿を現した。立花先輩は少し驚いた様子でこちらに駆けてきた。


「あれ??待っててくれたの??ごめんなさいね」


「大丈夫だよ♪それより、六花自分で言ったこと覚えている??」


「ん??何の話??それよりどうして待ってたの??静奈にお母さん体調悪いから少し遅れるって連絡入れたのに」


「ふぇ??」


 静奈さんは急いで携帯を取り出すと、画面を見て舌を出してウインクした。


「ほんとだ、全然気が付かなかった……ごめんね♪」


 見る限り全く反省している様子はないが、静奈さんの姿を可愛らしいウインクを見ると、俺からは何も言えなくなった。俺達と話をしていたので、気が付かなくて仕方ないだろう。


「仙道先輩……全裸やりますか??」


「彩ちゃん全裸やりたいの??仕方ないな♪大丈夫だよ??ちゃんと彩ちゃんが逆立ち全裸で歩いてる所録画しておくから!!」


「彩はやりません!!は、裸は好きな人にしか見せないって決めてます……」


 そういう彩のほうから視線を感じたために振り向くと、頬を赤らめて恥ずかしそうにしている彩の姿が目に映った。なんとも言えない気分……申し訳なさ見たいなのを感じて、視線を逸らす。


「じゃ、今度みんなで温泉に行きましょう!桜さんの胸を揉んで大きくしてあげるわ」


 立花先輩が急に訳の分からない事を言い出した。手をワキワキさせながら彩の胸を揉む真似をして、悪いことを考えている顔をしている。中年のおっさんのような顔だった。


「訳が分からないです!!彩は別に胸の大きさに困ってません!!そういうのはつかさにしてあげてください!!」


 顔を真っ赤にしながら両手で自分の胸を隠す彩。彩の胸は大きくはないが、小さくも無いほどよい大きさだろう。勝手な想像だが。


「なんで我に振るのだ!!我は胸小さくないもん!!Eカップはあるのだ!」


 柊は頬を赤くしながら彩とは反対に胸を張る。だが、柊が言うEカップには男の俺から見ても程遠いのはわかる。彩より小さいだろう。


「ちちち、つかさちゃん!Eカップはそんな小さくないよ!!」


 柊に対抗して、静奈さんも胸を張る。だがそれは柊の物とは違い、大きな膨らみが強調されていた。静奈さんEカップなんだ……という言葉を胸の中で呟き視線を外す。


 あんまり見ていると立花先輩が絶対にからかってくるに違いないからだ。そういうの好きそうだし。


「くっ!悔しいけど勝てないのだ!!」


 柊も柊で、静奈さんの胸を見て、勝てないことをすぐに察し、地面に手を付いて悔しがっていた。


「私から始めたのだけど、駅前だからもう少し声小さくした方がいいわよ??みんなこっち見てるわ」


 確かに立花先輩から始めた物だが、先輩の言う通り周囲に目を向けると、何事かと駅を利用する人や、通りすがりの人達に見られている。


「「「ごめんんさい……」」」


 三人は周囲の人に見えるように頭を下げて、謝罪した。見ていた人達は再び動き出し、俺達もショッピングモールに向かうためにバス乗り場まで向かった。


 ここから目的地のショッピングモール……イ○ンまではバスで十五分程度だ。近所にある○オンは大きく、駅から専用のバスが出ているのでそれに乗る。


 料金は掛かるが、歩いていくには森を避けて行かないと行けないので、バスで行くのが一番早いだろう。ちなみに電車はイオ○まで通っていない。


 バスに乗り込み、立花先輩の隣に座った俺は、携帯を取り出すと声を掛けられた。


「ところで、まだ星野君とは連絡先交換してなかったわよね??」


「そうですね、部活の中で持っているのは彩ぐらいですね」


「何かあった時とか、部活の事で連絡出来ないと不便だから連絡先交換しましょうか」


「はい、わかりました」


 俺は携帯を開き、立花先輩に電話番号を教える。そうすると、いつも使用しているアプリでも連絡が取れるようになるからだ。


「ありがとう、また何かあったら連絡するわ。星野君からも何か私に用事とかあったら気軽に連絡してくれてもいいから。あ、エッチなのは無しね?」


「そんなことお願いしませんよ!」


「あらそう??私魅力無いかしら……」


 分かってて聞いてきているというのは十分理解している。だが、ここは素直に答えることしか出来ない。


「ありますよ」


「知っているわ!」


「そうですか……」


「私にも連絡先教えて欲しいな♪」


 後ろに座っている静奈さんが声を掛けてきた。断る理由は無いので、


「いいですよ」


 立花先輩と同じように連絡先を交換し、前に居る柊に声を掛ける。


「なんだ?我の配下よ」


「ついでに柊の連絡先も教えてくれよ」


「我はついでなのか……くくく躾が足りないようだな……」


 そんなことを言いながらしっかり携帯を取り出し、連絡先を交換した。これで、お母さんと彩以外の女の子の連絡先が始めて携帯電話に保存された。我ながら悲しい青春時代を送っている。


番号を交換している間に目的地はすぐ近くになっていた。後、五分もしない内に到着するだろう。外の風景を見ながら着くのを待っていると、バスの中に到着を告げるアナウンスが響き渡る。


 バスを降りた俺達は、とりあえずイ○ンの中に入ることにした。今居るイオ○は三階建てで、とても大きな建物になっている。食事する所は勿論たくさんあり、服屋や本屋。他にもたくさんのお店があり、一日中居れる場所になっている。


 中から外に出て橋を渡るとまたたくさんのお店が並ぶ場所に出る。そこにも服屋や靴屋、ブランド店やフードコートも存在する。出来た当初は良く芸能人も着ていたはずだ。


「今からどうする??お昼近いし何か食べてから行動する??」


「私はそれでもいいけど、この状況見ると絶対に全員同じ場所に座れないよね……下手したら席自体空いてないかもね」


 大型なだけあって、休日の日には大勢の人が居る。当然昼時の今はフードコートに大勢の人が居るだろう。広いフードコートで机もたくさんあるのだが、直ぐに満席になってしまう。


 今までに何度も来た事があるが、休日はいつもそんな感じだ。だから、時間帯を昼時からずらして行くのが賢い気がするが、そこはみんなに任せることにする。


「とりあえず、空いているか見に行くだけでも行きますか??可能性少ないですけど、空いている可能性もありますよ!」


「そうね、そうしましょうか。空いてなかったら時間ずらして来ればいいわ」


 彩の提案に全員が賛成し、フードコートを見に行くことにした。二階に移動し、行ってみたが案の定空いている席は無かった。見る限り一席も空いている様子はなかった。


「流石に空いてないわね。私は朝食食べてきたから大丈夫だけど、みんなは大丈夫??」


「我も小動物の肉を捕食してきたので大丈夫です」


「俺も食べてきたので大丈夫です」


「私も大丈夫だよ♪」


「私も大丈夫です!」


「全員大丈夫そうね。それなら食べる前に見に行きましょうか!」


 俺達は目的地はないが、とりあえず歩き出した。歩いて見ている間に行きたいお店や買いたい物が見つかるかも知れない。


 人が多いのでなるべく広がらないとうに歩いていると、「あそこ言ってもいいかしら」と立花先輩が言ったので、そこに行くことに決めた。


「絶対に寄ると思ったよ!」


 そこは、ぬいぐるみ売り場だった。可愛らしい動物のぬいぐるみや、人気のあるキャラクターのぬいぐるみなど、お店自体は大きくないが、品揃えは良さそうだった。


「立花先輩、ぬいぐるみ好きなんですか??」


「そうよ、意外よね?私も自分自身で意外だと思うわ」


 そういいながらぬいぐるみを手に取ると、立花先輩は真剣な顔で見ている。本当に好きなのだと伝わってくる表情だった。


「六花、それこの前の買ってなかった??」


「そうね、家に七体ぐらいあるわ。このキャラが好きなのよ」


 そういう先輩は笑顔でぬいぐるみを抱え、抱きしめた。その様子は普段見られない立花先輩で、その様子を見れただけで今日来た意味があったかもしれない。


「見て、このぬいぐるみ航に似てる!」


 彩が見せてきたぬいぐるみは俺と似ても似つかない蛙を擬人化したぬいぐるみだった。少し大きめの顔に手と足が二本づつ生えており、人間のように四速歩行をするみたいだ。


「くくく、確かに色とか似ているな……」


「違うよ!顔だよ!」


「いやいや、二人とも落ち着け。俺は蛙見たいな顔してないし、まして肌の色は二人と同じ色だ。そんあ緑色の肌してないだろ??」


「そう??私には緑に見えるよ??」


「静奈さんまで!?」


 ニヤついた顔で見てくる三人。助けを求めるために、八体目??のぬいぐるみを購入した立花先輩に聞いてみた。


「俺の肌の色って何色に見えますか??」


「どうしたの急に??うーん、しいて言えばレインボーかな??」


 俺は苦笑いを浮かべ、彩のほうに視線を向けると、


「お前にレインボー!!」


「言うと思ったよ」


俺は肩を落とし、視線を落とした。






***********





 立花先輩の買い物が終わると、彩と柊の目的の場所に到着した。静奈さんはこの前買い物に来たばかりなので、見るもの無いと言い、二人の目的の場所に来たのだ。


 彩と柊が目的場所が同じというだけで、一瞬でどこに向かっているか分かってしまったが、予想通りだった。


「やっぱりイ○ンに来ると、ここに来ないと駄目だよね!」


「くくく、我の城に着いたのだ……!」


 建物の中からでて、橋を渡って直ぐのお店……アニメイトである。アニメイトというのはライトノベルという小説が置いてあったり、DVDや同人誌、アニメグッズが売られている。


 俺達が住んでいる一番近場のアニメイトがこの場所である。当然、東京などにアイメイトほど大きさは無いといっていたが、それでも十分な品揃えがあるらしい。全て彩の情報だが。


 俺は彩にオススメされて、少しだけだがアニメを見たことがあるので、入っても分かるが、静奈さんと立花先輩は全く興味ないだろう。


「私ここに一回入って見たかったんだ♪」


「私もよ……中身がどうなっているかずっと気になっていたわ!」


 俺の予想とは裏腹に、案外興味がありそうだった。普段入ることが無い二人は、純粋にアニメイトの中がどうなっているか気になっている様子だ。


 友達同士で行ったとしても、二人の友達なら絶対に入らなさそうだし、興味あるのも無理は無い。それに、近場でここしかないので、いつもそれなりに混んで居る。


「早く行きましょう!!」


 彩は今日一番楽しそうな顔で中に入っていく。それに続いて柊も入って行き、俺は後ろに居る先輩二人の方を振り向いた。


「入りますか??」


「ええ……」


「入る……よ!!」


 お店の中に入るだけなのだが、なぜか不安げな立花先輩と、気合を入れる静奈さん。二人にとってはそういう場所なのだろう。


「無理しなくてもいいですよ??俺も二人と一緒に待ちますし」


「別に入るのが嫌とかじゃないよ??」


「私もよ。オタクが嫌いとかそういうもの全然ないわ。ただ、始めて入るから少し緊張しているだけよ」


 二人の様子を見ていると、オタクに嫌悪感を抱いていないのは十分理解している。でなければ生粋のオタクであろう二人と仲良くはしないだろう。オタクと言ってもアニメを見たりしていたり、グッズを持っている程度だ。別に誰に迷惑をかけているわけではないので、嫌悪感を抱けれる事自体ないだろう。


「よし、いくわ!」


 立花先輩がそういうと歩き出す。それに続いて静奈さんも歩き出し、俺達三人は中に入ることに成功した。俺も彩に連れられて一度しか来た事が無いが、その時とは内装も違い、配置も全て変わっていた。だが、相変わらず多くの本やアニメグッズが売られていた。


「すごいわ……アニメとか好きな人が行きたがる理由わかるわ!。私もぬいぐるみがたくさんあるお店だったら行きたくなるわ」


「そうだね……こんだけ好きな物が売られてたら行きたくなるね」


 初めて入ったアニメイトを何回も見渡している二人。俺も一回来た時はそんな感じだったと思い出しながら、先に入った二人の姿を発見した。


 二人は楽しそうにライトノベルを見ていた。何やら話しをしているが、あまりに笑顔で話している二人の間に入るのも無粋なので、遠くから少し見てから先輩二人に付いて行くことにした。


 俺が行っても二人の会話に付いていける訳でもないし、二人は自分達の世界で話をしているのだろう。邪魔すると申し訳ない。


「それにしても相変わらず人が多いな……」


 一度しか来た事がないが、今まで見て回ったお店で一番人が多い可能性が高い。彩に聞いた所、最近は若い世代の中ではライトノベルなど、深夜アニメが好きな人が多いらしい。


 萌えなどに全く興味が無い人でも見ている人は多く居るらしい。単純に内容が面白くなっているのだろう。俺もオススメされた作品を見たりするが、面白く、見出すと止まらない作品もある。


 明日は一日暇なので、アニメでも見ようかな……と、そんな事を思いながら先輩達の近くに来た。


「どうですか??」


「どうですか?って言われてもね……」


「そうだね、私達全く分からないからなんとも言えないわ。ただ、あの二人は楽しそうに話をしているから、二人が満足するまではここに居ましょうか」


 彩と柊に視線を向けた先輩二人。俺と同じで二人の楽しそうに話している様子を見て、邪魔するのは申し訳ないと思ったのだろう。


「羨ましいよね、あんだけ笑顔になって話を出来ることがあるって」


「そうね、私もぬいぐるみ好きだけど、ぬいぐるみの事で、あんなに笑顔で話すことは難しいわ」


「そうですね、本当に好きなんだろうなって、感じがします」


 あそこまで一生懸命に物事を好きになれることは、静奈さんが言った様に本当に羨ましいことだった。俺は今までそういった物無かっただけに余計にそう思ってしまった。


 そんな二人が満足するまで、待っていると、流石に一時間半を超えたあたりで、待っていることも限界になり、俺達はアニメイトを後にして、フードコートに向かう。


 来た時は太陽が高い場所にあったのに、今は少し空が夕日色を含んでいる。時間というのは楽しい時間ほど経過するのが早く感じる。暇な時などは遅く感じるのに不思議な物だ。


 再び店内に入り、二階に上がり、フードコートの様子を見る。お昼時から離れているので、人の姿は昼間に行った時の半分以下になっていた。空いている席も多く見られる。


 俺達は五人が一緒に食べられるテーブルを見つけるとそこに座った。


「やっぱり、この時間は空いているわね」


「くくく、我の腹もにえを求めている……」


「はいはい、つかさも外じゃ恥ずかしいから、あんまりそういうの辞めようね??わかった??」


「わかったのだ……」


「そうだね♪大きめの席普通に空いてたしね!」


 彩に言われて、落ち込む柊と、別の話をする先輩二人。みんな笑顔なので、楽しんでいるようだ。そういう笑顔を見ると来てよかったと思ってしまう。


「ところで、みんな何食べるの??」


「私はもう決まってますよ??つかさは何食べる??」


「私はまだ決まってないのだ……」


「私もまだだよ♪みんなで決めに行こうか?」


「いいわね、そうしましょうか」


「俺、荷物見ておくので、先に頼んできていいですよ」


「わかった、ありがとうね星野君」


「いいですよ」


 みんあ立ち上がり、それぞれ食べたい物を探しに行った。また、それぞれ個性が出そうだ。


 このフードコートは、大きくて広い。九軒のお店が一度に並んでおり、ラーメンや牛丼、それにステーキやたこ焼き、ヤックやケンチッキーなど多くの店が並んでいる。


 ドーナツや35(サーテーファイブ)というアイスのお店もあり、食べた後、デザートも食べることが可能になっている。ここならその時食べたい物が大体出揃うだろう。


 ちなみに俺はラーメンを食べるつもりだ。ラーメン大好き、三食ラーメンでも俺は全然大丈夫だ。


「お待たせ、航!行ってきていいよ!!」


 それから五分程度経過するとみんなが戻ってきた。なので、俺は急いでラーメンの売り場に急いだ。好きな味噌ラーメンを注文し、急いで席に戻る。


「星野先輩は何頼んだのだ??」


「ラーメンだよ」


「また航ラーメンなんだ……私とどこか行った時って必ずラーメン食べるよね」


「ああ、俺はラーメン大好きだからな。基本、出かけてラーメン屋があったらラーメン食べるぞ。よっぽどのことが無い限り」


「何があったら食べないの??」


「そうですね……熱出てて倒れそうな時とか、あと、二週間以上ずっと三食ラーメンとかですね。まぁ、そんな時ほとんど無いので、ラーメンですね」


 俺の言葉にみんな苦笑いを浮かべる。女の子はあまり食べないかもしれないが、男というのはラーメンと焼肉は好きな物なのだ。少なからず俺はそう思っている。


「まぁ、好きな物は人それぞれだし、いいんじゃないかしら」


「そうだよね!私もそう思うよ!!」


 先輩二人にそういわれ、なんとも言えない気分になった俺は、ラーメンが出来上がるのを待つ。基本、このフードコートでは商品が出来上がるとブルブル震えたり、音が鳴る機会を渡される。それが、鳴ると取りに行くのだ。


 暫くすると、全員が頼んだものが届き、みんなで食べることにする。全員ほとんど一緒のタイミングで鳴ったので、一緒に食べ始めることが出来る。


「「「「「いただきまーす」」」」」


 全員が声を合わせて言うと、食べ始める。そして、雑談をしながら食べ、全員が食べ終わり、ゆっくりしてから各自食器を返しに行く。


 再び全員集まると、これからどうするかを考える。一応、全員が行きたかった場所には足を運んでいるが、帰宅するには少し時間が早い気がする。だが、十七時少し前ぐらいなので、ちょうど良いといえば良い。


 みんなは知らないが、俺は一人暮らしをしているので、家に帰宅するのは少し早い時間のほうがいいが、こうしてせっかっくみんなで集まっているのだから、水を差すをことしたくない。


 明日は日曜日なので、今日しなくても明日出来るので、今はみんなと一緒に居る時間を大切にしたほうがいいだろう。俺の歓迎会見たいな集まりなのだから余計にそう思う。


「他に行きたい所ある??」


 立花先輩の言葉に全員が首を横に振る。みんな特に行きたい場所は無いみたいだ。歩きながら色々な物を見たので、満足したのだろう。


「あ、ちょっと、本屋に寄っても良い??」


 静奈さんが思い出したように言う。同じ階には少し大きめの本屋もあるので、行く場所が無いのであれば寄っていいはずだ。


「くくく、ついに先輩も魔道書ライトノベルに手を出すのか」


「魔道書が何かわからないけど、普通の本だよ?ちょっと分厚いけどね」


「「ホラ○ゾン!!」」


 彩と柊の声がかぶる。当然、知らない先輩達は頭の上に??を浮かべている。


「確かに分厚いけど、絶対違うと思うぞ」


 一度彩に見せてもらったことがあるので、どれほど分厚いかは知っている。あれほどの内容を一冊にまとめるのはとても大変そうだと思った。


「まぁ、いいわ。本屋に寄って、それで帰宅しましょうか」


「そうですね、あんまり遅くまで居ると何があるかわかりませんしね」


「そうね、星野君に何されるかわからないし、明るいうちに帰りましょ!」


「何もしませんよ!!」


 立花先輩は舌を出しながらウインクをし、「冗談よ」っと笑顔で言う。言っている時は真顔だったので、一瞬信じそうになってしまった。


「配下は夜になると、狼になってしまうのだ!」


「送り狼ってやつにね♪」


「なりませんよ……」


 そんな話をしながら俺達は本屋に向かい、静奈さんが目当ての本を直ぐに探し出し、購入してからイ○ンを後にした。


 来た時と同じように、バスに乗り、隣に座っている柊と下らない話をしながらバスが駅に到着するのを待った。到着した時は周りは暗くなっていた。


「大丈夫ですか??暗くなったので、送りましょうか??」


「流石送り狼だね♪」


「そういう意味で言った訳じゃないんですけど……」


「知っているわ。けど、時間もまだ遅くないし、人気ひとけも多いから大丈夫よ」


「くくく、我は夜になると新の姿になるのだ!!」


「つかさちゃんもエッチだね♪」


「そ、そんな卑猥な意味じゃ無いのだ!!」


 全員家の方向が違うのか、それぞれ別の帰路に付く三人。先ほどから少し静かな彩とは、家の方向が途中まで一緒なので、一緒に帰ることにした。決して、送り狼などするつもりはない。


「どうしたんだ??眠いのか??」


「そんな子供じゃないもん!」


 と、言いながら欠伸をする彩は頬を赤く染める。ぼんやりしながら歩いているので、一人にすると心配なので、家まで送って行った方がいいだろう。


「家まで送っていくぞ。流石に心配だし」


「え……うん。ありがとう」


 少し頬を赤らめて、体をモジモジさせている。絶対に先ほどまでの送り狼の件を意識している。


「ちなみに、何もしないからな??そこは安心してくれ」


「そ、そんなのわかってるよ!!」


 眠たそうにしている彩を家まで無事に送り、俺は家に帰宅した。今日一日はとても楽しい時間になり、またみんなでどこかに行けたらいいと思った。


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