表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/83

話し合い

 役割が決まってから一週間ほどが経過した。


 体育館も無事に借りれる事になり、俺たちの劇はさらに現実化してきた。元々やる気だったのだが、体育館を借りれる事が決まってから、さらにみんなやる気になった。


 借りれると言っても、時間が決められている。というか、体育館では朝から順番に出し物が出されている。


 軽音部だったり、俺たちの劇だったり……他にも様々な部活での出し物が出される。俺たちもそこに入れたという事だ。


 時間に関しては実績や、行う内容によって貰える時間が異なる。毎年行っている部活はやはり貰える時間も多い。


「まぁ、妥当な時間よね」


「そうだね♪あまりに長すぎても困るし♪」


 静奈さんと六花さんは、ボランティア部に与えられた時間を聞いて、こう言っていた。確かに俺もそう思う。しかしーー。


「我の劇はそんな短い時間では完結しないのだ!」


 激を考えた本人は、あまり納得していない見たいだった。ちなみに貰えた時間は二十分間だ。まぁ、妥当な時間だろう。


 他にも多くの部活が使用するのだ。俺たちに長い時間を割く事など当然のように出来ない。初めて参加するボランティア部が二十分貰えただけでも十分だろう。


 ちなみに、最高でも三十分らしいので、半分以上はもらえたという事になる。準備の時間は勿論含まれないが、早めに行って、準備をしておく方がいいだろう。


 柊が考えてきた劇の内容は、ノートに多く書かれていた。当然のように全てをする時間は無いので、みんなで話合って、必要なシーンとあまり重要では無いシーンなどを分けて、新しく編成した。


 そのままの流れを崩さないように気を付けながら、わかりやすいようになったはずだ。少なくとも俺たちはそれに満足している。


「色々取りに行かないとね♪」


 学校が終わり、放課後になった。俺たちは部室に集まり、あらかじめ学校側に出しておいた必要な物を取りに行くのだ。


 文化祭の準備には毎年多くの時間が与えらる。去年も多かった記憶がある。だが、去年と違うのは無駄に多いと感じていた時間が、少なく感じるという事だ。


 準備する物は多くある。しかし、学校もあるのであまり時間を使えない。下校時間を超えての作業は文化祭一週間前しか出来ないようになっているらしい。これは静奈さんが言っていた。


「そうね!みんなで行きましょう!」


 そして、部室を出て一階の端にある教室に向かう。用意されている場所は、必要な物が似ている部活同士集められる。


 俺たちは比較的少ない方だと思う。それも、小道具などはやはり作る事は難しいので、持っている物は持参しているためだ。


 学校側からある物などは無料で提供されるが、無い物などはやはり部費から引き落とされたりする。あまり、目立った活動をしていないので、部費は多く無い。


 それに必要な物はほとんど段ボールなので、学校にある物だから部費はかからない。他にも小道具の方だが……マントなどそういう物は柊が持っていた。


 勇者見たいな服装は、静奈さんの家にあるそれっぽいので代用する事にした。もちろん、お姫様役に必要な服も静奈さんの家にある物を使う。


 流石にドレスなど持っているのは静奈さんだけだったので、仕方が無い。買うとなれば高いだろう。しかし、静奈さんが来ていた物を着るというのは少し緊張する。


 まだ、どんな服なのか見せてもらってないので、そういう意味でも緊張する。派手な物じゃなければいいけど……まぁ、無理だろう。


「失礼するのだ!」


「失礼します!」


 彩と柊は教室のドアを勢いよく開ける。中に居た先生と、他の生徒は驚いた様子でこちらを見ていた。


 急に大きな声と共に勢い良くドアが開いたら、驚くのも無理は無い。だが、中に居たみんなは特に何も言わずに、自分たちの作業に戻る。


「ボランティア部です♪」


「見ればわかりますよ。ボランティア部は……これですね。必要な物は揃っているか、確認してくださいね。無かったらこの場で言ってください」


「わかりました!!」


 彩が元気よく返事をして、俺たちは全て揃っているか確認する。段ボールは言えばくれるが、ペンやテープなど色々必要になる物も多くある。確認して損は無いだろう。


 それからしばらく全員で確認する。だが、足りない物は特になかったので、先生にそれを伝えて、俺たちは分担して部室に持ち込む。


 段ボールが多いが、部室は他と比べてもかなり広いので、余っている場所はたくさんある。なるべく大きく広がらないように置く。ついでに借りたペンなども場所を決めておく。


 学校から借りている物なので、無くさないようにした方がいいだろう。無くしても特に何かある訳では無いが、せっかく貸してくれたのに無くすは申し訳ない。


「とりあえず、何から作る??」


 彩は柊に質問をする。今回は柊が中心になって行う事になっているので、確認を取ったのだろう。


「剣を作るのだ!」


 柊は元気良く言うと、手を上に掲げた。柊的には剣を上に掲げているつもりなのだろう。なんとなくだが、そうでは無いかと思ってしまう。


「剣!!いいよ!勇者に剣は必須だもんね!」


 確かに勇者には古代より変わらずに勇者には剣となっている。勇者が剣を持っていないというのはあまり聞かない話だろう。


 もはや、ゲームやアニメ……様々なジャンルで鉄板だ。剣無くしては勇者とは言えないのでは無いだろうか?


(これは個人的な考え方だけど……)


「やっぱり、勇者の剣は必要なのだ!」


「そうだよね!!勇者になるなら剣は必須だよ!それに、俺TUEEEでも剣を使っている人は多いよ!!悪い奴を倒すにはもってこいだよ!」


 物凄く興奮している彩だが、その剣で倒される相手というのは自分だという事に気が付いているのだろうか?


「剣か……憧れるよ!」


 これは絶対に気が付いていないな……まぁ、問題になる訳じゃないからいいけど。


「静奈さんには、絶剣技とかパーフェクトビジョンとか使えるようになって欲しいのだ!!」


「何を言っているのか全くわからないけど、とりあえず、絶対に出来ないと思うよ♪」


「残念なのだ……」


 柊は本当に落ち込んだように肩を落とす。静奈さんの言う通り、柊が何を言っているのか良くわからないけど、名前からして物凄い技なのは十分理解出来る。きっと、人では出来る技では無いだろう。


「つかさ、大丈夫だよ!!」


「!?」


 満面の笑みを浮かべる彩に、柊は驚いた顔で見る。彩の自信ありげな表情が、柊と同じ事を考えているのだろうと、察する事が出来る。


「二つの前世の記憶を持っている事にして、「思い出した!」って言えば大丈夫だよ!」


「それなのだ!!」


 先ほどの落ち込んだ様子から、一遍して元気になる柊。そんな様子を苦笑いで見つめる俺たち三人。とりあえず、この流れを止めななければ本当になりそうだ。


「とりあえず、剣を作るのはいいけど、どうやるんだ?俺たちだけで段ボールで作るのは難しいと思うけど……」


 実際に作った事は一度も無いので、難しいかどうかも分からない。しかし、物を作るというのは想像以上に難しいはずだ。クオリティが低くてもいいのなら、作れない事無いが……彩と柊が満足するとは到底思えない。


「我に任せるのだ!手合わせ錬金ーーー」


「はいはい、そういうのは良いから!早く決めていかないと間に合わない可能性も出てくるわ!」


 柊の言葉を遮って、六花さんは言う。確かにその通りなので、柊も特に何も言わずに、そのまま黙った。


「実際の所、段ボールで作るのはかなり難しいと思うな♪他にも背景を作らないといけないし……そういうのに、時間を掛けるのは得策じゃないと思うよ♪」


 俺も静奈さんの言う通りだと思う。この二人は真剣に作りだしたら妥協とかしなさそうなので、かなりのクオリティを求めそうだ。


 別に悪い事じゃないが、劇そのものに深く関係している訳では無いので、時間を掛けるのはもったいない。それならば、背景に時間を掛ける方が良い。


「私も静奈の意見に賛成よ。時間を掛ける場所はもっと他にあるから……おもちゃの剣で良いと思うわ。買わないとダメだけど……そこまで高く無いだろうし、部費から出せるわ」


「そうですね……俺もそれが良いと思います。二人はどう思う?」


 あくまでもこれは案だ。決定事項では無いので、二人の意見も聞かなければいけない。


「我もそれで良いと思うのだ!」


「彩もそれで良いと思う!時間多い訳じゃないしね!」


 二人は笑顔で納得してくれた。時間が掛かる場所は見るだけでもわかる。二人もそれは理解しているので、すんなり決まった。


「それじゃ……剣は買うとして……次は背景ね」


「そうだね♪一番重要な所だと思うよ♪」


「その分、時間もかかるのだ!!」


 背景と言っても、全てを書く訳では無い。俺たちに書くことが出来る絵など、本当に知れている。素人が書くのだから当たり前だが、それよりもどの場面伝える事が重要だ。


 ナレーションを交互に行う事で、場面などは口で伝える事になっているが、やはり、少しでもその風景を絵にした方が、良いのでは無いか?と思って居る。


 ナレーションの説明で、想像して貰うのが一番良い気がするが、それだけでは俺たちが納得いかない。少しでも見てくる人に想像して貰うだけではなく、分かって欲しい。


 だが、俺たちだけで書ける絵には限界がある……それに大きな絵描いている時間も無い。だから、人の身長ほどの段ボールに絵をかいて、背景にしようとしている。


 書く枚数も多い訳では無いので、それなら俺たちでも文化祭までに書き終わるのでは無いか?と話し合った結果そうなった。


 難しい絵では無く、絵だけでどういう場面かわかる程度で良い……だが、時間が掛かる作業なのは間違いない。それに、見てすぐに分からなければ意味が無い。だからこそ、この作業は劇の練習の次に時間を割いている。


「とりあえず、どうやって塗る?流石にペンではこの大きさは……」


「ペンだと、体育館の奥の方まで見えないかもしれないのだ!」


「そうね……ペンだとどうしても薄くなるから……」


「ペンキしかないと思います!!」


 彩の言葉にみんながうなずく。一応必要になるかと思って、申請は出しておいた。だが、使う人も多く居るので、必要な段階になったら言いに行く必要がある。


「そうね!けど、まずは下書きからするべきね!急にペンキで書いて行っても間違いなく失敗するわ!」


「私もそれが良いと思う♪」


「我もそう思うのだ!何回も失敗すると、段ボールが勿体ないのだ!」


「そうだね!それに出来れば一回も失敗せずに終わりたいし!」


 という訳で、ペンキはまだ使わずに下書きをしていく事になった……しかし、ここで問題が発生する。


「一体誰が絵を描くんだ?」


「…………」


 俺の発言で、みんなの動きが止まる。絵を描くのはいいが、特別絵がうまい人は誰も居ないのでは無いだろうか?


「我は全然描けないのだ!」


「彩も描けないよ!」


「私も全然描けないわ」


「みんなと同じで全然描けないよ♪」


 これは大問題だった。そもそも、劇の段階で絵を描く事はなんとなくわかっていた。その時に確認しなかった俺たちが悪い。というか、どうするのだろうか。


「みんなで協力して描くしか無いな……」


 俺も絵なんて描けない。今まで下手と言われた事は無いが、特別うまい訳でも無い。本当に普通と言っても差し支えないレベルだ。模写であれば、なんとなく描ける程度。


 他のみんながどれぐらい絵を描けるのかはイマイチ分からない。少なくとも彩は全然描けないのは知って居る。


「航は知って居ると思うけど、彩は人物を書いたら化け物見たいって言われた事があるよ!」


「私も街を描いたら廃墟って言われたよ♪」


「私は風景を描いたら、魔界って言われた事があるわ!」


「我はそもそも絵なんて描いた事無いのだ!!」


「……………」


 俺はみんなを苦笑いで見つめる。聞いているだけでも全く描く事が出来ないのは察しが付く。


「航は絵うまかったよね!」


「いや……あのレベルをうまいと言ったらダメだろ……」


 本当にその辺に居るレベルだ。ていうか、描いた事だって美術の授業で描くぐらいだ。自主的に練習している人達に比べたら天と地ほどの差がある。


「彩達からすれば十分うまいよ!それに、航は絵を描いても化け物とか、魔界とか言われた所見た事ないし!!」


「確かに無いけど……」


 そんな事を言われる方が逆に珍しいと思うのは俺だけなのだろうか?街を描いたら廃墟……人物を描いたら化け物……どうなっているんだ!


「とりあえず、絵は航に任せた方が良さそうね」


「そうだね♪それに下書きが終われば、私たちが色を塗るのを手伝えばいいし♪」


「我も流石に色塗りは出来るのだ!」


「彩も頑張るよ!!」


 という訳で、絵の下書きを描くのは俺に決まった。実際に絵を見た事があるのは彩だけなのだが……きっと、ほとんど変わらないレベルなのだろう。


 それに、みんなが任せてくれているのだ。しっかり自分に出来る事はしたい。


「ところで、私良い案があるんだけど……」


 当然六花さんは俺と静奈さんの方をみながら、そう呟いた。一体何を思いついたのだろうか?


 気になるのと同時に物凄く嫌な予感がするのは気のせいだろうか……。


「劇で使う剣とか、そういう小道具を航と静奈に買いに行って欲しいの!」


「それはいいけど……みんな行けば楽しいと思うよ?」


 俺も静奈さんと一緒でも全く問題無いが、確かにみんなで行った方が楽しさはあるかもしれない。みんなでどこかに出かけるのも久々だし。


「静奈はわかってないわね!!」


 しかし、六花さんは物凄くドヤ顔で人差し指を立てながら横に振る。チッチッチッとでも言っているかのようだ。


「おじいちゃんにデートを見てもらうなら、少しでも経験を積んだ方がいいでしょ?航も静奈もデートの経験なんて全く無いだろうし!!」


「確かに無いですけど……」


 うう、自分で言っていて悲しくなってきた。彩と二人で遊びに行ったりするのをデートと呼ぶのなら、何度かした事があるが……本当に遊んだだけなので、経験として入れない方がいいだろう。


「という訳で、これは確定事項だから!!」


 半ば強引に静奈さんのとデートが決まった。この辺でデート出来る場所と言えば、近くにあるイ〇ンぐらいしか無い。そこに静奈さんと二人で小道具を買いに行く事が決まった。


 この時気が付いていなかった。小道具を買いに行くという理由があるので、気にしていなかった。


 六花さんが物凄く楽しそうに笑っている理由にーーー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ