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役割

土日が終わり、月曜日になった。俺たちは話し合いをするために朝から部室に来ていた。


 少し早い時間に登校して、静奈さんの家で起こった事を話し合うのだ。そして、柊の劇の内容も聞かないといけない。出来る事と出来ない事があるので、それをしっかり、見極めなければいけない。


「それで、予想通りになったわね」


「おじいちゃんだから仕方ないよ♪」


 部室に全員が集合すると話が始まる。六花さんの言う通り、文化祭でのデートが決まった。静奈さんが大好きなおじいちゃんだ。きっと劇も見に来るだろう。


「航、静奈さんのおじいちゃんって、どんな人だったの?」


 彩は首を傾げながら聞いてくる。初めは少し怖い人かと思ったが……と、説明してもいいのだが、言える事は一つだ。


「物凄く静奈さんの事が好きなおじいちゃんだな」


 最後の方が物凄く印象的に残っているため、そう伝える事にした。とにかく、静奈さんの事が好きなのだろう。


「まぁ、それしかないわよね……」


 六花さんも俺の言葉に同意してくれた。孫娘に色々したいなど、犯罪まがいの事も言っていた。好きを通り越して、行き過ぎの気もする。


「静奈さん可愛いから仕方ないよ!」


「そうなのだ!仕方ないのだ!」


 確かに静奈さんは可愛いが、きっと二人もあのおじいちゃんを見れば少し印象が変わりそうだ。まぁ、孫可愛いが故の行動と思っておこう。


「まぁ、静奈が可愛いのは知って居ることだわ。だから、とりあえず、置いておきましょう」


「みんなして、可愛いって言われると少し照れるよ……」


 頬を少し赤く染める静奈さん。その仕草も可愛い。まぁ、ボランティア部に居る全員可愛い。俺以外。


「劇の内容考えてきたわよね?」


「考えてきたのだ!」


 そういうと、柊は鞄の中からノートを取り出す。そのノートの表紙には『英語』と書かれていた。


「流石に英語が嫌いだからって、そのノートに書いてこなくても良いと思うわ……」


「ノート提出の時に、つかさの痛い話が職員室で広がるよ!」


「私は英語普通に好きだけどね♪」


「あ、間違えたのだ」


 どうやら英語のノートに書いてきた訳では無いようだ。少し安心した。職員室での暴露は本当に辞めて欲しい。結局、劇としてみんなに見てもらうので、結果は同じだけど。


「こっちなのだ!」


 英語のノートを鞄に直し、違うノートを机の上に出す。表紙にはタイトルが書かれている……ちょっと待て。


「柊……これは何かの間違えだよな?」


「何も間違えていないのだ!タイトルのままなのだ!」


「いいわ!物凄くいいわ!」


「私もそう思う♪物凄く見てみたい♪」


 この劇のタイトルは『お姫様(航)を、救え!(仮タイトル)』と書かれていた。どうやら俺がお姫様役をするという誰得展開になるみたいだ。


「いやいや……俺がお姫様やっても仕方ないだろ!それなら他のみんながお姫様の方がいいだろう!」


 この部は美少女揃いで有名だ。そんなみんなの中から一人がお姫様役をする方が、確実に客受けするだろう。俺がしても、なんだあいつ……見たいになるに決まっている!


「大丈夫だよ♪航君は女の見たいな顔してるよ♪」


「そうよ!私も前からずっと思ってたわ!」


「絶対嘘です!そんな事言われた事ありません!」


 今まで生きてきて、女の子見たいな顔をしているなど言われた事は無い。微妙に視線を合わせない所が嘘と物語っている!


「大丈夫なのだ!航先輩なら、男のファンが出来るのだ!」


「そんなの要らんわ!」


 女装した俺を見て、ファンになる男など絶対に嫌だ。そもそもファンなど要らない。


 アニメなどでは、女装が似合う主人公が校内で噂になったりする展開があるが……俺に限ってそれは無い。全く幼い顔立ちでも無い俺が、女装をしても似合わないだろう。


「ところで、私たちはどんな役なのかしら?」


 確かに、タイトルだけでは俺の役しか判断できない。この流れだと誰か一人は悪役が居るはずだ。


「静奈さんは、勇者なのだ!」


「まぁ、そうよね。そうじゃないと、アピール出来ないもの」


 普通は逆のような気もするが……この流れは絶対に変える事が出来ないのは知って居るので、やる以外ないだろう。人生初の女装を……。


なんでお前なんだ……見たいな目で見られる気がして仕方ないが……せっかく柊が考えてきてくれた劇だ。全力で演技するだけだ。


「六花さんは村人Aと、敵の味方役なのだ!」


「それはいいのだけど……二役も出来るかしら?」


 確かに初心者の六花さんが二役するのは難しいのでは無いだろうか?


「大丈夫なのだ!村人に紛れた六花さんが、勇者を騙す流れで行くのだ!それだと、場面も分けれるのだ!」


「なるほどね……それなら出来そうね!流石に勇者と姫は役割的に二回出てくるのは厳しいわ!それに……」


 六花さんは口に出しながら彩の方に視線を向ける。俺は姫で静奈さんは勇者、六花さんは敵の味方役……となると、彩の役は一つしか無いだろう。


「彩は魔王役なのだ!」


「あんで彩は魔王なの!!つかさがやればいいのに!!」


 柊ならそういう役目を自分でしたい!と言い出しそうだが……今回はなぜか彩に役割を振った見たいだ。一体どうしたのだろうか?


「我も出来るならやりたいのだ!けど、ナレーションとかいると思うのだ!我が考えた話だから、ナレーションをやろうと思ったのだ!」


 確かに場面が変わる時にナレーションを入れたりすると、見ている方の分かりやすいだろう。しかし、それだと柊がずっと裏に居る事になってしまう……それは、どうかと思う。


「ナレーションっても必要なのかな?あんまり詳しくないから全く分からないよ♪けど、つかさちゃんだけ、役が無いのは寂しいよ」


「そうね……それに、つかさもやらないと五人でやった事にはならないわ!だから、遠慮せずに役をやると良いと思うわ!」


 六花さんと静奈さんの言葉に、柊は少し笑みを浮かべて、口を開く。その心遣いが嬉しいのだろう。


「ナレーションは要ると思うのだ!物語の設定とかで、必要部分は出てくると思うのだ!」


 柊はナレーションは必要と言う。確かに必要だとは思うけど……それで柊が全力で楽しめないなら、無くても良いと思う。


「それなら、彩たち以外でやれば良いと思うよ!」


「どういう事かしら?」


「ナレーションをやってくれる人を探せば良いと思います!この五人で全てをやる事にはならないけど、ナレーションだけなら良いと思います!」


 それは良い案なのでは無いだろうか?劇の役自体は俺たち五人で行うので、他に気を使う必要性は無い。引き受けれくれる人には、早めに言っておけば当日には問題なく言えるだろう。


「それは私も良いけど……誰に頼むの?」


 素人の劇になるが、俺たちは出来る限り本気でやるつもりでいる。遊び半分引き受けて、当日になってやっぱり……なんてなってしまうと、全てが台無しになってしまう。


 それに、少ない時間いえど、文化祭の時間を使わせてしまう事になる。引き受けてくれる人はあまり多く無いのは容易に想像できる。


 一年に一回しか無い文化祭だ。楽しみにしている人は多いに違いない。そんな時間を、関係の無い俺たちに使ってくれる人はよっぽど良い人だ。


「彩は一人だけ心当たりがあります!引き受けてくれるから分からないけど……」


「誰なのだ?最後までしっかりやってくれる人が良いのだ!」


 中途半端になってしまう可能性の人は辞めておいた方がいいだろう。彩もその辺は理解しているはずだ。変な人を進めるような事はしないと思うが……。


「涼花だよ!」


 彩は胸を張って、自信ありげに言う。確かに、海鳥さんであれば、一度引き受けてくれたら最後までやってくれるだろう。


「彩と航先輩は知ってそうな顔をしてるけど、我は全く知らないのだ!誰なのだ?」


「前にキリト君が依頼に来ただろ?その仲良くなりたいって言ってた相手だよ。しっかりやってくれるのは保証するけど……」


「どうしたのだ?」


 海鳥さんなら確かにしっかりやってくれるだろうが、一つだけ問題がある。


「海鳥さんはキリト君と付き合ってるんだ……だから、文化祭の時も一緒に周るだろうし……」


「あ、そっか……」


 彩も俺の言葉で、思い出したようだ。彩の頼みならば、海鳥さんは引き受けてくれるだろう。けど、キリト君とのデートの邪魔をするのは申し訳ない。


 せっかく、付き合いだして初めての文化祭だ。一緒に周る予定でいるはずだ。それを俺たちのお願いで邪魔をする事はしたくない。


 頼んだらな断らないと知って居る分、余計に頼みずらい。海鳥さんは良い子なので、辞めておいた方が良いだろう。


「だから、流石にやめた方がいいと思う」


「そうだね、涼花の邪魔はしたくないからやめておくよ」


 話は振出に戻ってしまった。ナレーションを入れれば、柊が役を出来ない。劇を完全に楽しむ事は出来ない。


 やはり見る方では無いので、ナレーションをやるよりも役を演じた方が楽しいに決まって居る。


「私思いついたよ♪」


 静奈さんは笑顔で、笑顔で手を挙げた。俺たちは一斉に静奈さんに視線を向ける。


「役が無い時に代わりかわりやれば良いと思うよ♪序盤は航君の役は少ないだろうし、その時は航君で……見たいな感じにすれれば私たちでも出来ると思うよ♪」


「それなのだ!!」


 柊は勢い良く立ち上がる。立ち上がる必要性は無いように感じるが……確かにそれなら出来る気がする。


 あくまでも練習もしていない段階なので、出来るかどうか分からないけど、それでも他の人に頼んで時間を取らせるよりはいいかもしれない。


 そこは、練習が始まれば出来るように少しづつ調節していけば良い。俺たちが自分たちでやる劇だ。好きなように調節して、出来るようにすればいいだろう。評価が全然でも、俺たちが楽しく出来れば問題無いだろう。まずはそこが一番重要なところだ。


 楽しんでやっていないと、やはり見てくれる人にも伝わる可能性もある。それなら、楽しんでやっているのが、伝わる方が確実に良い。


「そうね!それなら、調節して行けばどうにかなりそうね!」


「そうですね、みんなでやる劇だから、みんな役やった方が良いに決まってます」


「我もそっちの方が良いのだ!みんなで協力していけば、出来ない事は無いのだ!」


「そうだね♪物語だって完結させれてるんだから、きっと出来るよ♪」


 という訳で、ナレーションはみんなでやるという事になった。役の間にやったり、出番が無い人が行うという事になる。


「それで、つかさは何役をするの?彩の魔王譲ろうか?」


 彩は柊の方をチラチラ見ながら言う。魔王はやりたくないようだ。確かにメインの役になるが……彩の予想している事は大体理解できる。


 まぁ、柊が書いた内容だから、魔王は痛いセリフ塗れになるだろう。彩はそれを阻止したいに違い無い。


「彩は魔王で決定なのだ!」


「つかさの方が似合ってるよ!」


「くくく、それは十分に理解している……けど、貴様が魔王をやらないであれば、貴様の役は木になる……」


「木!?木って生えてる木だよね?」


「そうだ……木の被りものなど作る時間が無いから、貴様のオデコに紙に大きく『木』と書いて張る。貴様は立っているだけだ!!」


「それはもっと嫌だから、魔王で良いです!!魔王やらせてください!」


 流石の彩も紙を貼られて木になるのは嫌見たいだ。これで、彩の魔王が決まった。少し見てみたい思いもある。


「つかさちゃんは何をやるのの?」


「我は勇者の連れをやるのだ!魔王に味方が居るのに、勇者に味方が居ないのは可哀そうなのだ!」


 どうやら柊は静奈さんの味方になる見たいだ。これで、全員の役が決まった。


 まだまだやる事は多いが、始めの一歩になった。これから小道具を作ったり、セリフを覚えたりしなければいけないが、みんなとなら楽しく出来ると確証を持って言える。


 作るのも時間はかかるし、慣れない作業でうまく出来ない事もあるだろう……しかし、こうして少しづつ形になっていく感じは嫌いでは無い。


 何事もしている最中よりも、準備段階が楽しかったりするものだ。今の俺は楽しい。みんなで出来る事に楽しいと感じている。


「もうすこし決める事がありそうね!今日中に決めましょうか!」


「そうだね♪準備に時間がかかるし、早い方が良いよ♪」


 それから俺たちは決めなければいけない事を話し合い、決めていく。



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