出発
出てくる車は、昔に近所で車に子供が居やすい用に改造していた人が居たので、それをモチーフしました(*´ω`*)
かなり盛ってますけど(・_・)
夏祭りが終わってからも、俺たちボランティア部はいつも通りの日常を過ごした。夏休みということもあって、特に依頼もなかったので、集まっては話をしたり、遊びに行ったり……宿題をしたりなど様々な事をした。
そして、七月から八月に変わり、俺の家の周りにも良くセミの声が聞こえるようになった。平均気温も上がり、毎日移動するだけで汗をかくようになった。
そんな八月十日の今日。ついに静奈さんが言っていた東京に行く日になった。移動の車や泊まる場所も全て仙道家の所有しているところ見たいなので、お金は掛からない。
使用人も東京に用事がある見たいで、俺たちはそれに付いていくという形になる。付いていっていいのかと疑問に思うが、静奈さんが良いと言えばいいのだろうと納得した。
時刻は朝の七時頃になる。俺は東京に居る間に必要な物を入れたキャリーバックを持って、駅前に来た。
駅前を集合場所に選んだのは、単純にみんなが知って居るからという理由でだ。社会人も休みの人が多いのか人が少ない。いや、居ないと言った方がいいだろう。
そんな中、一人で来た俺は誰か居ないか確認をするが、まだ彩と柊の姿は見えないので、少し早めに付いたみたいだ。いや、居ないと言った方がいいだろうか。
静奈さんは使用人と一緒に車で来ると言っていたので、まだ来ないだろう。集合時間は七時半になって居るのだから当然だ。
流石に、お世話になる静奈さんの使用人を待たせる訳には行かないと思い、早めの来たが、どうやら早すぎたみたいだ。
近くのコンビニに寄って買ってきたおにぎりを食べながら待つことにした。お腹も空いているのでちょうどいいだろう。
買ってきた二つのおにぎりを食べ終わる頃に、柊がキャリーバックを押しながら歩いて近づいているのが視界に映った。
流石に、行く期間が長いので柊も俺と同じで大き目のバックを持ってきている。
「おはようのだ!」
「おはよう、重かっただろ?」
持っているバックは小さな柊が持つとさらに大きく見える。少し息も乱れているので、かなり重く、持ってくるのに苦労したに違いない。
「大変だったのだ!けど、持ってこれたのだ!!」
持ってこれたのは見ればわかるが……頑張ったのだとなんとなくわかるので、何も言わないことにした。
「彩も来た見たいなのだ!!」
柊がそういうと視界の先に彩の姿が映った。彩も柊と同じく、大き目のバックを持ってきているが、かなり重そうにしている。
俺よりも大きなバックを持って来ているが……男よりも女の子の方が持ち物が多くなるのだろう。
男の俺は必要な物は限られてくるが、女の子は服以外にも色々持ってくるものが多そうだ。少ない女の子も居るかもしれないが、少なくとも彩は多いようだ。
「おはよう、二人とも!!」
「おはよう」
「おはようなのだ!!」
二人とも重そうにしているが、それでもとても明るい笑顔をしている。東京に行くのが楽しみで仕方がないのだろう。
そういえば、東京にはオタクの聖地と言われている秋葉原がある。そこに行くのが楽しみなのだろうか?しかし、規模が違うが、大阪にある日本橋も結構色々な物があると聞く(彩と柊に)が、似たような場所なのだろうか。
なんせ、両方とも行った事が無い場所なので、比較するものが全くない。まぁ、二人が居れば確実に行くだろうから、行ってからのお楽しみとしておくのが良いだろう。
あまり興味はないが、オタクの聖地と言われて場所だ。かなり凄い場所なのは間違いないだろう。そう考えると、少し楽しみになってきた。
しばらく三人で会話をしていると、七時二十分ぐらいになると、駅のロータリーにトラックのような大きな車が止まった。
近くのお店に持ってきたのだろうか?そんな事を思って居ると、車の後ろが開き、聞き覚えのある声と共に、見覚えのある顔が出てきた。
「遅くなってごめんね♪荷物持ってこれる?」
「…………」
あまりに予想外すぎて、俺たちは顔を見合わせてしまった。どう考えても静奈さんが出て来るような車じゃない。明らかに普通の車とは違うのは見てわかる……というか大きすぎるだろ。
大きさはトラックのような大きさで、車高も普通の車よりも高い。運転席と後ろの荷台が分かれており、銀色をしている。
引っ越しセンターや、郵送会社の人が使って居そうな車だ。もはや、トラックといっても差し支えないだろう。
「どうしたの?早く来て♪」
静奈さんは手を振りながら笑顔で俺たちを呼んでいた。どうやら、本当にこの大きなトラックのような車で東京に向かうらしい。
「私たちとは世界が違うね……」
だが、そんな俺たちの驚きなど全く見えていないのか、いつも通りの笑顔で静奈さんは手招きする。
「普通の乗用車だと思ってたのだ」
「俺もそんなのを想像してたよ」
普通、車と言われれば乗用車を想像するだろう。そうでもなくても少し大きめの車などが妥当だと思って居たが……この辺りで一番家が大きな仙道家は俺たちの予想を遥か上回る車で来た。
静奈さんをいつまでも待たせる訳には行かないので、俺たちは苦笑いを浮かべながら近づいた。
「おはよう♪」
「お、おはようございます……」
「おはようございます……」
「お、おはようなのだ……」
車の迫力に圧倒されながら挨拶をした。近く居る駅を利用する人達も何事かと俺たちの方に視線を向けている。業者が乗って居そうな車に高校生の俺たちが乗れば当然気になるだろう。
「どうしたの?そんなに車を見て♪」
「だってこれは……」
静奈さんの問いかけにどう答えればいいのか分からないので、再度車を見渡しているとーーー。
「こんな車でくれば普通は驚きますよ」
優しそうな声色の女性が立っていた。執事服を着ているところを見るに、この人が静奈さんが言っていた使用人なのだろう。
柔らかな笑みを浮かべているが、スラっと長い脚や、バランスのよいプロポーション。無駄の無い筋肉はかなり鍛えているのではないかと思わせる。長い髪は後ろに束ねているので、白いうなじがまぶしい。
「初めまして。仙道家で使用人をしています、松本といいます。以後お見知りおきを」
仙道家の使用人である松本さんは言い終わると俺たちに礼をしてきた。それに合わせて俺たちも礼をする。
「用事があるにも関わらず、ありがとうございます」
きっと、静奈さんが頼んだからこそ、俺たちが一緒に行くことが出来るのであろう。本来であれば、俺たちは用事の邪魔になるはずだ。だが、こうして連れて行ってもらえる事に感謝しなくてはならないだろう。
「大丈夫ですよ。静奈から聞いていると思いますが、私たちも東京には用事があります。それに、私から静奈に聞いた事ですので」
「それでもありがとうございます」
静奈さんに言われたからだと思って居たが、松本さんの方から聞いたみたいだ。そうだととしても初めて東京に行くという貴重な経験をさせてもらえるのだから感謝しなくてはならない。
時間もかかり、距離もかなり長い……ガソリン代だけでも結構な値段になるはずだ。
気にしなさそうな柊も、流石に今回はそうは行かずに、申し訳なさそうな顔をしながら口を開いた。
「運転もしんどいと思うのだ。眠くなったら無理せずに寝てほしいのだ」
「それについては大丈夫です。助手席には問題があった時のために、もう一人使用人が居ますので、眠くなったら交代します」
「行けると思って、楽しみにしてたけど、こうして先輩の家の人までくると、少し申し訳ない気持ちなるね……」
「そんなこと気にしなくてもいいよ♪それより、道のりはかなり長いから、早く乗って♪」
俺たちは荷物を松本さんに預けた。後ろから静奈さん手招きをしているので、俺たちはそちらに回る。
「中に入って♪多分、見たことないと思うから♪あ、靴は脱がなくてもいいよ」
静奈さんにそう言われ、靴を脱がないまま足場に足を乗せる。外見からしてかなり大きい車だ。大型車なのは間違いない。
雰囲気はトラックの荷台に乗るような感覚に近い。中がどうなっているのかなど、トラックに乗った経験が無いので全くわからない。
入って見てみればわかるか……そう思いながら俺は中に入る。
「……なんだこれ」
中を見た俺はそんな言葉しか発することが出来なかった。外見も凄かったが、中はもっと凄かった。こんな車に今まで乗った経験など無い。
「すごいのだ……」
「本当にすごいね……小さなホテルみたいだよ」
二人も車に乗ると、想像以上の凄さに見渡している。それにしても、彩が言った小さなホテルの見たいというのは、なかなか良い表現だと思った。
静奈さんが乗っている車の中は、まずテレビが付いて居た。それも、小さなテレビであれば付いて居る車も無い訳ではない。付いていてもカーナビ程度の物がほとんどだろう。
しかし、この車はそんなカーナビ程度ではなかった。家にあるのよりは小さいが、それでも立派なテレビで、家に置いてあっても違和感は一切無いだろう。
そして、大きなソファーが置いてあるのだ。壁に添うように置いてあり、俺たちが全員座るには大きいぐらいだ。そして、その中央には白いテーブルが置いてある……俺が知って居る車では完全になかった。
「これだけじゃないよ♪」
静奈さんは車の奥の出っ張りを引っ張ると、二人は寝れるベットがあった。もちろん布団も付いて居る。食事とトイレがあれば確実にこの場所で暮らすことが出来るだろう。
「こんな車良く持ってますね……」
「この車は私のおじいちゃんが、特注で作ってもらった見たいだよ♪私が小さい頃にだけどね♪」
「おじいちゃんすごいのだ……」
「ああ……」
「そうだね、世界が違うよ……」
とにかく、この車は物凄いのがわかった。そして、車でも改造すればホテルのような中にすることが出来るということが分かった。勉強になったと思えばいいのだろうか?とにかく、こういう凄い車もある事を知った。
「出発しますので、あまり立ち上がらないでください」
「声が聞こえたよ!?」
「運転席とここは、機械で繋がって居るよ♪だから、声が聞こえるんだよ♪流石に移動は出来ないけどね」
「そ、そうなんですか……」
彩は当たり前のように言う静奈さんに驚きながら、無理やり納得させたようだ。俺たちでは一生手にする事が無い車だろう。今回の機会にじっくり見て置くのがいい見たいだ。
「あ、六花さんにこの車の写真送ろう」
そう言えば、昨日の夜に六花さんから言われていたのを思い出した。
『私も東京には行ったことが無いから、驚いたものがあったりすれば、写真に撮って送ってきて!!送ってこないと、い♥た♥ず♥ら♥するぞ♥♥』
と、もはや脅迫に近い文章で送られてきた。ちなみに、どういう悪戯ですか?聞いたが『航が喜ぶことよ!』と返ってきた。
六花さんからの悪戯……それも俺が喜ぶ事……少し変な想像をしてしまったのは否めないが、もし違ったら物凄く怖いので、送らなければ。
「静奈さんいいですか?」
知り合いの車だが、持ち主は違うので聞いておいた。もし、静奈さんがダメというのであれば撮ることは出来ないからだ。
「撮るのは全然大丈夫だけど……どうして?六花に何かお願いされたの?」
あのまま内容を説明するのも何か嫌な予感がするので、俺は簡潔に言うことにした。
「六花さんに昨日の夜に頼まれました」
「ふーん♪そうなんだ♪」
「……どうかしましたか?」
少し不機嫌そうにする静奈さんから俺は視線を外す。これは、もしかして……いや、俺の考えすぎか。勘違いだったら恥ずかしいので言わない方がいいだろう。
写真を一枚撮り、六花さんに送る。先ほど撮った写真と、少しも文字も一緒にして。そして、少しすると六花さんから返信が返ってきた。
『物凄いわね……』
その短い文書で、六花さんが苦笑いを浮かべている光景がなんとなく浮かんできて、少し笑ってしまった。
「あ、航が立花先輩からの返事見て、笑ってる……」
「少し不気味なのだ……」
不機嫌そうな彩を尻目に本当に不気味そうな目で見て来る柊。そんな二人に苦笑いを浮かべると同時に車は動き出した。




