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異世界人生ゲーム2

次は彩の番だ。始まってそうそう無職になった彩だが、ゲーム自体ままだまだ続く。人生ゲームなので、無職でもなんとかなるように出来ているはずだ。続けるほかないだろう。


「いくよ!」


 彩はルーレットを回す。出た数は五だ。自分の車を持って彩は五マス進める。


「えっと、無職のあなたの家にお得な話がやってくる……あ、これダメなやつだよ……」


「とりあえず読むのだ!」


回復役ヒーラーになったにも関わらず、無職になった柊は早く進めたいのか彩をせかす。どうにかして職を見つけたいのだろう。


「わかった!えっと……だが、流石の無職ひきニートでもこの話がまずい話だ気づき、断る……言い方がすごく嫌だけど気が付いたんだ!!良かったよ」


「まだ続きがあるみたいだぞ」


「あ、ほんとだ……しかし、進められた話は大成功!話に乗っておけば、一生遊べる生活が出来たのに棒に振ることになるwwワロタwww五千円失うって書いてある……」


「桜さんは、序盤からツイてないわね……少し可哀そうに思えてくるわ」


「結局悪い事になるんだね♪」


 危ないと思って断った話が大成功して、五千円失った彩の次は柊だ。柊は勢い良くルーレットを回して、止まった数は再び七だ。


「なんだか嫌な予感しかしないのだ……」


 先ほどと同じ数で車を進める柊は少し怖そうな顔をしながら進める。止まったマスは先ほどと同じ髑髏ドクロマークのマスだった。


「最悪なのだ……」


「二人共可哀そうだな……」


 彩と柊だけが今の所悪いマスに止まって居る気がする。俺や静奈さんも言い方は悪いマスに止まっているが、利益は出ている。しかし、二人はほとんど何もない。


「人生の分岐点に出くわす……出くわすのは早すぎると思うのだ」


「まぁ、ここが人生の分岐点なんだよ!」


 柊が悪いマスに止まって物凄い笑顔になっている彩……なんだか必ず彩も悪いマスに止まる気がして仕方ないが、何も言わないでおく。


「ルーレットを回して、七に止まれば今まで通りにゲームを進めれる。それ以外に止まると、冒険に向かわされる……全くメリットが無い気がするのだ……」


「髑髏マークだからじゃないかしら?」


「私もそんな気がするな♪けど、七に止まればいいんだよ♪」


「そうなのだ!止まれば問題ないのだ!!」


 二回連続で七で止まって居るルーレット。運が良ければ三連続で七を出せるかもしれないが、望み薄だろう。そんなことほとんどありえないのではないだろうか。


「回すのだ!」


 人生の分岐点……冒険というのはどんなのか気になるが、柊はルーレットを力強く回す……七に止まれば今まで通りゲームが出来るがーーー。


「あ……」


 その声と共にルーレットが飛んでいき、再び彩の車に激突する。ルーレットの勢いが強すぎて外れたようだ。


「私ぃぃぃ!!」


 二回目となる事故により、彩の車は再び地面に落ちて、転がって行った。車に乗って居る彩からすれば、急に隕石が降ってきたような感覚だろう。


「すなないのだ。つい、勢いが強かった見たいなのだ」


「これで二回目だよ!!」


 彩は自分の車を探しに席を立つが……なかなか帰ってこない。暫くゲームは中断され、彩が帰って来ると口を開いた。


「私が居なくなった……」


「どういうこと?」


「車を見失いました……」


 どうやら先ほどの柊のせいで彩の車がどこに行ったのかわからなくなったようだ。みんなで探すが、結局彩の車は行方不明になったままだった。


「とりあえず、新しいの用意しましょう」


「わかりました……」


 探すのを諦めた俺達は二代目である彩カーを準備して、ゲームを再開させる。部室に居る時間はかなり長いのでいつか見つかるだろう。


 探し物というのは欲しい時には見つからなくて、どうでも良い時には直ぐに見つかったりするものだ。いつか、どうでも良い時に見つかったりするだろう。


 気を取り直して再びルーレットを回す柊……結果は想像していた通りの結果で、止まったマスは一だった。惜しい結果にもならなかった。


「我の人生は悪い方に分岐したのだ……」


 たかがゲームだがされどゲーム。人生ゲームでお金持ちになる夢ぐらい見たいはずだ。そして誰よりもお金持ちになり、先にゴールしたいのはみんな同じだと思う……しかし、柊の人生は分岐した。それも完全に悪い方向に……。


「冒険ってどうするのかしら?」


「これじゃないですか?」


 彩は人生ゲームの端の方にあるマスを指さす。そこには『落ちこぼれの冒険者たちの通る道』と書かれたマスがあった。


 説明書にも冒険に行くことになった人はそこを一マスづつ進んでいくように書いてある。そこで間違いなにみたいだ。


「くくく、我に掛かればそんな冒険直ぐに終わらせて、戻ってきてやるのだ!」


 自分で冒険のマスに車を置き、六花さんがルーレットを回す。止まった数は六だった。


「えっと……これ、物凄くいいマスだと思うわ!」


 六花さんが止まったマスには、天使のマークが書いていた。柊が二度止まって居る髑髏マークとは正反対のマークなので、これはかなり期待できるのではないだろうか。


「突然、部屋で寝ているあなたに天使が舞い降りた。その姿はあまりに可憐で、この世の者とは思えないほどの空気をまとっていた……そんな天使があなたに口づけをしたーーー百万円手に入れる」


「…………」


 多分、みんな同じ気持ちになったのではないだろうか。突然百万円という大金を手に入れる六花さん。これは完全に勝ちなのではないだろうか。


「天使のマスが強すぎると思うのだ!」


「天使のキスに百万の価値なんてないよ!可笑しいよ!」


「なんか、お金持ちを貪りつくして手に入れた一万円がなんとも言えない気分になるよ……」


 このゲームは天使のマスにいかに止まるのかが勝負の決めてのように感じる。チラッと見る限り、ほとんど天使のマークは無いことから、毎回止まればかなりのお金を貰えるのではないだろうか。


「とりあえず、次私が回すね♪」


 静奈さんはルーレットを回す。止まったマスは十だ。自分の車を十マス進めるると、そこには宝箱が掛かれていた。


「どういうマスだろ♪」


「えっと、説明書には止まるとお宝を貰えるって書いてます。お宝カードを裏向けて一枚上から引く見たいです」


「何が出るか分からないだね♪」


 こういうお宝カードは基本的にランダムに選ぶのではなく、もらえるカードが決まって居る物だと思うのだが、このゲームではランダムに選ぶみたいだ。


 場合によってはかなり高額のお宝を序盤で入手することもでき、逆に言えば全然使えないお宝の場合もあるというリスクとリターンを兼ね備えているということになる。だが、これはかなり面白いマスだと個人的には思う。


「とりあえず、引いてみるね♪」


 俺は誰にも見えないようにお宝カードを混ぜて、もう一度集める。そして、静奈さんはカードの一番上を引いた。


「…………」


『ギャルのパンティ!』


 静奈さんが無言で見せてきたお宝には前に、商店街に先輩二人と行った時に、女性用下着が売って居る場所で大量にあった下着の図が書いてあった。


 お宝がギャルのパンティというなんとも反応に困る物だった。俺達にすればそうでもないが、人によれば確かにお宝になりうる物だったのは間違いない。


 某アニメでは願い事を叶えられる場面でギャルのパンティを頼んだ者もいるのだ。一概にもお宝ではないとは言えない。


「えっと、このギャルのパンティは、大変貴重な物です。この世界でも珍しいミノタオルスのメスが着用していたもので、使い勝手が良いパンティ……破って使ってもよし、そのまま被ってもよし、焼いたり、焙ったりして食べてよし……なんにでも使える万能アイテムですだって……」


 静奈さんはなんとも言えない表情でお宝カード……ギャルのパンティをお金を置いてある場所に置く。


 確かに書いてある説明は良く分からないことが書いてあるが、カードに書いてある値段は五十万円の価値がある。それを無駄にするのは勿体ないだろう。


「それにしても静奈はそのパンティをどうするのかしら?まさか、焼いて食べるんじゃ……」


「六花?」


 静奈さんは六花さんの名前を笑顔で呼んだ……しかし、それはいつもの柔らかい声ではなく、商店街の時と同じ静奈さんの声だった……怖い、笑顔が物凄く怖い。


「なんでもないです……」


 六花さんも直ぐに静奈さんの様子に気が付き、言うのをやめた。続きを言ったら何をされるのか全く想像も付かない。


「と、とりあえず、次は俺ですね」


 気を取り直して俺はルーレットを回す。出た数字は九だ。俺は車を九マス進める。


「えっと、ギルドでクエストボードを見ていると、あなたの仲間になりたそうな顔でこちらを見ている女性が居た。仲間にしますか?しませんか?」


 どうやら仲間が増えるイベントのようだ。これは結構良いことがあるのではないだろうか。異世界というだけあって、冒険などに行く機会はかなり多いのではないかと思って居る。仲間が増えるのではあればそれだけ有利に進めるのではないだろうか。


「当然仲間にする」


「我もそうするのだ!!」


「仲間が増えるのは羨ましいよ!けど、私は職が欲しいよ!!」


「どこかで再就職する所あると思うよ♪それよりそのマス、まだ続きがあるみたいだよ♪」


「本当ね……えっと、しかし、実はあなたは女性に全く興味が無い珍しい男性だった。女性など興味がない!と仲間になりたそうな女性のお尻を蹴り、帰らせる……後日、女性から慰謝料を請求させる、一万円失う、って書いてるわ」


「仲間になるイベントじゃないのかよ!それに、くだりが長い……」


 結局俺の仲間は増えずにお金だけ失った。普通に一万円失うにしたらいいのに、わざわざ仲間が増えると思わせてお金が減るという結果になった。


「結論、航がホモだったということがわかったわね」


「そうだね♪私も前からそうじゃないかと思ってたよ♪」


「先輩もですか!実は私も思ってました……」


「我も思ってたのだ……航先輩ずっと男ばかり見てたし……」


「あの……やめて貰っていいですか?」


 俺の時だけやけにみんな息があるな……ウンコマスターの時もそうだったし……なんとも言えない気分になる。


「次は私だよ!!職とお金が欲しいよ!」


 彩はルーレットを回す。出た数字は七だ。なんか嫌な予感がする数字だが、流石にそんな何回も髑髏には止まらないだろう。


「えっと、現実世界の知識を使ってお金儲けに成功!その名はオレオレ詐欺!老人からだまし取り十万円手に入れる!」


「…………」


「私は悪くないです!そんな目で見ないで!!」


 お金が貰えるマスに止まったのはいいが、どうしてこう変なマスばかりなのだろうか。漏らすは貪るは、騙すは……この人生ゲームはこんなマスしかないのだろうか。


「ていうか、さっきから全く職業使ってませんよね……」


「確かにそうね……けど、無職が二人いるし、ちょうどいいと思うわ」


「そうなのだ!我と彩は助かってるのだ!」


 そういう柊の番になる。しかし、この時言った柊のセリフは完全にフラグになっていたのだろう。まさか、言った瞬間から職業が関係してくるなんて……。


「このマスは一マスづつ進むらしい」


「わかったのだ!」


 冒険に出掛けた柊はマスに書かれた内容を読み上げる。


「大型モンスターの討伐に出掛けることになる!世界中を闇に落としれた最悪のモンスター……そいつを倒すために仲間になることにする」


「急にそれっぽくなったね♪」


「まだ続きがあるのだ!職に就いて居る者は十万円手に入れる。就いて居ない者は、十万円払う……」


「柊、そういう事もある。ドンマイだ」


「全然嬉しくないのだ!!」


「つかさ、十万円持ってるの?」


「持ってないのだ……」


 人生ゲームには借金になる場合もある。当然人生なのだから買えない物を買ったりすると借金する。そういう借金をした者に渡すのが約束手形と呼ばれるものだ。


 約束手形は一枚二万円で返済できる。ようは、いくら借金しているのかと分かりやすくするための物だ。俺はそれを五枚……十万円分を柊に渡す。


「二万円はあるのだ!一枚返済するのだ!」


 始めに貰ったお金の分で一枚返済したが、柊の借金地獄は始まったばかりだった。


 それから、俺達は人生ゲームを続けてプレイする。そのつど、冒険に出ている柊はモンスター討伐に駆り出されるが、ことごとく無職ということでお金を失っていく。


 俺達も良く分からない出来事が滝のように落ちてきて、お金を失ったり、良く分からないが増えたりしながらプレイした。


 そして、柊が冒険から帰って来る頃には、柊の持っている物は赤い約束手形のみという状況になっていた。


「こんな人生嫌なのだ……」


 その言葉にどれほどの想いがあったのかは俺には定かではないが、少なくとも大量の約束手形を見つめる柊の目は死んでいた。


 いきなり無職になった彩をバカにしていた時の柊はどこにもいなかった。ただ、無職という現実を再確認させられた冒険だったようだ。


「それじゃ、私の番ね」


 六花さんがルーレットを回す。人生ゲームの終盤に差し掛かってきた所だろうか。この設定が異世界という設定である意味すらも疑わしくなってきた所だが、気にしないに越した事はないので気にしないで置く。


「五マスね……」


 車を持って五マス進める六花さん。そんな六花さんの顔にも少しだけ疲労が見えるのは気のせいではないだろう。それほどにこの人生ゲームについていくのは疲れる……まるで、本当に人生を歩んでいるかのような錯覚に落ちいる。


「ランクアップマス……これは何かしら?」


「そうですね……説明書には職をランクアップさせることが出来る見たいです。六花さんの職って何です?」


「私は狩人よ……全く使ってない設定だけど」


「実際に職が無くて困ったのは柊ぐらいですね」


「そうね……とりあえず、どうランクアップするのかしら?」


「裏に上位職が書いてある見たいですよ」


 六花さんは自分の職業カードを持ち上げ、裏をめくる。そして読み終わったのか、それを俺達に見せてきた。


「狩人から、人狩りにランクアップ!人狩りは性的に人を食べていく職業だよ♥ガオー!食べちゃうぞ!!あなたのテクニックで人たちを骨抜きにてぇぇぇぇぇ♥♥♥って書いてるのだ」


「可愛くかいてるけど、書いてある事は最低な事だね……」


「このゲームを作った人の正気を疑うレベルですね……」


 彩と静奈さんはため息を吐きながらそう呟いた。確かに、このゲームを作った人は一体どうな風に考えながら作ったのだろうか。


「と、とりあえずランクアップしたわ。それは嬉しいことよ!」


「そうだね♪それで?始めの獲物は航君?」


「な、静奈さん何言ってるんですか!」


「え?別に何も言ってないよ?それでどうなの六花♪」


 六花さんは下を向いたまま黙って居る。何か言ってくれないと気まずい……それに彩が思いっきり俺の事を睨んでる!俺は何も悪く無いのに。


「静奈……」


「どうかしたの♪」


 六花さんをからかって楽しんでいるように見える静奈さん。しかし、六花さんは真顔で口を開いた。


「その言葉、物凄くおっさん見たいよ……」


「…………」


「その時、静奈先輩に電流走る!」


「彩……そっとしておくのだ」


 静奈さんは無言のままルーレットを回す。出た数字は六だ。やはり無言のまま車を持って進める。


「静奈!ごめんなさい!許して!!」


 あまりの静奈さんの無言に六花さんが耐え切れなくなって静奈さんに誤った。それを聞いた静奈さんは笑みを浮かべて口を開く。


「ナニイッテルノ?ワタシゼンゼンオコッテナイヨ」


「先輩、聞いたことがないぐらいカタコトなのだ!」


「フフフ、ソンナコトナイヨ」


 明らかにカタコトの静奈さんは止まったマスに書いてある文字を読む。


「女なのにおっさんに間違われる。一回休み」


「…………」


 その言葉と共に静奈さんの顔から笑みが消えて、異世界人生ゲームは誰もゴールせずに幕を閉じた。


 静奈さん以外で人生ゲームを片付けて、このゲームは倉庫の奥底にしまい込んだ。もう、二度と俺達のような苦痛を味わいながらゲームする人は生まれないように。


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