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神颪  作者: 尚文産商堂
6/7

神楽殿

祭りがおこなわれる前、3日に及ぶ潔斎を行い、最後に、穢れを祓われた。

祝詞が唱えられ、バサバサと幣が頭上を舞う。

そこまでして、俺はやっと神颪の神事を行う体制を整えた。

この時には、すでに親父の姿はない。

引退したということで、関係者席から見守ることしかできないそうだ。


境内でアナウンスが聞こえる。

「これより、神颪第3部を執り行います。御観覧の皆さまは、神楽殿へとお越しください」

女性の人のアナウンスに導かれるようにして、わらわらと舞台になっている神楽殿へと人が集まってくる。

否が応でも緊張はピークに達する。

「緊張してるのか?」

誰かが声をかけてくれる。

「ええ、初舞台ですし」

「なに、大丈夫だ。ここの神様はしっかりと頑張っている人を評価してくれるからな」

「……分かりました。やってみます」

その声に後押しされ、俺は神楽殿の舞台へと足を踏み入れた。


人の顔は、自然と消える。

緊張は、スッと遠のく。

まるで別の誰かが俺を演じているような、そんな印象すら思う。

その印象を思いながらも、必死で覚えた歌を唱える。

途中、神殿から風が舞いこんで、なにやら歌っているような気がした。

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