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伴奏
「本来であれば、伴奏役も一緒にやるべきなのだが、彼らは、絶えて久しい。どのような伴奏をしていたかというのは、ほぼ残っていない」
聞いてみると、どうやら、昔は確かにあったそうだ。
だが、楽譜はなく、一子相伝、それも口伝で伝わっていくにつれ、人も少なくなっていく村のことだ、伴奏役がいなくなったらしい。
ちょうど、明治に入る前後ぐらいの、幕末動乱の時期だそうだ。
途絶えてしまっては、どうしようもなく、いちおう楽譜らしき書物は残っているそうだが、解読することができないほど傷んでいるらしい。
保存が悪かったようで、虫に食われてしまっている個所がいくらかあり、復元は不可能だそうだ。
そのため、ここ20年は、伴奏自体をあきらめているらしい。
「まあ、仕方ないことさ」
そう、親父はさみしそうに言った。




