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謠
「我が村に 治むる人ぞ 誰ぞ視ん。
山根片葉は言止めて。
何処へ消えん 我が心。
何処へ消えん 汝が心。
何処の村に 坐しまするか 我が心。
颪は吹かん 我が村に。
何処へ消えん 我が心。
何処へ消えん 汝が心。
颪吹き 罪事残らず 飛びにけり。
息吹によりて流離わん。
何処へ消えん 我が心。
何処へ消えん 汝が心」
聞いたことが無い唄だった。
その独特の節回しは、なんとなしに、郷愁を誘う。
ひと息ついてから、父親は語りだした。
「この村のみならず、罪というのはたまっていくんだ。無論、いわゆる犯罪というわけではない。天津罪、国津罪、ここだくの罪というのに当たるという話だ。もっとも、この話も、儂の爺さんから聞いた話で、その爺さんも、さらに爺さんから……といったことで、どこまで正しいのか分からん。ただ、口伝ではあるが、この唄はずっと継承され続けた」
「この唄、なんだろう。懐かしい感じがするんだけど」
「神颪のたびに歌われていた唄だからな。そのせいもあるのだろう」
父親は、なんだか寂しそうに言った。
なぜ寂しそうなのかはわからなかったが、少なくとも、今度は俺がこの歌とともに、祭を伝えていかなければならないようだ。




