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十一章 味方も敵も関係なく暖かく抱擁してあげるのが主人公なんじゃないの?

 続きますね~この小説

「いや、あそこまでやっといて打ち切りとか無いでしょ」

 本編のみなさんは本当に大変そうで変わってあげたいです

「それは単にあんたがでたいだけなんじゃないですか?」

 あ、ばれました?

「そんなもんすぐわかるわっ! はいもうめんどくさいから続けていこう」

 は~い・・・不本意ですけど本編へどうぞ~♪


【十一章 味方も敵も関係なく暖かく抱擁してあげるのが主人公なんじゃないの?】

「こっちに来ないで・・・攻撃するよ?」

 目の前に手のひらをこっちに向けたレキがいる。それでもかまわないと僕は歩き続ける・・・・・・平静を装ってるけど一緒に旅をして何日も寝泊まりした仲だ、彼女が動揺しているのもわかる。

「やりたいならやってくれ」

 僕はもう覚悟を決めている。

「ヘル兄、危ないよ!」

「止めないでくれエミィ、これは僕がやりたいからやってるんだ」

 なんでこんなことをしたのかわからない、何が狙いなのかもわからないけど・・・レキが僕たちを殺せないことはわかってる。だから大丈――

「ぐふっ!」

 頭にめがけて思いっきり岩石が飛んできた。寸前でかわしてなかったらちょっと吹き飛ばされるじゃすまなかったぞ。

「こっちはお兄さんたちを殺せる。だから近づいてこないで」

「違う! いまレキは僕が避けれるとわかってた! それに威力も速度も抑えられてただろう?」

 じゃなきゃレキの魔法はかすっただけで死ぬ。それだけの威力があることを修業も中で知ってるし僕は最初の修業で魔法に対する感覚がかなり研ぎ澄まされてる。あの程度なら避けることができることをレキも知ってる。

「うっ・・・本当に殺すから、次はないから」

 そんなこと言われながらも僕は前に進み続ける。どうせ脅しだ、殺気なんてクソほども感じてない。

「ヘル兄!」

 エミィが心配してるのか涙目で僕のことを呼ぶ、僕は振り返って余裕の笑みを浮かべる、大丈夫だからと声にならない声で言う。

「さあ次はどうした? こないとこっちから近づいていくよ」

「やっやめろ、くるな・・・・・・」

 ブシュゥ、ブシャァ・・・肩と横腹が斬れて血が出る。でも死んでいないし致命傷でもない。

「ぐう・・・おい、なんでこんなに軽いんだ? 次はないんじゃなかったのか?」

「なんでそんなこと・・・・・・こっちはお兄さんを裏切って!」

「関係ないっ!!」

 そんなこと全く関係ないんだ。僕はレキが・・・レキが泣いていたから来たんだ!

「なんでそんなことでここまでする? 泣いていたから? それともかわいいから?」

「ああ、それも理由の一つかな、やっぱりかわいい子はほっとけないからね」

「そんなことで・・・」

 レキが苦虫を噛み潰したような顔で、まるで一生言いたくなかったことを話そうとしているように口を開いた。

「真名を教えてあげる・・・・・・」

 真名!? それはこの世界じゃ人に教えちゃいけないんじゃなかったのか?

「真名はロキ、知ってるよね?」

「ロキって北欧神話に神のことか?」

「そう、美しい顔に邪悪な気質、狡猾さでは誰にも引けを取らずいつも嘘をつく。そんなやつを信じていいの?」

 そうだ、ロキは終わらせる者としての異名も持つ神。確かにいつも嘘をついて気まぐれのままに行動する神だけど

「そんな・・・そんなこと・・・・・・」

「わかった? なら早く檻に戻っ――」

「そんなこと関係ないって言ってるだろうがァ!」

 僕は思いっきり、これ以上ないほどの速度でレキに向かって走っていった。

「なっ、くるなって言ったじゃ」

 魔法を発動させる暇なんて与えない、こいつには言ってやらないといけないことがある! そのまま走って行ってレキに近づきそのまま―――レキを思いっきり抱きしめた。

「え? なんで急に・・・」

「レキ、お前は嘘をついている。それも一番ついてはいけない嘘だ」

「知らないよ、嘘なんて数えきれないほどついてきたから」

「違う、お前は確かに人にたくさん嘘をついただろう、それは真名の性だ。でもお前は気づいてないことがあるんだ・・・・・・お前はよぉ、いま自分に嘘をついてるんだよ」

「え・・・?」

 僕の言ったことが全くわかってないようだ。それはそうだろう、この子は人に嘘をついたことしかないんだから。でもわかる、この子の性格からして絶対に敵と味方を分けるタイプだ。僕の名前を知っておきながら今まで使っていたお兄さんという愛称を使うはずがない。それにもう一つ確実な証拠もある。

「お前が今一番したいことはなんだ?」

「い、依頼主に従って任務を遂行すること」

「違うだろ? お前に心を読まれ続けた僕だ、少しはできるようになったんだぞ、読心術。さあ言ってみろ、お前が心の底からやりたいことを言ってみろ!」

「お兄さんと・・・・・・」

 絶対に嘘なんかじゃない、真実の涙を流しながらレキは言った。

「お兄さんとエミィと、まだ一緒にいたい・・・・・・」

「バカヤロウ、最初からそう言えばよかったんだ、いいかよく聞け。僕とエミィには血の繋がった家族がいないんだ、僕はもしかしたらあっちの世界にいるかもしれない、でもこの世界に至ってはいないも同然なんだ。だから僕たちは兄妹になった! 血が繋がってなくても家族だ、でも二人じゃ少なくて寂しいから三人に増やしてもいいと思ってる。だからレキも家族になろう、お兄さんって愛称じゃなくて本当の意味でお兄さんって呼んでくれ」

「こんな汚いやつでも・・・妹にしてくれるの・・・・・・?」

「ああしてやる、どんな過去を持っててもどんな性格でも嘘をつき続けてきたような奴でも妹にしてやる。だってかわいいんだから」

「本当に・・・下心がいっぱいなんだから、お兄さん!」

「ヘル兄、レキ! 大変だよ、あっちからすごい数の魔族が! ていうか見た目だけいうとヤクザが!」

 なに、いいところだったのになんでモブキャラはこう空気が読めないかな!?

「おらァ、てめェら覚悟しやがれ!!」

「呪縛の章・第二項」

 誰かが呪文を唱えると相手全員が足をなにかに絡め取られたように倒れた。

「うわあァァァ足が、動かなッ!」

 これは、レキがやったのか?

「月闇の影ェ、貴様裏切る気か!」

「レキ、お前いいのかこんなことして?」

 いまのこの感じなら同業者全員を敵に回すことになるんじゃないか? それなら魔族の町に近づくたびに危ないんじゃ

「もう自分に嘘はつかない、やりたいことをするって決めたからいい」

 覚悟を決めたように、天使のような笑顔を浮かべている。なるほど、この子はもう腹を決めちゃったみたいだ。なら僕たちもやるしかないな

「炎塊の章・第二項!」

「おい待て、俺ら今動けないんだけどって――」

 ギャアアアアアアアアァァァァァァァ!!!! という悲鳴が聞こえて魔族たちがしゃべらなくなる。まあ若干やりすぎかと思ったけどどうせやるんだから豪勢にやってしまおうじゃないか。

「狭いところで炎系統使うなって言ってんだろがー・・・」

「いてっ! お前急になにすんの!?」

「いや、せっかく家族になったんだから一歩踏み出した行動に・・・」

「違うよそれ僕の仕事だからってなにが仕事じゃあ! ツッコミで金もらえたら世の労働者は苦労しないんだよ!」

「あ、そうなの」

 はあ、なんか久しぶりにこんなやり取りした感じがするなあ、なにやってんだろ僕・・・・・・

「とりあえず早く逃げようよ! こんなところいたらまたあいつらやってくるよ!」

「あ、ああそうだったね。早くいこうか!」

「待って、こっちは」

 ん? そういえば今までレキと話していて疑問に思ったことがある。なぜか気にしてなかったけどちょっと聞いてみよう。

「レキ、いま言うことかわかんないけどお前って一人称が無いよな」

「え? 一人称ってなに・・・?」

 まさかそんなことも知らないのか?

「ほら、エミィだったら『私』とか僕だったら『僕』って自分の事を表すことだよ、それがないと話しずらいだろ?」

「じゃあ、僕でいいよ」

「え? いやまあそれは後で考えるとして早く逃げよう、てかここどこ?」

「あの教会の地下、上に上がればすぐ逃げられるから」

「それじゃ早くいこうよ、急いで!」 

「そういえばさっきからなんで急いでるんだエミィ?」

 敵はもういないっぽいしそんなに急ぐことはないはずなのに。

「そ・・・それは・・・・・・あの、おしっこ我慢してて」

「へ・・・?」

 今なんて言ったこいつ? はい、おしっこ? ってことは・・・・・・

「やばい?」

「かなりやばいよ」

「早くいくぞォォォォォォ!!!!」

 いくらなんでもこの小説のヒロインにそんなやばいことさせられねェェェ、それにいくらシリアス終わったからってネタに走り過ぎだろどうなってんだこの世界はァァァ!


 さてやばいよ私どうしようってとこで今回はここまで

 次回エミィは無事に用を足せるのか・・・・・・?

 次回からのおふざけパートをお楽しみに!

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