それゆけ美和ちゃん 夢の国へレッツゴー
そうだ、アプリを消そう。こんなわけのわからないもの、消してしまおう!仕組みは分かったけど、もう付き合ってられない。
アプリアイコンを長押しするとバツマークが現れた。これを押せば、終わる。すべて、終わる…。その時突然、アプリのストア説明文を思い出した。
飽きたらアプリを消しなさい。それがあなたの終わりです。
「…終わり」
何かしら予言めいた文だった、とびきりぶっ飛んだ説明文の中でもこの一文はひときわ異彩を放っていたような気がする。この文が示す終わりとは何なのだろうか?
意志の力を源として、成長する石を消す。それは…
「私の意志を消すってこと?!」
まさかね、そんなことあるわけないよ。小説家を目指すのは諦めてしまったけど、小説への情熱は誰にも負けないつもりだった。
すると、どこかから全く知らない声が響いた。
「そのとおりだ。正解」
「え?何…」
と、あたりを見回すとここが自分の部屋ではないことに気づいた。
目の前にはおもちゃ屋のショーウインドーがあった。ショーウインドーの中には、おもちゃが飾られている。きっとお店の中でも一番売れ行きが良い人気ナンバーワンなのだろう。…え?これ、もしかして…
「お嬢ちゃん、このおもちゃが欲しいのかい」
私はゆっくりと声がした方を振り向いた。見知らぬおじさんがいた。私が思い描いた通りのおじさんだ。さらに向こうに目をやると、舞がいるではないか!手には絵筆を持っていて、家の壁に落書きしているようだ。
「舞?!何してんの?」
「わかんないの?この世界を描いてるんだよー!」
ますますわけがわからない。
「お嬢ちゃん、夢の国って知ってるかい」
目の前のおじさんは、私の戸惑いを無視して話しかけた。
「知ってるに決まってるわ。私はこの世界の作者よ」
「そうか。それもそうだな。俺の名前は石山石太郎だ。実はこの世界は、お前の作った夢の国とは似ているが、少し違う所だ。sumitakamakaoが、お前の小説を使って作り出した幻の国だ」
sumitakamakao。確か、アプリ製作者としてアプリに名前が載っていたっけ。しかし、なんなんだ。そのsumitakamakaoというやつは…いたずらにしても手が混みすぎだ。
「さあ、これが夢の国への券だ。入国審査は厳しいが、お前なら大丈夫だろう。さあ行け」
石太郎は私の手に券を押し付けた。私はしぶしぶ券を受け取った。舞はまだ絵を描いている。
「舞もこない?」
「私はいいよ。たぶん、美和と違って入国審査引っかかるから」
「なんで?」
「いずれ分かるよ」
石太郎が手招きしている。早く来いと無言で語っているように見えた。私は何が何だか分からなかったが、とにかく行くしかないように思えた。夢の国…私の設定通りならば、なんでもしたいことができる、まさに夢の国なのだ。つい先ほど、行きたいと願ったばかりではないか。こんな世界を作り出してくれたsumitakamakaoに、感謝こそすれ、恨むなど、お門違いも甚だしい。
私は夢の国へと続く道を歩き始めた。