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末期ナ意味  作者: masaya
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/蠟燭片鱗 7/?

「たまに奈保さんが言う言葉が良く分からない時があるんですけど・・・(さつい)を持っているってどう言う事ですか?」

きっと、どうせ答えなんて返ってくる事はないんだろうと諦めながらも奈保さんに聞いてみる、と奈保さんは睨んでいた資料を机に置き休憩場所でもあるソファーへと歩き座る。先ほどラップに包んだカツサンドをとりだし口に運ぶ。

「んーそうだな。説明が面倒くさいな・・・言ったところでキミなんかに解決出来る訳でもないしなー」

ボソッと笑顔でとんでもない言葉を吐いてくる。なんかってどう言う事だ。少し軽蔑の目でソファーに寝転ぶ奈保さんを睨みつける。

「でも、まあ人間だったら誰だって持ってますよね?殺意ぐらい。別にオカシイことじゃあないんじゃあないですか?殺意を持つぐらい変なことじゃあないですよね?」

思った事をぶつけると彼女はプッと吹き出し笑いだす。可笑しい事を言ったつもりはないのだけど、たまに発言をするとこうして大爆笑とまではいかないが笑われる事が多々ある。最初は馬鹿にされているようで嫌だったのだけど人間には【慣れる】と言う適才能力があるため今となってはなんの感情も出てきやしない。笑う事に満足したのか彼女はもう一度カツサンドを口に運ぶ。

「本当にお前は面白いよ。やっぱり近くに置いておいてよかった・・・クックック。あ、そうだ。蠟燭事件のことで少し分かった事があるけど知りたい?それとも知りたくない?」

今さらな発言。いつもなら流せれる感情も少し波打つのが分かってしまう。それでも、冷静にあれと言い聞かせる。

「勿論知りたいです。でも、数分前までは関わるなって言ってませんでしたっけ?」

「あれ?そうだっけ。まあ、過ぎた時間の事を言った所でそれはもう過去として処理される。正解(ただしいこと)を言うのなら現在(いま)にしないと」

「くっ・・・」

ニヤニヤと弟をからかう姉のように悪戯っぽくだけど優しさがある笑い顔を作る。悔しがる表情を見て満足をしたのかポケットにある煙草に火を付け始めたので、離れた場所で会話をするのもどうかと思い席を立ち彼女の近くにあるパイプ椅子に座り視線を向ける。

「それで、分かった事なんだけど。夢彌痾患者には特定の薬が投与されているのは知っているな?」

「はい。精神安定剤ですよね?」

彼女は目を開き少し驚いた顔をする。

「なぜ投与されている薬が精神安定剤だと知っているんだ?」

「え。さっき見た資料に書いてありましたよ」

「まったくお前と言う奴はどれだけ短時間で色々な情報を得ているんだ」

感心しているのか呆れているのかは不明な点だけれども今そんな事を論争している場合じゃあない。彼女も分かっているのか気を取り直すように煙草の煙を吐き続ける。

「夢彌痾専門調合医師でもある佐江島氏が先ほど亡くなったらしい。まだ世間には出ていないがね」

「えっ?もしかして、」

「分からない、けどね明日、私は彼と会うコンタクトを取っていたんだ。それも、大切な話があるから会ってほしいと欲しいと言われてね」

「大切な話し?奈保さんは佐江島さん?とは面識があったのですか?」

「ふー。彼とは旧知の仲でね。それに最近不可解な事ばかり言ってきていたんだ」

そう言うと彼女は立ちあがり自分のデスクから紙を取り机の上に広げる。電話記録だろうか?資料を取り目をやる、と確かに日常会話ではまず出ない単語が多く出ている。【消される】【今回の事件は夢彌痾がやったことではない】【私は知っている】【これは人間がやっている事ではない】【愉快犯】【知られてしまった】【助けてくれ】全て不気味なほど生々しい記録。

「・・・そうですか。でもどうして佐江島さんが殺されてしまったんだろう。何か重要な事を知ってしまったのでしょうか?」

「まあ、十中八九そうだろうね。そして、それを私に密告しようとしたから」

「消され・・・た?」

「そ、言うこと。まあ、今は悲しんでいる場合じゃあないさ。アイツが残してくれた想い(きろく)を無駄にしたくないからね」

そう言うと彼女は立ちあがり背伸びをすると自分の席へと戻っていく。散らばっている資料に目をやっていると少し気になる単語を見つける。

「すいません。ここに書かれている、聖堂教会ってなんですか?」

「ん?聖堂教会・・・ああ。二駅を跨いだ所にある馬鹿でかい教会があるだろう?」

「ああ・・・なんでしょう。なんか疎らですけどちょくちょくこの教会って言う単語が出てきているんですよね。なんだろ。ちょっと気になるな・・・帰って来たばかりですいませんけど、ちょっと出てきます!」

立ちあがりコートを羽織り散らばっていた資料をカバンの中に入れドアノブに手をかけた時、ちょっとした疑問が浮かび上がってきたため振り向き奈保さんに問いかける。

「そう言えば、奈保さんはどうしてこの事件の事を僕に話そうと思ったんですか?最初に言った事を覆すなんてらしくないですよね?」

すると山積みになっている資料の隙間から顔をひょこっと出しニコッとほほ笑んでくる。

「キミは異常なぐらい普通だから。私とは違った答えを導き出してくれると思ってね。まあ、期待はしていないけど」

「・・・行ってきます」

「あ、そう言えば遙堪は?・・・って行っちゃったか。大丈夫かな、一人であんな場所に行っちゃって。まあ、普通の人間を殺すような事はないだろうから大丈夫か・・・それにしても禍々しい星空だな。遙堪のやつまた無茶してんじゃあないだろうな」

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