/輪郭輪廻
「知っている?人ってね。死んだら死ぬの。動かないの。生き者がただの物になってしまうの。それって本当に不思議だと思わない?世の中に死って凄く多くあるものだと思っていたの。物語りだってそうでしょう?物語だからって命を多く奪い過ぎだと思うの。だからってそれが悪いわけではないわ。けれど、最近は麻痺してきているの。と、言っても私がどう言ったところで何も変わらないのだろうけれど」
彼女は目の前に横たわるただの物になってしまったソレに向かい話しかけている。シトシト。と、彼女の左手から流れるど綺麗な赤い血液。滴る血液を愛おしい物でも見るかのように彼女は月に照らし見つめている。
「ん?」
背後から音がしたため彼女は振り向く。と、震えながらもこちらをじっと見つめる一人の青年が鋭利な刃物を持ち彼女に向けている。彼もまたギリギリの状態で彼女に殺意を向けているのだろう。いや、もう、きっとただの物にされてしまうことを悟っている。が、それでも少しでも抵抗したいのだろう。
「ふふっ。私は悪くないわ。だって、あなた達が大勢で私を連れ去ったの。私は、ただの正当防衛。罰を受けるのは悪いことをした人。そう、私は悪いことをされてしまったから、悪いことをしようとした人に身を守るためにただ、ただ、傷つけているだけなの」
青白く輝く月に照らされる女性。艶やかに微笑む華奢で今にも壊れてしまいそうな少女。
「わ、悪かった。俺たちだってそんなつもりで襲ったわけじゃあない」
「そんなつもりじゃあないのに襲ったの?ふふっ。また、頭が悪いことを言うのね。頭が悪い方って本当に言葉選びも下手なのね。まあ、いいわ。あなたがどう言ったところで私は貴方を・・・」
「・・・!!!」
悲鳴にも聞こえる声が夜空へと木霊する。つい先ほどまで動いていた者がもう、ただの、物。に、なってしまっていた。必死に握っていた刃物は彼の喉元へと突き刺さっていた。彼女は芸術を眺めるようにうっとりとした表情を浮かべ砂利に広がる血液をつかんでみる。ポタポタ。と、滴る血液を月光に照らしてみる。と、彼女はより艶やかな笑みを浮かべる。
「あぁ・・・なんて綺麗な血液」




