/蠟燭片鱗 24/122
長い間お待たせして申し訳ございません。蠟燭片鱗再開です。
違和感を覚えた僕は振り向いてみる、と不気味な藁人形のようなものを大切に抱きながらクスクスとこちらを笑いながら見つめてくる一人の少女が目に映ってくる。しかし、笑っていると言っても明らかに殺意をもった笑みであり可愛らしい女の子がする笑いではない。咄嗟に先ほど聞いた忠告を思い出す。咄嗟の出来事に大体の事は驚いたりする方ではないのだが、あまりにも唐突な出来事に全身がなにか拘束具のようなものに囚われてしまっているかのように自由に動くことが出来なかった。尻もちをつくことさえ許されない空間。ただ、足の痛みが襲うたびにこれは夢ではなく現実だと認識できる。ゆらりゆらりと彼女は殺意を僕へと向け近づいてい来る。
「ねぇ・・・お姉ちゃんはどこ?私のおねえちゃん・・・返してよ?お姉ちゃんはお兄ちゃんのじゃあないよ?あの時助けてあげたのにどうして私のお姉ちゃんを取るの?どうして?私、頑張ったんだよ?もう昔に戻るのは嫌なの。だから返して?私のお姉ちゃん。ねえ?お姉ちゃんはどこにいるの?早く私に返してよ?ねぇ?どうして?お兄ちゃんが私の取っちゃうの?お兄ちゃんももしかして私のこと虐めるの?どうして?私の事を虐めるの?・・・・・・どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうし て?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どう して?」
操り人形のようにカタカタと上下に頭を動かしながら近づいてくる。命を感じる事が出来ない。あの時に出会った時のような幼く人間らしい表情はどこにもない。今、目に映っているのはただの創り物にしか見えない。後ずさりしようにも体が言う事を聞かなければどこへ逃げていいのかさえも分からない。ジッと死を待つしかないと悟った瞬間、
「ねえ?」
「はっ!?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。ふと体の強張りが解け自分の意思で振り向くことができる。視線に入ってきたのは不思議そうにこちらを見ている遙堪の姿だった。咄嗟に振り向いてみるけどそこには誰もいない。ただの静かな廊下。当然のように先ほど見ていた静かな廊下が視界に広がる。しかし、先ほど見た事が嘘だったとは到底思えない。あれは真の出来事だっただろう。ごくりと生唾を飲む音が彼女にまで聞こえてしまうのではないかと思うほど大きな音を立て喉を通っていく。彼女もまたなにかを感じ取ったのか表情が険しくなり僕の裾を数回ほど引っ張ってくる。
「なにがあったの?」
「・・・いや・・・なんでもない・・・よ」
「・・・本当に?」
「・・・うん。ほら?実際に僕は何ともないでしょ?」
「・・・そう。貴方がそう言うならそう言う事にしておくわ。それで面会は出来たの?」
「あ、うん。ちょっとだけどね。その後すぐにまた寝むちゃったから」
数回頷くと彼女はエレベーターへ向かい漕ぎだす。つっ立っている訳にもいかず歩き出しもう一度気になり振り向いてみる、がそこには誰も居なかった。小走りで彼女の横へと向かう。ちらりと彼女の表情を盗み見して見ると心なしか怒っているように見える。超がつくほど物事には察しがいい彼なのだけどこう言った人の気持ちに関しては超がつくほど鈍感だったりもする。なので彼女がどうしてこんな表情をしているのかは分かっていない。しかし、本能的に今、彼女に疑問を投げかける事は自殺に近いと分かったのかジッと黙り横を歩いていた。エレベーターの前へつきボタンを押すとオレンジ色に光った数字が順に光りものの数秒で僕たちの前へと到着する。チンと言う軽い音と共に扉が開く。すると大柄な黒装束の男性が延長ボタンを押し待っていた。彼女はお構いなしにエレベーターの中へと入っていく。急ぎ後を追うようにエレベーターへと乗り込む。ドアが閉まりエレベーターが動き出す。妙な静けさが三人を覆う。妙な雰囲気に息苦しさ堅苦しさを感じているとぼそりと大柄な黒装束の大男が口を開く。
「しばらくだったな」
一体誰に話しかけているのだろうか。僕は見覚えがなければ横で座っている彼女もまた我関せずといった風な感じで眉毛一つ動かしていない。何が面白かったのかクックックと我、愉快と言わんばかりに笑いだす。
「相変わらずだの。遙堪」
名を呼ばれて観念したのか小さなため息をつくと器用に車椅子を動かし大男へと体を向ける。大男もまた手すりに腰をかけ視線を少しばかり下げる。どうしたらいいのか分からず彼女を見ているとこちらを向き小さく頷く。
「大丈夫。彼は敵じゃあない」
「敵?なんだお前?またなにかやらかしたのか!?だっはっは!面白いのー!!!それよりも新しい相棒か?」
そう言うと大男は品定めでもするかのような視線でこちらを見てくる。すると何を思ったのか不思議そうな表情をすると遙堪へ視線を向ける。
「どう言う事だ?こいつにはなんの魔も感じないぞ?ただの人間か?」
「ええ。彼は普通の人間よ」
「普通って・・・」
「がっはっはっは!面白い!遙堪がただの人間と手を組むか。がっはっはっは。これはいいものを見たわい。坊主?」
「は、はい!」
黒装束の大男は被っていたフードを脱ぎ顔を出す。金色の髭、髪、瞳。見た目だけで圧倒されてしまいそうになる雰囲気。彼は全てを超越している存在であることはヒシヒシと伝わってくる。【特別な人種】この言葉が一番合うのではないかと言うぐらい圧倒的な存在感、神々しささえ感じさせる風格。ただ、顔を見ただけなのに言葉が上手く出て来なかった。
「遙堪をよろしく頼むのー!!こやつは無茶をよくする」
「はぁ・・・」
反応に困っていると目的の階へと着いたのか扉が開く音がする。するといつの間にか遙堪はそそくさとエレベーターから降りていたので会釈を済ませ僕も降り振り向くと先ほどまで大笑いをしていた大男の姿はどこにも見当たらなかった。なにが起きたのか分からず戸惑っていると後ろから声が聞こえてくる。
「彼を探しても無駄よ。もう居ないから」
「それってどう言うこと?」
「言葉の通りだけど?」
そう言うと彼女は何事もなかったように漕ぎだしたので仕方がなく歩きながら質問をする事にした。




