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末期ナ意味  作者: masaya
29/55

/蠟燭片鱗 22/?

更新が遅れてしまい本当に申し訳ありません。いつも楽しみにして下さっている方にはご迷惑をおかけしております。4月の中旬頃には・・・きっと安定して更新していけると思いますので今しばらくは不定期更新です。

ご迷惑をおかけします。

発展しつつあると言ってもまだ途上中の街並。少し足を伸ばしてみれば自然だって多く残っている。しかし、目の前の建物には命がないように見えた。病院と言えば命を救う場所だと思っているし実際に命を生かす場所だ。しかし、どうしてか先ずこの建物を見て出てきた思いが【嘘】と言う言葉だった。嘘と言ってしまえば語弊があるかもしれないけれど、どうしても薄気味悪さが襲ってきてしまい一歩が踏み出せずにた。すると隣から声が聞こえてくる。

「どうしたの?気分でも悪いの?だったら丁度いいじゃない。ここで看てもらえば?」

からかっているのか彼女の声には少しだけ笑い声が含まれていた。きっと彼女も本当は僕が感じている気持ち(もの)が分かっているのだろう。クスクスと僕がどう動くのか観察でもしているのだろう、彼女もその場を動こうとはせずジッとその場に止まっていた。普段は簡単に動かしている足が今だけ上手く動かす事ができない。怪我をしているせいだと思いたいがそうじゃあない。もしそうだとしたらここまで歩いて来れないだろう。きっとこれは(きもち)の問題なんだろう。それともただの罪悪感から来るものなのだろうか。すると業を煮やしたのか今までジッと隣で止まっていた彼女が動き出す。

「何を思っているかも思おうとしているのか分からないけどきっとそれは考えても無駄なことだと思うわよ。目に見えないものを考えたところで答えなんてでないわ。そんな妄想(くだらないこと)をするぐらいだったら目の前にある事をやった方がいいわよ」

そう言うと彼女は先に病院へと入っていく。上手く言い返す事も出来ずただただその場に立っていることしか出来なかった。するとガラス越しから彼女が睨みつけるようにこちらを見てくる。違う意味でも入りにくくなってしまったけどあんな般若見たいな表情をされては入らざるを得ない、のでごくりと唾を飲み病院へと入っていく。入り先ず感じた事は意外と健康そうな人達が溢れかえっていると言う事だった。病院と言うものは体が悪いから赴く場所だと思っていた、が視界に入って来たのは至って健康そうな人達だった。

「そりゃあ、ここは来客用の応接室だもの」

呆れているのかため息をしながら彼女はぼそりと冷たい言葉を投げかけてくる。流石に僕も苦笑いをするしかなかった。呆れつつも彼女は僕を待っていてくれたのか来客室を通り過ぎ何やら白衣を着た女性と会話をしつつ何か紙のようなものに何かを記入し始める。僕は何をすればいいのか話からず彼女の少し横に立っていると書き終わったのか挨拶を済ませ漕ぎだす。つられ彼女の隣を歩いて行きエレベーターへと乗り込み7階のボタンが光僕たち二人を乗せた箱が上へと動き出す。

「どうしたの?急に大人しくなったけど?」

視線はドアへと向けたまま言葉を投げかけてくる。

「いや。ここまで半ば勢いで来たけど、今さらながら彼女に合わす顔がないかもしれないなんて思えてきて」

「・・・ちっ」

不快感が込められているであろう大きなため息、舌打ちが遙堪の口から吐き出される。きっと誰が聞いても彼女は怒っているであろうと分かる。誰よりも遙堪の近くに居る僕なら尚更彼女の気持ちが痛いほど分かってしまった。自分でもどうしてあんなことを口走ったのか分からなくなる、がここで思考停止しても仕方がないのですぐさま言い(フォロー)をする。

「ご、ごめん。別にそう言う意味で言ったんじゃあないんだ」

「そう言う意味で言ったんじゃあないならどう言う意味で言ったのか詳しく聞きたいわ」

「あ・・・」

「喋らないで。聞きたくないから。皮肉で言ったのも伝わらないの?」

言葉を発しようとするとすぐさま彼女が鋭い言葉を向けてくる。その後、なにも喋る事ができず気まずい雰囲気がエレベーター内を包み込む。その静寂を切り裂くようにチンと音がするとドアが開く。目的地に着いたのだろう。僕はすかさず延長ボタンを押し遙堪が出るのを待つ。彼女がで終わるとすかさず彼女の背後には立たないようにそっと素早く出て横へと立つ。先ほどとは違いここにはまるで(おと)が無いかと思わせるような静けさ。音と言えば喫煙所になっている場所にある自動販売機の音ぐらいであとはなんの音もしない。人の足音、会話、あらゆる生活音が聞こえてこない。この病院の入り口を思わせる異様な空間だった。病院と言うのは大体に静かな場所であるけれどここは異常なぐらいに静寂すぎた。その静寂に臆することなく彼女は車椅子を漕ぎだす。病室がどこだか知らない僕はただ、ただ彼女の横をついて歩くしかなかった。病室の扉は全て閉まっており耳を澄ましながら歩いていても物音一つしない。するとある病室の前で彼女の漕ぐ手が止まる。

「ここよ」

そう告げると彼女は来た道を戻り始めたためつい声をかけてしまう。

「え。遙堪は入らないの?」

「私は櫨谷くんを案内しただけよ?」

「で、でもさ。一緒に顔を見て行けばいいじゃあない?」

今日一番の不思議そうな表情をしながらこちらを見てくる。僕の言っている事を本当に不思議そうな瞳で純粋な何も知らない子供のようなあどけない表情に見えた。三割増しで遙堪が幼く見えてしまう。その表情に次の言葉を迷っていると彼女の方から口を開く。

「どうして?私は彼女と何ら関係がないもの?用事があるのは櫨谷くんでしょ?私は彼女と話す事なんて無いし、櫨谷くんが他の女性と会話するところなんて見たくないもの」

そう言うと彼女は自動販売機がある場所まで車椅子を走らせていた。流石にここまで来て遙堪に頼るのはいい加減見放されそうなので一人で入室する事を決める。大きく深呼吸をしてみる、と病院独特の空気が肺にめいっぱい入り込み勢いよく吐きだす。

「よし」

小さく言葉に息をつけドアを開くと部屋からふんわりとした風が出迎えてくれる。まるで別世界へと来たのかと思わせるぐらい暖かな雰囲気に戸惑いを隠せなかった。廊下と部屋ではここまで空気(ふんいき)が違うのかと思わされてしまう。すると目に入って来たのは痛々しく包帯で巻かれている女性の姿だった。肌色が見えるのは顔だけ。あとは全身白色に包まれている。彼女は寝ておらずベッドの背を少し上げ窓の方へと視線を向けていた。

「・・・」

痛々しい姿に言葉が出て来なかった。彼女をあんな姿にさせてしまったのは誰でも無い自分自身だ。その事を思い出し耐えきれず自然を手に力が入ってしまう。爪が手のひらに食い込み生温かいぬるっとした液体が手の先につき生温かくなってくるのが分かる。どう声をかけて良いのか分からず立っていると彼女がゆっくりとこちらを向いてくる。すると先ほどの柔らかい優しい風のように痛々しい容姿にも関わらず微笑んでくる。

「あ・・・貴方は・・・無事だったんですね・・・・・・良かった」

「あ、あの・・・」

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