/輪廻月耀
「うふふ」
不気味に夜空に響き渡る女性の笑い声。艶やかであり男性が聞いていたのならきっと聞き惚れてしまうだろう。それぐらいに彼女には誰をも魅了する魅力があった。薄らと彼女の両手は紅でも付けているかと思わせるぐらい真赤に染まっている。両腕を月に照らしあげた瞬間、雫となり彼女の口の周りへとポタポタと垂れ落ちる。その血に彼女は快楽を覚えていた。鮮血色に染まった両腕を彼女は月の光に当て観賞する事がなによりの楽しみだと言わんばかりに見蕩れている。ほほに垂れてくる血をペロリと舐め不敵な笑みを浮かべている。
「あぁ・・・たまらない。やっぱり血の味って美味しい」
うっとりと両腕を眺めていると急にこちらへと視線を向けてくる。距離にして5メートルもないだろう。血に見蕩れていたと言え私の気配に気がついた事に関しては素直に感心してしまう。私と分かったのだろう、険しかった表情がねっとりとしたほほ笑みへと変わる。
「あはっ。またお会いしましたね」
彼女は両腕に染まった血を舐め笑いながらこちらを見てくる。見るからに殺人鬼。狂っているのはよく分かる。きっと彼女も私と同様に魔を持っている存在なんだろう。冷静に分析をしているけど、私も彼女同様に狂っている。
「・・・」
「あはっ・・・貴方は・・・私の待ち人ですよ?あはっ・・・美味しい」
彼女は口調こそ穏やかなのだけど常に死線を向けている。それこそ、少しでも気を抜けば襲いかかってくるだろう。それだけ、彼女は血に飢えている。今、ここで消してもいい。でも、それじゃあ、根本的な解決にはならないと言う事を分かっていたため遙堪はジッと衝動を堪え彼女を見つめ、質問をする。
「少し聞きたい事があるのだけど?」
「・・・聞きたいこと?」
遙堪が意外な事を口にしたせいか戦意を削いでしまったのかため息を付き左右に開いていた両腕も下ろしこちらを恨めしそうに見てくる。
「ねえ。あなたは誰に殺しを頼まれているの?」
率直な質問。回りくどい質問はあまり好きではない遙堪は知りたい事を聞く。彼女もまたなんだ、そんなことを聞きたいために私に会いに来たの?なんて嫉妬にも似た表情をすると、当然のように聞き覚えのある名前を口にする。
「えっとね・・・櫨谷って言ってたっけな?確か・・・あぁ・・・美味しい」




