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Twin⇔Twin  作者: snowdrop
1章:清らかな川
7/14

07:初戦闘

遅れました。しかも短いかも

パソコン変えたり部活したり色々大変だったという言い訳

見つけた。白を基調とし、中央に水色の十字架描かれた真新しいSSOの制服をた少女、レイは呟いた。見回りに使っていた自身の魔法に人の反応があったので向かってみると案の定だ。


七色に光輝くクリスタル、それに攻撃を仕掛けようとしている男の姿を見た。いつか亡き父のようにSSO、人々を守る者として犯罪者と戦うことを夢見てここまで登り詰めたのだ、気持ちは昂っていく。とは言え、まさか赴任してから1週間ちょっとで戦うことになるとは思っていなかったが。


「《光の矢(ライトアロー)》」


マニュアル通りに放つ警告の魔法。

黄色い矢が今まさに魔法を放とうとしていた男の頬を掠め、赤い筋を作る。


「そこで何をしているのですか?それが何か知っていて攻撃をしようとしているのならSSOの権限を持って逮捕します」


男は振り向く。レイは知るべくもなかったがその顔は昨日清掃業者の老人を焼き殺した男のモノだ。そしてその表情には待ちくたびれたと書いてある。


「随分可愛いお嬢ちゃんが来たものだな」

「馬鹿にしてるの?」


表情は余裕を見せている上に小ばかにしたような物言い。挑発への耐性は少ししかないレイはつい敬語を崩してしまう。


「いやいや、その年でSSOだなんて若いのに優秀だって言いたいのさ……さて、これが何かだったか?もちろん知っているさ。『プロテクター』日本語だと『結界発生結晶』。そのオリジナルもしくはフェイク。夜にのみ触れることが出来る古代の遺物。これが生成する結界『マリスリジェクター』の効果範囲では悪意ある攻撃では建造物が壊せなくなる、だからそこに街が出来ている。逆に言うとコレ、正確にはこの街のどこかにあるコレの本物を破壊すれば街全ての建造物が壊せるようになる。間違ってたら教えてくれ」


悪意ある攻撃というのは建物を破壊しようという意思だけでなく、人を攻撃しようという意思や当てる気のない警告というものも含む。この結界を突破するには何も考えずに攻撃をするか、結界の許容出来ないレベルの悪意をぶつけるしかない。

男が語った内容こそSSOが夜にしか警戒しない理由であり、この結界を作り出している結晶を守ることこそがSSOに最も優先される事柄だ。


「文句なしに正解よ。……なら何故それに攻撃をしようとしていたの?」


レイは圧力を高める。いつでも魔法を発動出来るように体内の魔力も集めている。だというのに男は飄々としてこう答える。


「もちろんコレを破壊する為に決まっているだろう。そういえば名乗っていなかったか、とある組織で獣ってコードネームで呼ばれてるモンだ。《火の剣(ファイアソード)》」


「そう……なら捕まえさせて貰うわ。私の名前は清川レイ。私が初めて倒した敵としてその名を残しなさい。《光の(ライトソード)》」


2人の手に剣が形成される。獣の手には赤い大剣、レイの手には黄色い細剣が握られ、同時に駆け出す。2人が元々立っていた位置の中間より若干レイ側のところで剣をぶつけ合う。つばぜり合いになるが単純な力は獣の方が上、このままつばぜり合いを続けるのは不利だと判断したレイは剣を受け流し、一旦離れて仕切り直す。


ホッと息を吐くフリをして獣の背後から魔法名すら叫ばずに使う魔法で奇襲をかける。


「ちっ」


しかしそれは避けられてすぐに間を詰められてしまう。


「これだから光使いってのは……」


獣はボヤきながらも剣を振る手を止めない。赤い剣はレイを焼き斬るべく猛威を奮っている。


「今の、よく避けたわね」


一方レイも負けてない。一撃に重きを置くその剣を的確に受け流し、獣の剣以上のスピードでその黄色い剣を振っている。


「最初から光の魔法を使ったお嬢ちゃんのミスだよ、相手が光使いだと分かっていれば対処は可能だ」

「なるほど、今後の参考にさせてもらうわね」


2人は一進一退のの互角の戦いを繰り広げているように見えた。だがしかし差は徐々に表れてくる。

獣は剣を避けるときの動きを利用しながら反撃をしている。それは実戦慣れしていないレイには対処し辛い動きで、避けることが出来ない。結果自身の剣で防御を意識しながら弾くしかなく、攻められる隙を作ることになる。

そして段々とレイは防戦一方になっていく。


「どうした?俺を捕まえるんじゃなかったのか?」

「うるさいっ!《光の矢(ライトアロー)》」


このままじゃ押しきられる、そう考えたレイは魔法を発動する。放たれた光の矢は獣の顔を目掛けて飛んでいくが避けられる。だが隙はできた。その隙を好機と見て反撃に出る。しかし手数を優先したその剣は弾かれ、再びレイに隙ができる。


……かと思われた。


隙だらけのレイに対して獣がとった行動はバックステップ。0コンマ数秒前に獣の顔があったところを光弾が通り過ぎる。


「本当に面倒くさいな……根源のソレ」


四大魔法と根源魔法、魔法であること変わらないというのにどうして分けられているのか。その理由は次の2つの点において異なるからだと言われている。


一つ、上位属性が存在するかどうか。


一つ、詠唱完全破棄が可能かどうか。


前者は四大魔法、後者は根源魔法の特性だ。

四大上位魔法についてはこの場では省略させてもらい、根源魔法、つまり光と闇だけが行える詠唱完全破棄について説明しようと思う。

ランクⅧ以上の魔法でない限り、詠唱は必要ない。これはどの属性にも共通した性質で魔法名を唱えるだけで魔法は使える。

詠唱完全破棄、一般に破棄と呼ばれる技術はその魔法名すら唱える必要がなくなるというモノだ。使用者の力量によるが強い者だとランクⅢの魔法まではコレが出来る。レイはランクⅡまでしか作れないが、それでも充分だ。なにせ今日の授業で使ったライトボール。アレもランクⅡであり、鉄を抉る程の力があるのだから。まあ威力はおちてしまうのから流石にそれほどの威力は出ない。

ちなみに、無詠唱というのは前述の魔法名を唱えるだけで魔法を使うことを指す。


他の魔法で簡単に防げるような弱い魔法でしかコレは使えないとはいえ戦闘においてどれだけ有利になるだろうか。

相手に魔法を使うことを悟らせないで奇襲出来るのである。少なくとも戦闘慣れしている獣が手を焼く程には厄介だ。


「魔力が集まった気配を察知して破棄した魔法をかわすなんて芸当を出来る方が面倒くさいわよ……」


感覚が鋭い人間はある程度魔力の流れを感じとることが出来る。それを認めてから魔法発動までの僅かなタイムラグで魔法を避ける、そんな紙一重の行動を先ほどから獣は実践しているのだ。

今度はレイから獣に詰め寄り連続で斬りかかったり突いたりする。牽制、時には本命として破棄で魔法を放っているため獣も思うように動けない。獣も魔法を放ってはいるが魔法名を口に出している以上レイの魔法発動速度には敵わない。


そのため先ほどとは違って逆に獣がレイに追い詰められていく。


「しゃーないか……ここでやられる訳にもいかねぇしな。それにコイツの存在は俺の信条に反している存在だしな」


レイから大きく距離をとる獣。その行動を怪訝に思いながらももう一度距離を縮めようとするレイに獣は叫ぶ。


「その年でSSOになるくらいだから相当優秀だとは思っていたがまさかここまでとは思わなかったぞ……だが、これで終わりだ天才ちゃん(・・・・・)。《火の投擲槍(ファイアジャベリン)》」


何の変哲もないただの火の槍をレイに投げる獣、しかもちょっと遅い。当然そんなものは魔法を使わずに避けられるそう判断して足に力を溜める。

それが罠、光使い最大の弱点を突くための罠だった。


──えーん


突然後ろから聞こえてくる鳴き声、小さな子どものものだ。え?と振り返った先にはやはり子どもの姿があった。こんな時間に子どもがいるなんてありえない、でも避けたらこの子に当たってしまう、そう考えた瞬間に子どもの姿がブレた。

しまった、と思うがもう遅い。もう避けられない。魔法名を唱える時間もない。咄嗟に破棄で作った光の膜では火の槍を防ぎ切れず脇腹の端の方に刺さった。


「がはっ……」


レイは口から血を吐き、槍が消えたために脇腹から血が流れ出ている。耐えきれず倒れる。


「火、水の複合魔法の蜃気楼に風魔法の空耳。いや、そんなの言われなくても分かってるか。光使い最大の弱点はその強すぎる正義感だ。今のも子どもを無視して避けるべきだったんだよお嬢ちゃん」


勝利宣言のときにあった僅かな間、その間に獣は2つの魔法を発動していた。一瞬しかもたないが蒸気による蜃気楼で子どもの姿を見せ、風を操作し子どもの声のような音を作った。それでレイの行動及び思考する時間を削ったのだ。


「ま、中々楽しかったよお嬢ちゃん。天国ではこの街の地獄に行かない人間全員と会えるさ。じゃーな《火の投擲槍(ファイアジャベリン)》……天才に生まれたことを悔いな」


獣にとって天才とは努力を惜しみ、傲慢な存在のことを言っているのだとレイには何故か理解できた。努力を惜しんだという事実はない。確かに他の人から見れば凄まじいスピードで成長した。ある日急に元々天才だと言われてきた力がさらに上がった。


レベル10は公式には92人。ならその下のレベル9は?答えは700人強。

そんな世界有数の力を制御するために必死で練習した。願わくばレベル10も、という気持ちをもってだ。研修期間とも言うべき現役SSOの下っ端をこなす半年もそのSSOに師事し、力を溜め、ここまで来た。


だというのにこの様は何なのか?


レイは憤慨していた。自分より強い人間など世界に1000人もいないとばかりに慢心し、手札を隠さず、使命を忘れて敵の罠にかかった自分に対して。

火の槍がレイに迫る。目を閉じ最期の瞬間を待つ。心の中は後悔と、謝罪。守りきれないであろうこの街の人々、自分に協力してくれた人々、自分の帰りを待っている母、そして天国にいるだろう父への謝罪。

が、いつまで経っても痛みはない、最期の瞬間はやってこない。

目を開けるとそこにあるのは赤く燃え盛る火の壁。


「まぁ及第点でしょうか。格上相手に良くやった方だと思います……後は私に任てくださいレイ」


声の主を探して首を後ろに回す。僅かに不明瞭になってきたその視界には純白の仮面を着けた少女が立っていた。


四埜「やっと私の出番ですか」

作者「前回勝手に出てきたくせに。しかもお前まだ名乗ってないだろ」

四埜「気にしたら負けです。次回、私の活躍にご期待ください」

光夜「あれ?俺は?」

作者「お前はまだ皆さんが望むような活躍はしねえよ」


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