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Twin⇔Twin  作者: snowdrop
1章:清らかな川
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04:本気な道化

サークル勧誘のビラ……全然渡してくれないw

要らないサークルはいいんだけどちょっと興味あるところですらだからちょっと困る。……最終手段自分から話かけるを使いました。

授業、そして昼休みが終わった。昼食時に光夜がお弁当を自分で作っていることを知ったレイがますます女子っぽいと呟いた以外は概ねいつも通り。後はレイへの質問攻めがあったくらいか。そして今は実技室、皆の授業風景を見たレイは想像してたよりも酷くないことに感心していた。


「思ってたよりは普通なのね。レベル2の下位ばっかりだと思ってたけど結構レベル2の上位が多いし、レベル3に届いてる人もいるのね」


レベルは国際魔法連合が決めた基準に則り、魔法の展開速度、強さ、そして使える魔法のランクによって決まる。魔法使いのレベルは1~10、ランクはⅠ~Ⅹで表され、どちらも数字が大きいほどよい。また、ランクは威力だけでなく発動の難しさも基準とされている。


「まぁこのクラスには風音がいるしな」

薙海(ちうみ)さん?」

「ああ、丁度今から魔法を撃つっぽいな」


風音が的の前に立つ。

レイの実力を見せてもらうという理由で今日も攻撃魔法である。昨日とは魔法の属性が火から水になりウォーターボールだ。

光夜の使える四大魔法はランクⅠまでで、全ての攻撃魔法はランクⅡ以上であるため今日もメインディシュとして最後から2番目であり、特に抵抗はしなかった。諦めたのだ。


薙海(ちうみ)さんのレベルは?」

「5」

「それって都立に行けるじゃない……」

(きたる)さん、アイツの親父さんが何故か嫌がったのと……通学に80分もかけたくないそうだ」

「えぇー」


普通の人はより良い施設、授業、学歴を求めて上の学校を目指し、そのために努力するものなのだ。かくいうレイもその1人。私立に行かない限り学費はほぼないという下の義務教育でしかない高校に行かせたがるという親に疑問を抱く。親の方針だからと言えど、従う風音にもだ。風音がこの学校にいる誰かに惚れているというなら別だが今日の午前だけ見ていてもそんな様子は一切なかった。この程度の付き合いではまだ断言出来ないけれどもほぼこの線はないとみても良い。本当に通学が面倒なだけなのだろう。

2人が風音について話している中、レイがいるため光夜の前に回された話の中心人物は魔法の発動に入っている。ちなみに今日は報酬はないのかと松本(教師)に聞いたがないと言われて愕然とし、やる気がない。その割に今日は見ながらなのでキッチリ的の赤い点に中てた。


「え、あのやる気ない状態での制御能力で5なの?得意属性が水なの?」

「いや、風……俺もたまに疑問に思うが見ている限り別に風が突出してる訳じゃないし、メンタルに左右されないんだろうってことで」

「あぁ、なるほど」


風音の魔法について批評をする2人。片方は正直批評出来るようなレベルに達していないのだが、そんなことはまだ知らないレイは普通に会話を続けていた。


「……次は俺か……行ってくる」

「期待してるよ」


今までの会話から光夜にもそこそこの力量があるのだろうという判断をしているレイはそう告げる。それに光夜は若干ひきつった顔をし、クラスメイトはニヤニヤしつつ、いやいやホント期待してるよ光夜。とからかう。


「なぁまっちゃん……これやる意味あるのか?正直昨日と同じ結果が出るだけだぞ」

「それがやる意味だ」

「この腐れ外道教師が!」


松本にとっては生徒の失敗を見ることが授業をやる意味らしい。


「ほら、転校生に格好悪いとこ見せたくないのは分かったからさっさとやれ」

「ちげーよ……はぁ……《水の球(ウォーターボール)》」

昨日と同じように魔力は集まると同時に霧散する。いや、昨日は若干火のような物が見えたから水の気配すらなかった今日の方が酷い。いつも通り笑われる中、チラりとレイの方を見ると唖然としていた。

「ま、遅かれ早かれこうなるし、別に知られて困る訳でもないし……それにこの方が色々都合がいいしな」


意味深な呟きは誰の耳にも入ることはなかった。


◇◇


光夜が魔法を発動に失敗したのを見たレイは混乱していた。SSOに関して詳しく知っていたことや魔法を見る目からレベル4は最低でもあるだろうと思っていた少女のような少年が想像の斜め下を行くレベルで酷かったのだ。自分を疑ってしまうのも当然だろう。そも、ランクⅡの魔法を発動すら出来ないというのは聞いたことがない。


「え、えっと……特別水が苦手とか?」


思い当たる可能性を呟く。答えは戻ってきたばかりの風音から聞かされた。


「全属性があんな感じさ。授業で見た最高記録は土属性の魔法の形成までだよ」

「あ、薙海(ちうみ)さん。お疲れさま。………魔力使用不全症なの?それともトラウマ?」


授業でやる全魔法があんな感じだというのなら魔力が上手く運用出来ない先天的な病気、もしくは何らかのトラウマで魔法が怖くなって発動が困難になったとしか考えられない。似た症状の人間を知っているのでそれかと思ったのだ。

そういう人間は大抵特別な施設に送られるので違うかも知れないとは思っているのだが。


「いや違うと思うよ。別に光夜は魔法を使えない訳じゃないしね」

「?」


風音はレイがしている勘違いを正す。


「ランクⅠの魔法は誰よりも上手く使うしね……アイツの両親は何か特殊な病気らしいからその関係かも知れない」

「特殊な病気?」


病気を治す魔法も存在するが万能という訳ではない。治らない病気もあるのだ、レイはそこに疑問を覚えたのではない。特殊な、とはっきりしない言い方をしたことに疑問を覚えたのだ。


「生活リズムが狂う病気らしいよ……教えてくれないんでボクも詳しくは知らないんだよ」


まぁ自身にもかかっている病気かも知れない以上あまり吹聴しないこともあるかも知れないと思いそれ以上聞くのを止めた。そして教室も静かになり松本に呼ばれたので前に出る。


「今度は本当に期待してるぞ」


この松本の言葉は当然光夜を見ながら言われた。


「はい。《水の球(ウォーターボール)》」


風音の物より少し大きい水の球体の塊が的に向かって飛んでいく。赤い点に中ったのは言うまでもなく風音の魔法が中ってもビクともしなかった的は揺れていた。


「清川はあまり水が得意じゃないのか?」


しかしこれはレベル6程度の者が撃った時のそれと同じだ。SSOになるために必要なレベルは体術が圧倒的に優れている場合を除き最低でもどれか1属性が7に達していなければならない。とてもではないが力量不足に見える。


「レイは光が一番得意なんだろ?ライトボール撃ってみたら?」


これは光夜の言葉だ。自己紹介の時にも光だと言っていたが散々閃光魔法を喰らった体験からそれが本当だと判断したのだ。

松本はレイにそうなのか?と目線で問いかける。するとレイが頷いたのでライトボールを撃つように頼んだ。


「はい。《光の球(ライトボール)》」


今度出来上がったのは黄色い光の球。的に向かって飛ぶそれは先ほどのウォーターボールより一回り大きく、速い。

それが的に当たると的の一部が抉れた。これにはクラスメイトだけでなくレイも驚いた。クラスメイトはその威力に、レイは予想以上の結果を出した自身の魔法に。例外は松本のみ。


「「「………は?」」」

「あ、すまん、これ安物だからな、当然だ」


松本が告げた言葉はレイ以外の人間の驚きをさらに大きくさせただけだった。自分たちが使っていてビクともしなかった物が安物でしかなかったと告げられたのだから。まぁ自分達の非力さは自覚しているのでそれで落ち込むような人間はいなかったのだが。


「もう姫凄すぎ!」

「結婚して下さい!」

「誰だ今の!殺せ!」

「結婚はお断りします……でも死なないように頑張って」

「そ、そんな」

「今落ち込んでる奴が犯人だ!」

「居たぞ、宮崎だ!」


いつものようにばか騒ぎを始める面々から少し離れたところから光夜はそれを眺めていた。


「この年でギリギリとは言えレベル9に届いてるのか……」


先ほど光夜が驚いたのは皆とは少し違う。特例でSSOになったのだからSSOになるために必要なレベル7を越えたレベル8なのだろうと予想していた。だがその予想を上回ってきたことに驚いたのだ。

レベル8に到達出来る人間ですらほとんどいない、ましてレベル9や10となるとなおさらだ。現にレベル10は公式に認められているだけでは世界に92人しかいない。国に1人もいないというところの方が多い。何年も修行を積んだ秀才がやっと到達出来るのがレベル7、一部の天才は簡単にレベル8を越えるがそれ以上となると秀才がレベル7になるためにしたもの同等の修行が必要となる。

つまりこの年齢でレベル9に到達しているレイは生まれてすぐに英才教育を施されたか、天才を越える超天才のどちらかということになる。とある双子のように無茶な修行をしたわけでもないことは断言できる。


「……これなら……」


妖しく笑う光夜をたまたま見ていた人間はますます光夜を男として見なくなったのは仕方ないことだろう。まぁそんなの今更な上に宮崎の処刑を見ていたため、ほんの2、3人だけだったのが光夜にとっての救いだった。


作者「何が都合いいの?」

光夜「ネタバレだからな?」

作者「お前何で笑ったの?」

光夜「いや、それもネタバレだから!」


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