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松山シンスケ3

東京に、武田の会社に彼女が働くようになって数ヶ月がたった。俺は武田に婚約者がいることを知りほっとした。


しかしあの射抜くような視線が気になっていた。

10年前とひとつも変わらない視線。


そして、考え事をすることが多くなってしまった彼女。


俺は不安になった。彼女を束縛したかった。


結婚…俺はそのことを考えることが多くなった。

でも俺は彼女の答えを知っていた。


仕事が好きな彼女、あいつを忘れられない彼女。


俺の子供を生んで家庭に入ってくれるとは思わなかった。


でも俺は言わずにはいられなかった。


髪の色をあいつと同じ色にかえ、彼女はますます苦しそうな顔を浮かべるようになった。


ある日、ベッドで眠る俺の髪を愛しげに撫でていた。髪の主が俺だとわかると一瞬びっくりしたような顔になった。彼女はベッドにもぐりこみ、顔を隠したが、俺にはわかっていた。


でも諦め切れなかった。


彼女が好きだった。


いつから彼女が俺にとって特別な存在になったのかわからない。

でも俺は離したくなかった。

この腕にずっと抱きしめていたかった。


「カナエ…」

ぎゅっと俺は彼女の体を抱きしめた。一瞬体がびくっと震えたが彼女は抵抗しなかった。

俺はその首筋にキスをした。そして彼女の柔らかな胸に掴んだ。彼女は甘い声をあげた。俺は止められなかった。


彼女が好きだった。

離れられなかった。


彼女を解放してやることができなかった。



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