第七章 その7
「…どこから始める?」
悠眞の声に、翔流は片方の口角を上げながら言った。
「まずは治し方――いや、祓い方、か?
その辺の情報が必要だな」
その声には、悠眞を呼んだのは正解だった、という安堵が滲んでいた。
「そうですね。私の方は、引き続き資料を当たってみます」
美音が静かに頷く。
「と、なると――俺の方は、やはり親父だな」
悠眞は腕を組み、わずかに目を細めた。
「朱山に関する祭事や伝承は、代々、当主にだけ伝えられてきた。
話が聞けるなら…あの人しかいない」
翔流は短く息を吐いた。
「行くか」
「…ああ」
夕陽が沈みかけた頃、二人は朱山の麓にある龍城家へとたどり着いた。朱山神社とは山を挟んで反対側。
門へと至る並木道を往くと、唐破風の門が影を落とす。
瓦屋根の上には苔が生え、黒塀は長い年月の風雨に晒されている。
けれど、その古びた姿には奇妙な威厳があった。
翔流は足を止め、見上げた。
門の上には見事な松が被っており、威風を示すとはこの事だな。と、見あげながら翔流は口を開いた。
「…ここに来るのも久しぶりだな、何年ぶりだ?」
「前に来た時は陽菜も一緒だったろう。8年ほどか」
悠眞は大門の横の通用口を開けると、先に進んだ。
「とりあえず、入れ」
風が、遠くの森を渡り抜けてくる。
湿った土と古木の匂いが、どこか冷たく鼻を刺した。
翔流は無意識に喉を鳴らした。
――何かひとつでいい。陽菜を助けるヒントになれば




