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朱の山  作者: 晦ツルギ
第一幕

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41/107

第七章 その7

「…どこから始める?」


悠眞の声に、翔流は片方の口角を上げながら言った。

「まずは治し方――いや、祓い方、か?

その辺の情報が必要だな」


その声には、悠眞を呼んだのは正解だった、という安堵が滲んでいた。


「そうですね。私の方は、引き続き資料を当たってみます」

美音が静かに頷く。


「と、なると――俺の方は、やはり親父だな」

悠眞は腕を組み、わずかに目を細めた。

「朱山に関する祭事や伝承は、代々、当主にだけ伝えられてきた。

 話が聞けるなら…あの人しかいない」


翔流は短く息を吐いた。

「行くか」


「…ああ」



夕陽が沈みかけた頃、二人は朱山の麓にある龍城家へとたどり着いた。朱山神社とは山を挟んで反対側。


門へと至る並木道を往くと、唐破風の門が影を落とす。

瓦屋根の上には苔が生え、黒塀は長い年月の風雨に晒されている。

けれど、その古びた姿には奇妙な威厳があった。


翔流は足を止め、見上げた。

門の上には見事な松が被っており、威風を示すとはこの事だな。と、見あげながら翔流は口を開いた。


「…ここに来るのも久しぶりだな、何年ぶりだ?」

「前に来た時は陽菜も一緒だったろう。8年ほどか」


悠眞は大門の横の通用口を開けると、先に進んだ。

「とりあえず、入れ」


風が、遠くの森を渡り抜けてくる。

湿った土と古木の匂いが、どこか冷たく鼻を刺した。


翔流は無意識に喉を鳴らした。

――何かひとつでいい。陽菜を助けるヒントになれば



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