表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朱の山  作者: 晦ツルギ
第一幕

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/107

第三章 その3

 人混みから外れ、的屋の男がふらつく足取りで林へ入った。

昼間から酒をあおっていたせいで、頬は赤く、吐息には濁った匂いが混じる。

「ちくしょう……なんで俺ばっか……」

舌のもつれた独り言をこぼし、腰に手をやる。用を足そうとしたその時、法被の袖が何かに引っかかった。


「……あ? なんだこれ」

 振り払っても離れない。視線を落とすと、苔むした小さな祠が闇に沈んでいた。

祭りの明かりは届かず、祠の表面は湿った苔で覆われ、まるで不気味に口を開けているように見える。


「くそが!」

酒に酔った勢いのまま、男は苛立ちをぶつけるように祠を蹴りつけた。


 その瞬間、背筋を這うような冷たさが襲う。

風ではない。虫でもない。

――何かが、確かにまとわりついた。


「……あ、あぁ……?」

 喉の奥から濁った声が漏れる。酔いに濁った瞳がさらに曇り、口の端が不自然に歪んだ。

頭を振りながら、逃げ出そうとする後ろ姿がビクりと震えると、そのまま項垂れ立ち尽くした。


遠く、祭囃子が響く。

だが林の中のその祠の前だけは異様に冷たい気配に満ちていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ