少年は現実を夢見る
R-15と設定していますが実際のところR-12程度です。
少年は現実を夢見る 沼津平成(小谷龍)作
1 正論
「おい、お前。なんでお前は今、窓枠に足をかけているんだね。……え? 死にたいからって? お前みたいな小さい子は、まだ死んではいかんのだ。
それはなぜなんだいって? さあ、知らんな。じゃあ死んでもいいだろって? それはだめだぁ。理由もないのにだめなのっておかしいから、絶対いいんだろ、隠し事でもあるのか、何かって? ぎくっ、なんでへそくりの存在がバレてしまったんだろう」
ぶつぶつ呟きながらおじさんは俯いている。
2 最期
続いてやってきたのは某丸と山の反対語文庫の担当の人で、少年はある日小説投稿サイトにログインしたが、なんの前触れもなくBANされてしまったのだ。もちろん少年が原因だった。
「まだ保存してないデータもあったんだ。うわあ、うわあああ」
少年は最期に、意味のわからない叫びを上げながら、トンと軽く地面を蹴り、落下していった。
3 刹那
「……っていうことがあって、だからお前は死んではいかんのだ!」
少年は力の限り叫んだ。というか、今叫んでいるのは少年ではなく立派なおじさんだった。
窓枠に足をかけていた少年は、窓枠から足を引っ込めると、泣き始めた。
某丸と山文庫の職員は、駆けつけた別の職員と相談し、少年のアカウントのBANの解除を決めて、全てはハッピーエンドに終わった。