再会まで 神谷視点
あれから探した。
颯爽と現れて通訳をしてくれた女性
名刺を交換する暇もなく去っていった女性
周りに聞いても誰も彼女と名刺を交換していないし、誰も彼女の所属する会社が分からなかった。
あの後他のブースを回ったがいなかった、探しようがなかった。
同期に、事情を説明し取引のある会社などを調べたが分からなかった。
その間にも、時間は過ぎ会社の業績が上がるにつれ色々な会社と取引を行った。
僕自身も、あの頃より身なりを整えたり鍛えたりするようになった。
「今度、新しい下請けの業者と取引しようかと思う。結構下請け業者の中では有名で実績のあるところだ。営業は神谷に任せる。」
今、それなりの役職を任せられるようになって色々やらしてもらえるようになった。
「明後日、先方が来てくださるので時間あけとけ。」
社長自らという事は結構大切なのだろうとスケジュールを書き込んだ。
「本日は、よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします、株式会社tundの営業部長をしております田邊と申します。」
名刺交換をした際に、相手の営業部長を見た記憶があった。
そこから、製品やこれからのスケジュールを詰めていった。
「少し休憩しましょうか。」
社長の一言で休憩する事になった。
「それにしても、うちは御社に恩がありますからね。」
「いえいえ、あれは別に本人も困ってそうだったからやっただけだと言っておりましたし気になさらないでください。」
2人の話があまり見えなかった。
「神谷、お前が1番恩を感じなきゃいけないんだぞ。展示会で助けられ、しかもそのおかげで大型契約になっただろう。」
展示会、大型契約になったのは2年前だけだ。
「2年前のですか?」
「そうだ、株式会社tundの社員さんがお前の通訳してくれたんだ。」
「えっ、あの女性の方が」
「はい、弊社の社員です。」
「会うことって出来ますか?」
「いや、彼女は今本社では無いところで仕事してますので分かりませんね。しかも営業ではないので、その部署に聞いてみないと。」
営業ではないという言葉に、社長も俺も驚愕し社長が聞いた。
「営業じゃないんですか?」
「はい、彼女は品質管理です。あの日は偶然私と同行してたので展示会に参加してたんですよ。」
部長さんは、笑っていた。
「あそこまでの英語のスキルがあるなら国外相手の営業かと思ってました。」
社長もあの場にいたので彼女の英語は聞いていた。
「帰国子女らしいです、品質管理では国外の担当もしているみたいですがね。まぁ今は別工場の立ち上げで忙しいんでね。」
株式会社tundは、1年以内に別工場を稼働させるため建設中らしい。彼女はそちらの工場に勤務となるらしい。
部長と顔合わせをして約半年が経った、来月株式会社tundでの立ち上げの為に担当営業が来社してくださった。
「来月はよろしくお願いします。」
話が終わって一息ついた。
「そうだ、品質管理の担当なんですが急遽なんですが別の者が担当することになりまして。」
営業さんは申し訳なさそうだった。
「どうされたんですか?」
「担当だった者が交通事故に合いまたして、1ヶ月入院になってしまって。大丈夫です、新しい担当の西崎も出来る子なんで。」
「西崎さんって。」
「あっ弊社の部長から聞きましたよ、西崎に会いたいらしいですね。」
営業さんは、笑っていた。
「私情ははさみませんので。」
「仕事中以外ははさんでもらっても大丈夫ですよ。西崎、彼氏いませんから。」
「えっ。」
営業の浜口さんの言葉に驚いた。
「あっ、違いました?西崎結構惚れられること多いんで。」
なんの悪気もなく笑っていた。
「惚れられるとは?」
「取引先の方によく紹介してくれって言われるんですよ、彼氏いない時だけ紹介するようにはしてるんですけどね。」
2年前に見た彼女は、可愛らしい方だった。そりゃ紹介して欲しいという人も多いだろうと思うほどだ。
「お礼が言いたいだけなんで。」
「分かりました。仕事中は仕事人間なんでどうにかしますね。」
来月の立ち上げがより楽しみになった。




