華金延長
今、私は自分の一人暮らしの部屋に森ちゃんといる。
あの後、接待は無事終わり解散となった。
その際も、誰が神谷さんを送るかで田代さんが騒いでた気がするが、私は飲酒しているので気にせず森ちゃんの車で帰った。そして飲み直し中。
「で先輩、机の下はどうなってたんですか?」
森ちゃんの一言に、軽く吹き出した。
近くにあったティッシュを取ってくれた。
「わかってるんですよ、あの席に行ってから先輩とあの営業はお互いに接する手を1度も机の上に出してない。」
「探偵にでもなるの?」
「なれますかね?浮気調査とか面白そう、じゃなくて。」
話をそらしたつもりが無理だったみたい。
「ずっと握られていました。」
私の言葉に、驚愕する森ちゃん。
「それは、恋人繋ぎですか?ただの手繋ぎですか?」
「それの違いは?」
「そんな話を変えても今日は全部話してもらいますよ。」
「繋ぐっていうか握られてた。」
そう、繋がれていたんじゃなくて上から握られたり小指だけ絡められていた。
「きゃー、あんな優男の顔して強引。」
そう、神谷さんは優しいタイプのイケメン。誰に対しても紳士なのだ。
「で、先輩はどうさてたんですか?」
「どうもしないよ。」
「されるがまま。」
なんか言い方に語弊があるような気がするが、森ちゃんは興奮気味。
ピロリン
「先輩、携帯鳴ってますよ?」
自分の携帯を見てため息をつきながら、裏返した。
「誰ですか?あっ、あの営業さん?」
「違う、森ちゃんの嫌いな人。」
「えっ、もしやナルシスト?」
「そぅ、佐山さん。」
私の一言に、森ちゃんは凄く嫌な顔をした。
「最近また連絡が来るの、より戻したいだの会いたいだの。」
「いや、あっちが違う人と結婚するから別れたんじゃないですか?」
そう、佐山さんとは私が以前お付き合いをしていた方、株式会社LICENと言う化粧品会社の社長。
「結婚なくなったらしいよ。」
「はぁ、あいつ何なんですか。」
「知らないよ、連絡来ても返してないから。」
「しなくていいです、あんなクソナルシスト。私は営業さんを推します。」
森ちゃんは、佐山さんが大嫌いで会うたび睨みまくっていた。
「でも、来月新工事お披露目で来るんでしたよねナルシスト。」
「そう、神谷さんも来るの。」
「修羅場、見ものですね。」
「いや、神谷さんとはお付き合いしてないしまず佐山さんの事は知らないし。」
「言っといた方がいいですよ、後々問題になりそうですから。」
明日にでも神谷さんに電話して言おうかと考えながら、森ちゃんと楽しく恋愛話をした。