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魔法少女:Record Blue Imagine   作者: 誰何まんじゅう
魔法少女:Record Red Reflection Scramble:紅雷降臨:兵器は悪意に染まる
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その後

「よぉ!幹人!昼飯食いに行こうぜ!」


 いつも通り昼休みが始まると隣のクラスから恭哉が駆けつけてきて昼食を誘ってくる。


「直ぐ行くからちょっと待っててくれ!」


 鞄から財布を取り出して早歩きで教室から出て行く。授業で頭を使って良い感じに空きっ腹だ。直ぐに食堂に向かって飯を餓えた胃に食料を突っ込んでやりたい。今にも音を鳴り響かせそうな腹を抑えて昼ご飯に思い馳せる。


「よっしゃ!早く行こうぜ!さっきまで体育だったからよ腹減り過ぎてやってらんねぇぜ!」


 ドアからは顔しか出してなかったので気が付かなかったが体操着のまま廊下に立っていたようだ。昼休み前に体育が有れば大抵の人間は食事などを済ませてから制服に着替えるだろう。かたっ苦しい制服を着ているよりも動きやすい体操着でいた方が楽なのだ。


 未だに毎日のようにつるむ人間は恭哉一人だけ。ほんの僅か、砂の一粒程度の信用しか回復していないので幹人は同級生に避けられる。今の現状が第三者から見た幹人の評価なのだと肝に銘じて食堂に向かう。


「幹人ーお前何食うよー」


「うーん、ガッツリ食いたい気分だからな...牛丼か親子丼。悩ましい」


「丼...それは高校男児の主食。カツ丼、天丼、親子丼に牛丼!大盛りの生姜焼き定食のつもりだったんだ!幹人、お前のせいで丼の口になっちまった!」


 大袈裟も大袈裟、超オーバーリアクションで騒ぎ始めて周りの視線が痛いがいつものことだ。ただ、蔑む視線とは違う。呆れられているのだ。いつもいつも教室で廊下で体育館でアホな事を言って騒ぎ立てるその姿は学年問わずに目撃されているからだ。


 一年の頃は奇天烈な格好も相まってかなりウケていたがもはや相手にされていない事がほとんど。友好関係は広いがこの独特なノリのウケは良くないらしい。


「突っ込まないぞー。俺は牛丼に決めたよ」


 恭哉のボケもほどほどに券売機で食券を購入してカウンターに向かう。本当に腹が減っているので長々と相手にしていたら腹と背がくっついてしまう。


「ちょっ!待てよ!なら俺は生姜焼き定食大盛りだ!」


 やはりさっきまでのリアクションは茶番だったようで最初から決めていた生姜焼き定食にするつもりらしい。


「結局生姜焼きじゃねーか。さっきのはなんだったんだよ」


「まあそう言うなって。可愛い冗談じゃないかHAHAHA」


 呆れてものも言えないとはまさにこのことだろう。落胆して肩を下げている間に用意ができたようで丼が乗っかった銀のトレイを食堂のおばちゃんに渡された。牛丼にかけられたツユの良い匂いが鼻腔を刺激して食欲が増していく。


「いつもの席で座ってるぞー」


 「おーすぐいくわー」と背後からの返事帰ってきたので片手でひらひらと手を振っておく。いつもの席に誰も座っていないことを確認して座り込む。窓側の陽当たりがいい席で夏は灼熱のように熱く、冬は冷気が伝わってきて少し寒い。冷暖房があまり行き届いてないエリアなので人が寄り付かないのも当然だ。若干の肌寒さを誤魔化すために両手を擦り合わせているとトレイを持った恭哉が目の前の席に座った。


「待たせたな、じゃ食おうぜ!いただきます!」


「いただきます」


 汁だく牛丼のツユを吸った白米と牛肉と玉葱をまとめてつまみ上げて口へと運ぶ。しっかりと味が染み渡っており、大変美味だ。ホクホクとした暖かさが全身に行き渡り体を温めてくれる。


 食欲は止まらない!一口食べれば次へ次へと米!肉!玉葱が口にかきこまれていく。腹の減っている高校生男児だ。このくらいをあっという間に食べ切るのは容易い。


(...牛丼はやはり美味い。これを見るとついつい早食いになってしまうな)


 某外国人留学生もそうだが大変早食いであった。彼は今日も食堂で食っているのだろうかとついつい辺りを見渡してしまう。


「どうした?誰か探してんのか?」


 その姿を不思議に思ったようだ。碌に友達もいない幹人が人探しをするなど滅多に無いことなので興味が湧いたのだろう。


「いやさ、レイモンドっているじゃん?」


「イケメンか!お前もイケメンが良いのか!」


 アイツには負けられないんだと騒ぎ始めそうなので宥めて話を本筋に戻す。


「そうじゃない!そうじゃない!前食堂で見かけた時にめちゃくちゃ大食いで早食いだったんだよ。今日もがっついてんのかなってふと気になってさ」


「アイツあのなりで大食漢なのか。意外だなー、意識高そうだからグラノーラとかオートミール食ってるかと思ってたぜ」


「グラノーラもオートミールモ食べるヨ。勿論、一袋丸々だけドね」


 気がつけばレイモンドはいつぞやのように真横に居た。


「ビックリした!心臓止まるかと思ったぜ」


「ゴメンゴメン。幹人君を見かけたからネ、つイつい来てしまっタのさ。この席に座っテもいいカな?」


 勿論OKだぜと恭哉が快諾する。幹人も異論はないのでどうぞと少し椅子を動かしてスペースを確保する。「ありがとう」と笑みを浮かべる彼のトレイの上には期間限定の大食い料理、超爆裂天丼が丸々と乗っけていた。

一章ではあまり描けなかった日常回を実際に書いてみると難しく、かなり時間がかかってしまいました。長々とやっているのはよろしくないかな?って思って一章の日常描写は意図的にカットしていたんですがやはり何も無いって回は欲しいと考えを改めてはじめてます。

 

 少々遅い筆になってしまいますがよろしくお願いします。

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