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魔法少女:Record Blue Imagine   作者: 誰何まんじゅう
First:その身体に潜むもの:蒼き慟哭
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視線

 敵に生存を確認させる目的とはいえ、不特定多数の人間に金剛寺香織が生きている事が周知されるのも危険だ。事件は既に警察の手によって捜査が始まっている。おそらく血液から誰の物か調べがつく。香織は前日から行方不明の扱いのはずだ、捜索願を出される事も想定するとかなりリスキーだ。

 命の天秤にばかり目を向けてしまったが、それ以外のリスクを伴うことも覚悟して行動しなければならない。


(なるべく人目の少ないところにいくのか吉か)


 夜の下校中に襲ってきたことに加え、殺人を犯すことを是とした連中だ。仮に見かけたとしても真昼間からは接触はしてこないだろう。もし、此方に接触する場合や活動を行う場合は人目につかないような場所を好むはず。正体がバレることなどのリスクを考えるとそれがベストの行動になる。

 であるならば、街外れの山に向かう。炯明町は隣接する町が二つある。一つは幹人が通う総雲高校のある総明町。もう一つは山を一つ隔てた先にある枝葉町。

 今回の目的は枝葉町の方面だ。山の付近は開発が進んでおらず、人通りが少ない。最も人が通るとしたら街を跨ぐ為の道路を車が行き来するくらいだ。麓には営業が終わったまま放置された廃墟のホテルがあり、人影は無いといっても過言ではない。せいぜい肝試しに学生が稀に来るくらいだ。その手前には寂れた商店街があり、近辺の住人が買い物に来る程度で数は少ないが人の目はある。

 自分の家から枝葉町方面に向かう。商店街を通り、廃墟に辿り着く過程で敵の索敵に引っ掛かればアクションを起こしてくると思われる。


「決まりだな。ちょっと遠いから自転車を使っていくか」


 自転車を使っても商店街に着くまでは2、30分程の時間が必要だ。徒歩となれば更に時間がかかってしまう。有事が起きた時にも走って逃げるよりも自転車で逃げる方が逃げ切れる確率が高いであろう。

 最近乗らなくなっていた自転車の鍵を開ける。雨風に当てられていたせいか、少し錆びついた音が鳴る。


「ちょっと高いかな」


 女体化した影響で元々の身長より縮んでしまっている。そのため、サドルに跨ろうとすると少し高くて上手く乗ることができない。仕方ないので高さを5、6cm程低く調整する。


「家にある服もダボつくし不便だな」


 今更ながら男女の体格差を思い知る。元の体と比べて筋肉も少なく、体も柔らかだ。香織は運動が得意だ。しかし、完全なアスリートという訳ではないので筋肉はついているものの、男性に比べればひ弱だ。これから危険地帯に行く様な物なので罪悪感に苛まれそうになる。


「うじうじしても仕方ない、出発するか」


 余り乗り気ではないが、空は真逆の空模様で晴天だ。雲一つない秋空は燦々と降り注ぐ陽光が差している。事件が無ければ気持ちよく登校できた天気だったであろう。自転車を漕ぎ始めると肌寒い風が身に染みる。


(思ったより風が強いな。もうちょっと厚着してくれば良かったかも)


 街は閑散としている。老人やベビーカーを押す母親。後は営業中のサラリーマンを見かけるくらいだ。よくよく考えてみれば今日は平日だ。目的地に向かう分にはちょうど良いくらいだろう。

 香織を知る人物がいない事を胸中で祈りながらスイスイと進んでいく。

 

(こう、視線てのは結構わかるもんなんだな。困ったな、人は少ないのに注目を集めすぎだ)


 美少女になったことでわかる。色んな人間に見られていると。美貌を持つと注目を集めるものだ。こうも人が少なければ尚更だ。視界に映るだけで目を惹く人がいればすれ違ったときに追ってしまうのであろう。幹人も学園では嫌悪の視線を浴びることはあったが羨望の目で見られることはなかった。


(金剛寺先輩はいつもこんな感じで見られてるのか...こそばゆいな)


 慣れない事に戸惑いを感じる幹人。このまま行くと香織の家族に捕捉されてしまう様な気がして平静を保てなくなってしまいそうだ。ハンドルを右側にきり、更に人の気配の少ない道へと向かっていく。道路下のトンネルを潜り、緩やかな坂を下って加速していく。向かい風を全身に浴びながら長い道のりを進み続ける。

 大凡の予定通り20分程で商店街付近にはたどり着いた。

 錆びついた板に色落ちのした看板。商店街の入り口には太陽通りとかかれている。年季を感じる場所だ。近くのてきとうな場所に自転車を止めて入り口にはいる。

 中は分かり切ってはいたがシャッターが所々閉まっており、栄えてるとはとても言えない。あちこちを見渡しながらゆっくりと道を歩いていく。


(あとは俺が狙っていた連中に見つかれば良いんだけど)


 相変わらず人は少ないが注目は浴びる。特に異性から受けるものは顕著だ。胸を見られているのが女性には分かると聞いていたが、その噂は本当だったようだ。


(恥ずかしいな...美女ってのも大変だな)


 思わず胸を腕で覆いたくなるが、余計に視線を集めてしまいそうで恥ずかしくて行動に移れない。辱めとまでは言わないが、気恥ずかしいのでなるべくはやくこの場を去りたい気持ちだ。

 商店街を10分程散策し、商店でスポーツドリンクを買った。ここまで来るのに割と疲弊をしたので喉を潤したかったからだ。勢いよく飲み干して、ゴミ箱にペットボトルを投げ捨てる。


「ふぅ、生き返った。よし、そろそろ頃合いだろ」


 十分過ぎるほどに人には見られた。後はここらか廃墟に向かって戦果を確かめるだけだ。

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