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魔法少女:Record Blue Imagine   作者: 誰何まんじゅう
First:その身体に潜むもの:蒼き慟哭
29/92

浄化

 ゴールドラッシュは行動パターンの意図を汲み取っていた。最初は同じ行動を繰り返す馬鹿だと考えていたが、理性のある怪人が考えもなしに行動するとは思えなかった。故に、この一連のパターンを記憶させて隙を誘発させる。そして、記憶した通りに警戒をすれば意識が薄くなった方角から攻撃を仕掛けてくると読んだ。

 

 結果、読み通りに正面から鳥人が襲ってきた。それに対応し、身体を屈ませて下からアッパーで空へと突き上げた。そこから先は語るまでもない。無慈悲な連撃によって鳥人は鎮圧されたのだ。


「はぁ、はぁ。なんとか...勝てた...。ックソ!こんなんじゃ...!」


 なんとか勝ち星を上げることができたが、紙一重の攻防であった。この程度の怪人にここまで追い詰められてしまっては目標からは酷く遠い事を実感してしまう。

 悔しさで地面に俯きながら、木にもたれかかっていると上空からブルーレインが降り立った。


「まずはおめでとう。よく一人でこの怪人を倒すことができたね」


 惜しみない賞賛を拍手しながら語る。


「この怪人は中々頭の切れるやつだった。変身した当日に倒せるような敵じゃない」


 魔法少女になりたての頃はまず弱い怪人から戦って経験を培っていくものだ。魔法少女になった時に自分の力や魔法の使い方は本能でわかる。だが、それをうまく扱えるかどうかは別だ。はじめての実践における不安や外傷を受けた時の痛みなど、恐怖心で身をすくませることもあるだろう。強力な魔法だとめちゃくちゃに撃っても通用しないなど、心も身体も戦闘において何もかも足りない状態ではじめるのだ。

 しかし、幹人は怪人としての経験と覚悟を持っているのでいきなり強力な怪人と戦わせることで力量を測った。勝敗は危うい為にブルーレインはいつでも手出しできるように準備はしていた。だが、横槍入れることはなく勝利を手にすることができた。慣れない体で強力な相手に打ち勝ったのだ、誇っていい結果なのだ。

 それでも今の戦績は幹人にとっては納得のいくものではなかった。


「...俺はもっと強くならなきゃいけないんだ。そんな、誉められるような事はしてない」


「誉められることだよ。初陣で敵を撃破、なんてみんなできることじゃない。それも強敵相手にだ...自信を持った方がいいよ。ネガティブになるよりもプラス思考の方が自分の糧になるから」


 ね、と励ましかけてくる彼女に心配をかけまいとできる限り明るく返答をした。


「そう...だな、今日ダメでも次は必ず」


「OKOK、その勢いでいこう。で、怪人を倒したから次やるべき事はわかってるよね」


「浄化だよな、コイツを元の人間に戻すって事だろ」


「そうだねー。なんとなくやり方はわかるでしょ、一人でできるかな」



「できますよっと。確か...こうか」


 浄化。優しさを魔力と込めて罪を赦し、悪き魔力からの解放を目的とする魔法。

 怪人は幹部によって悪心と欲望の増幅によって悪い魔力を宿して暴れ回っているのだ。それを浄化によって引き剥がして元の人間へと戻す。救いの力だ。

 それ故に清らかな心と赦す寛容さが必要不可欠。


「はぁ!」


 朧げな記憶から浄化の方法を思い出して行使する。ふわふわと淡い光が掌から溢れ出し、鳥人の身体を優しく包み込むが一向に変わる気配がなかった。


「なあ、コレってもう人間に戻れないって事なのか?」

  

 疑問を口にするがブルーレインは無言のまま鳥人へと浄化をかける。すると鳥人は光だして元の姿へと戻った。


「...どういうとこだ」


 ブルーレインにできて自分にできなかった。やり方を間違えたのか、魔力の操り方にコツがあるのかと疑問ばかり浮かべるが答えはシンプルであった。


「手順は完璧だった、成功できなかった理由は簡単。ゴールドラッシュ、貴方が()()()()()()()()()()()()()()()()




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