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魔法少女:Record Blue Imagine   作者: 誰何まんじゅう
First:その身体に潜むもの:蒼き慟哭
27/92

VS鳥人 2

 ゴールドラッシュを中心に暗闇の森を円を描くように走り周る。かなりのスピードだが、木々を倒さずに走り続けている。


(冷静さを取り戻したか...)


 最初の一撃に激昂し、かなり暴れまるように攻撃をしてきたがやり合っているうちに熱が冷めていったようだ。そうでなければここまで嫌らしい事をしてこないだろう。


(アイツの狙いは誘い込み、有利な状況で戦うこと。それに加えてこれは退路の確保でもあるな)


 初速であれば追いつけるが、最高速度まで行った鳥人には敵わない。遠距離からの狙撃を先程見せた事により、羽根に警戒心を向けさせて一瞬の隙を狙い逃げることも念頭に入れているだろう。


つまり―――「アイツのフィールドに入っても入らなくても思う壺って訳だ」


 ならば、誘いに乗る。


(ココで逃げられる方が100%厄介だ)


 既にコチラの手の一つの挟撃を明かしてしまった。もう一度逃げられた場合、接敵がかなり難しくなるだろう。常に辺りに気を向けつつ、少しでも反応があった場合には全力で逃避行動に出て抜け出す。挟撃も2度は通用しないだろう。

 故に、今この場で倒すのが最善。不利なフィールドであろうと逃した際の被害を考えれば自分が傷つく方がマシだと判断した。


「望み通り来てやった。かかって..ツ!!」


 茂みに入った瞬間、蹴りが飛んできた。紙一重で躱すものの反撃するよりも速く通り抜けた。


(この女を殺すにはコレしかねぇよなぁ)


 Hit and Away.

 接近し、攻撃を与えた後に直ぐに退避。それを繰り返すだけだ。何度かゴールドラッシュの攻撃を受けたが、インファイト戦で彼女を凌駕するのは不可能と理解した。羽根を全て叩き落とすラッシュに加え、ストレートの一撃はかなり身体にダメージが入った。遠距離と近距離、二つが封じられたとなればこの戦法しか彼にはなかった。

 強靭な脚力とスピードと夜目。発達した両脚は蹴れば岩を粉砕出来るほど。スピードは圧倒的であり、魔法少女達には追いつかれない。そして夜目、この暗い空間であれば視認が難しく、音や肌の感覚など限られた情報で対処するしかない為、圧倒的なアドバンテージを得られる。

 その三つがあるからこそこの局面でこの戦法が取れるのだ。無論、逃げる方向性も加味している。自身の命が最優先なので不利になった瞬間に投げる算段も立てている。


「だが、殺さないわけねぇよな。楽しみだぜ、オレに蹴られて血肉が抉られて苦しむ姿がよぉ」


 先程より撹乱の範囲を狭め、中距離で獲物を見定める。辺りから鳴り続ける足音や草葉の揺れる音に耳を傾けてはいるが、何処からも聞こえてくる。速すぎるのでどこに止まっているなどの特定ができないのだ。


(調子ノリやがって...だがどうやって対処する。アイツのスピードは異常だ。何度かは避けれるかもしれないが、ヘマで一度当たればそのままズルズルいっちまう)


 鳥人と同様、ゴールドラッシュも相手の攻撃は受けているのでその威力は十二分に理解している。加速無しの足の一振りで長距離を吹き飛ばす程の脚力があるのだ。速度を持った蹴りが当たればダメージによってそれ以降の回避が難しくなる。


(...こちらから攻めるか)


 いや、それも無駄だろうと考えを払拭する。いくら近づいた所で鳥人は一定の距離感を持って優位性を保ち、同じ戦術を繰り返すだけだ。相手のフィールドにひきづり込まれた時点で優位に事を運ぶことは中々出来ることではない。別の狙いで相手の不意を突くしかない。


「ッ!」


「ッヒヒ!」


 2度目の猛襲。横から踵による攻撃を仕掛けてきたので跳躍して相手の上を取る。追撃は無く、失敗したと判断して再び森へその身を隠す。


 一方、ブルーレインはその攻防を上空から眺めていた。


(...この状況であれば有効的な方法はある。それに気づけるかしら)


 彼女には勝利の道が見えているようだがあえて口出しはせずに自分の仕事をこなしていた。万が一逃げられた場合に備えて防衛線を張っているのだ。


「これが使わないで済む結果になれば良いんだけどね」



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