VS鳥人
二手に分かれたブルーレイン、ゴールドラッシュは当初の予定通りにブルーレインが威圧をかけて目論み通りに鳥人は一目散に逃げ出した。
ゴールドラッシュの索敵範囲に侵入した鳥人に強襲を仕掛ける。
(おそらくアイツが感知する範囲に入ったら別の回避行動を取るはず)
魔法少女から逃げるほどのスピードを持つ怪人が急停止からの別方向への転換は容易ではない筈だ。ブレーキをかけている隙に距離を詰めて、背後から追走するブルーレインが退路を断つ。距離があるなら兎も角、同位置からのスピード勝負では引けを取らない。トップスピードでは敵わないが、加速最中に横槍を入れれば持ち味を活かせずにこの場に拘束ができる。
予定だったが、嬉しい誤算があった。
「なんだ、ひょっとして気づいていないのか」
真正面から突っ込んでいるが、ゴールドラッシュに注意を向ける事なく後方を気にかけているようだ。後方の威圧に恐れをなして前方への警戒心が欠けていた。
「だったら...」
飛んでくる鳥人にストレートを打ち込む。
「逃すかよ!」
そこでようやく気づいたのか鳥人は目を見開き慌てるも無慈悲に顔面に拳がめり込んだ。
「ぐぁぁぁぁ!」
「計画よりも簡単だったな、浄化してやるよ。怪人さん」
「怪人だと...?なんなんだお前達は!」
口から血を吐き捨てながら声を荒げる。どうやら怒りに狂っているようで凄まじい形相で睨みつける。
「魔法少女だ。アンタを浄化しに来てやったのさ、ありがたく思えよ」
その表情に怯む事なく睨み返す。緊迫とした状況の中で追走していたブルーレインが到着した。
「上手くいったわね。ここまで来れば後は落ち着かせるだけよ」
「わかってるさ。ぶっ飛ばしで浄化してやるよ」
「なんだ、テメェらはグルか。いいぜ、いいぜ。こうなったら2人まとめてぶっ殺してやるよ。何を怯えていたんだ、恐るに足らんだろう。テメェらみたいなガキはよぉ!」
両腕を広げて雄叫びを上げる。鳥人を震源に魔力の通った雄叫びの衝撃波が辺りを震撼させる。二人は両腕で衝撃を受けながら後方へと下がる。
「どうやら逃げるつもりはないみたいね。ゴールドラッシュ、一人でやれる?怪人としての貴方の強さは見た。魔法少女としてどの位の実力があるか見てみたいの」
「問題ねぇ。それにあの程度一人で倒せなきゃ仇は討てねぇよ!」
一人で突っ込むゴールドラッシュに目を向けながら更に後方へと下がる。
(どの程度の戦力になるか測っておきたい...)
魔法少女として再出発した幹人。今後コンビを組んでいく上で強さの指標が欲しかった。厄介な怪人が二箇所に現れることや幹部クラスが顕現することもある。その瞬間に任せられることを把握しておきたいのだ。
「でりやぁぁぁぁ!」
先程と同じく猪突猛進に拳を振り上げて攻撃を狙うも一瞬でいなされ、カウンターに腹部にブローをいれられる。
「っぐは!」
「どうした、さっきまでの余裕は。一人じゃなんもできねぇのか!」
ブローによって怯んでいる隙に片手で頭部を掴み上げる。
「雑魚が!」
しかし、そのままやられるようなタマではなかった。掴んでいる腕の関節部に蹴りを入れて拘束を解く。更に、そのまま腕を引っ張り無人の森へと叩き落とす。
「舐めてんじゃねぇよ!」
「ぬぉぉぉぉぉ!」
翼をはためかせ、地面スレスレでの浮遊に成功。上空から飛来するゴールドラッシュを紙一重で避け、蹴り飛ばす。木々をぶち抜きながら地面に旋回するように受身を取る。当然、鳥人は追いかけてきており羽根に魔力を込めて飛ばしてきた。
それは全て刃ともいえる凶器であった。辺りの木々を鋭く穿ち、掠った皮膚からは血が滴り落ちた。その攻撃に対し、腕をフル稼働させて拳で撃ち落とした。ガントレットにより攻撃は通らず、只の羽が如くヒラヒラと地に舞い落ちた。
「ムカつくなぁ、サッサとくたばれぇ!」
更に激昂する鳥人は羽による遠距離狙撃を停止させ、素早く森の中を走ってコチラを撹乱する動きをとった。
(...視認しにくい奥の方にいったか)
切り株で開けた場所から一転。木が生い茂る奥で走り、自分のフィールドへと誘いにくる。正面での殴り合いでは分が悪いと判断し、こちらの視界を遮りつつ暗闇を高速で飛び回る事により狙いを定められなくしている。鳥人は夜目があるため、不利にはならない。接近戦に持ち込めば相手の思う壺。かといってココで隙を見計らっていても遠距離狙撃による持久戦に持ち込まれる。
「本当に厄介だな」
「さあ!どうした!かかってこないのか!」
激闘続く森の中、鳥人の嫌味ったらしい声が鳴り響く。
いつも閲覧ありがとうございます。
誤字訂正ありがとうございます。
気づかないうちにやってしまっているようなので大変助かっております!
拙い文章ですがこれからも頑張ります!




