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魔法少女:Record Blue Imagine   作者: 誰何まんじゅう
First:その身体に潜むもの:蒼き慟哭
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断章 Re:彼の正義:彼の罪 前編

 贖幹人の過去について。

 彼は入学当初からとある事件に至るまでは他の生徒と同じよう扱われており、人と話すことも多かった。普段の授業態度も至って真面目。181cmの長身に顔も整っている方なので一部の女子から好かれたりもしていた。彼は優しく、困っていた人がいたら見逃せない。ノートを見せたり、宿題を手伝ったり、委員会の仕事などを引き受けたりと好青年だった。無論、校則違反をする人がいれば注意を行うし自身は絶対にルールは守っていた。

 それが周りに好かれることに繋がっていた。



 一年前 秋


 ある昼休み

 

「恭哉、いい加減髪は黒髪に戻したほうがいいんじゃないか」


「いやいや、これは地毛だから!髪を染めるなんて校則違反だ、優等生の言うことじゃねぇよ」


 豪快に笑いながら言い返してくるが、指摘すると毎回これだ。教師陣も幹人も呆れている。どうしてもやめないので、服装検査の度にしょっ引かれてる。


「こっちが根負けしそうだ」


「はっはぁ!まあ、事実無根だから根負けもクソもねぇよ!それより聞いたか!?隣のクラスにアメリカ人が転入してきたらしいぜ!かわい子ちゃんだと嬉しいなぁ」


「はぁ...残念ながら男だよ。しかもかなりのイケメンらしい」


 それを聞いた恭哉は見るからにガッカリしていた。女好きの彼としては女性の方が都合が良かったのだろう。


「ショックだぜ...しかし、イケメンとは気に食わないな。俺以外に目移りしちゃう子が出るかもしれん...偵察に行くぞ!」

 

 こうなった恭哉は止まらない。というか常に止まらない暴走列車のような男なので致し方なくついていく。どうやらだいぶ話題になっていたようで別クラスの連中が外の窓から覗いていた。クラスメイト達に囲われるなか、飛び抜いた身長の金髪男が立っていた。噂通りのイケメンで、青い瞳が綺麗だった。


「なぁなぁ、アイツの名前なんて言うんだ」


 そう言って、野次馬の一人に恭哉が問いかける。


「ん?なんだっけな。レイモンド・ベネリィだった気がする」


「名前もなんかかっこいいな、アイツの前じゃ俺が霞む!撤退!撤退だ!」


「撤退の判断早過ぎないか...仲良くなろうとかしないのか」


「俺はイケメン野郎のおこぼれを貰うつもりはない」


 何やらプライドがあるようであまり関わる気はないらしい。


「あーあー。ダメだ、勝負しても勝てるビジョンが見えない」


「なんの勝負だよ」


「モテモテバトル」


 発想がバカだった。馬鹿な会話をしながら時間を潰していると校舎の外から何やら怯えるような声が聞こえてきた。


「...っし!何か聞こえるぞ幹人」


「...確かに。様子見に行くぞ」


 

 音は校舎外の正面から裏。校舎は壁に囲われ、裏側は全く開けていないので普通人は通らない。何か後ろめたいことをするには打って付けだろう。駆け足気味でで廊下を歩く。玄関へと向かい、外履きに履き替える。

 土の上を全力で駆け抜けた先に2人の男がいた。1人は地べたに這いつくばって泣いている男子学生。もう1人はピアスをつけ、ニヤついた顔で這いつくばった男に脚をかける男。誰がどう見てもイジメの現場であった。


「おい!何をしてる」


 怒声を上げて歩み寄り、ピアスの男の胸ぐらを掴む。


「オイオイオイ、なんだよ優等生サン。いきなり掴みにかかるなんて怖いじゃないの」


「あ゛テメェこの状況で何言ってんだ。ふざけたことやってんじゃねぇよ」


 今にでも殴りかかりそうになる幹人を見て、恭哉が慌てて仲裁にはいる。


「おい!落ち着けって!確かにヤバいが手を出したらマズイぞ、冷静になれ!」


 少々気に食わなかったが、掴んだ手を離しピアス男を解放する。


「流石恭哉、話がわかるじゃないの。持つべきモノは友達ってね」


「あんまつまらないこと言うなよ笹川。お前を庇ったんじゃねぇ、幹人の暴力を止めただけだ、こんなくだらねぇ事で問題にしたくないしな」


 恭哉が相手をしているうちに、虐められていた男に手を差し伸べる。


「大丈夫か?怪我とかしてないか」


「...大丈夫です。ありがとうございます」


「俺は幹人、お前はなんで名前だ」


「今村和樹...」


 今村な、と名前を覚えて笹川と呼ばれた男に再び視線を向ける。


「もうこんなことはするなよ。次に同じことしたらタダで済むと思うなよ。恭哉に感謝するんだな」


 笹川はヘラヘラ笑いながら「ハイハイ」とだけ答えてその場を去っていった。

 


 

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