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第2話

   

 このように遊び始めた最初の頃は、田舎の家から出かけて30分経ったら一度帰宅して、再び出かける。また30分歩くと戻り、また出かけて……。というように、律儀に何度も途中帰宅していた。

 やがて慣れてくると「ここまでが30分の地点!」というのを覚えて、いくつかの「30分の地点」を輪のように繋いで、その範囲内を歩き回るようになった。

 そうして見つけたお気に入りスポットの一つが、小高い丘の麓にある神社だった。

 参道らしき部分には石畳も敷かれているし、それっぽい建物もいくつかあるけれど、それなりの広さの敷地内には、何もなく土が剥き出しの部分の方が多かった。

 参拝客と出会うことはなく、たまに散歩しているお年寄りを見かけるだけ。社務所などで関係者の姿を目にすることも、一度もなかった気がする。

 そもそも、本当は神社ではなくお寺だったのかもしれない。小さな赤い鳥居がいくつか並んでいたので、子供の私は神社だと考えていたが……。今にして思えば、敷地面積と比べて、あの鳥居では小さすぎるように思えるのだ。おそらく全体としてはお寺であり、その中に小規模な神社が併設されている、というスタイルだったのではないだろうか。


 お寺だったと考える根拠の一つとして、五重塔(ごじゅうのとう)の存在もある。子供の記憶なので数は正確ではなく、もしかしたら三重塔(さんじゅうのとう)だったかもしれないが、どちらにせよ仏塔の(たぐ)いだから、お寺の施設のはずだろう。

 数はともかく複数の屋根が重なっていたのは確かであり、そんな塔は子供の目には珍しくて、面白い建物だと感じていたらしい。私は心の中で、その場所を勝手に「五重塔(ごじゅうのとう)の神社」と呼んでいた。

   

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