7 他国の貴族にカミングアウト
「まぁ、ということで私はメロロ王国から追放されてしまったんですよ。いやぁ~、結界が無くなったあの国がどうなるのか楽しみですね!」
ミラナリアは隠し事をするのが面倒臭くなってしまい、自分が前世の記憶持ちということ以外すべてビラヒット公爵に話してしまったのだ。そんな話を聞かされた彼は頭の要領を超えてしまったのだろう。
整った顔立ちであるはずの見事な顔が完全に崩れてしまっていた。今まで聞いたことの無いような結界という力、彼女一人のおかげでメロロ王国という国が魔物の被害にあっていないこと。
そんな突拍子もないことを聞いてしまえば普通であれば笑い飛ばしてしまうところだが、実際にその力の一端を目撃しているのだ。自分の目で目撃している以上、信じないという選択肢はなかった。
「君はえらく楽しそうに話すのだな。まぁ、君があの国の人間たちにされたことを考えれば仕方ないことかもしれないが。」
「そりゃそうですよ。あれはないですよ、一回滅んでリセットしたほうが良いです。それで、一度助けた以上、安全な町まで送っていきますがそれでいいですか?ここで別れて死なれでもしたら、今回の働きが無駄になりますからね。」
「あぁ、それで問題ない。なぁ君、ときどき辛辣って言われないかい?」
ミラナリアの物言いにビラヒット公爵はドン引きしていた。
「いえ、特に言われたことはありませんね。私のことを貴族たちは平民としかいいませんでしたから。」
「お、おう、そうか。」
そんなことを言われてしまえば何も言い返すことのできない公爵であった。
「それで、皆さん動けそうですか?」
ミラナリアが言っているのは先ほどの戦闘で負傷していた兵士たちのことだ。
「あぁ、それなら優秀な回復師がいるから問題ない。直に全員動けるようになるさ。」
「そうですか、じゃあ問題ないですね。それで、公爵様たちは何でこんなところにいたんですか?ここって帰らずの大森林と言われていて余程のもの好きくらいしか入りませんよ?」
そんな言葉をかけられたビラヒット公爵は苦笑いをしていた。
「それを君が言うかい?まぁ、君は実力があるみたいだからあまり関係なさそうだけど。話を戻そう、僕たちがこんな危険な場所にいるのは私の兄、つまりサクラ王国の国王に原因があるんだ。」
ミラナリアは自分から聞いておきながらも、彼の意味ありげな言葉を聞き、面倒だと感じてしまうのであった。
よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。
また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。