46 このニートが!
賠償金の名目は国の客人かつ、公爵の婚約者に対して危害を加えようとしていたことだ。帝国はここで賠償金を払わないという選択肢もあったが今回の件はミラナリアが絡んでいるということもあり、他国の人間も注目している。
そんな中で非は帝国側にあるというのに賠償金を払おうとしなければ、今後一切、政治の世界で帝国は自身の非を認めず、払うものも払わない国だというレッテルが張られ、他国との付き合いも難しいものになってしまう。
皇帝はこの二つを天秤にかけた際に後者はあまりにもリスクが高いと、泣く泣く賠償金を支払ったのだ。
こうして、公爵は自身の責任を一切取る必要もなくなり、なおかつミラナリアに付きまとう面倒な国に警告を発することもでき、多額の賠償金を手に入れることが出来た。
結果的に見れば公爵の一人勝ちなのである。では、なぜ公爵がミラナリアや国王に文句を言っているのか?それは簡単な話である。単純に労力があまりにも大きかったのだ。国の問題でありながら他人事のように振舞う国王。彼のせいで、本来公爵が行わなくてもいいような仕事まで行わなければならず、公爵は国王に不満がたまっていたのだ。
そして、ミラナリアに関してはそもそも、彼女が公爵の屋敷を無断で抜け出さなければこんなことにはなっていなかったのだ。すべてが終わった後の公爵の顔はあまりにも恐ろしく、その日はたっぷり絞られてしまったミラナリアだったのだ。
「まぁ、結果オーライということで良かったじゃないか。帝国から慰謝料ももらえて、お前も何もおとがめはなし、しまいにはミラナリアを狙っていた他国の連中も今回の件で少しはましになるだろう。帝国のにの前になるのは嫌だからな。」
そんな苦労をしている公爵に対して国王は他人事のように接しているため、公爵は普段からの不満をこの際にぶちまけてしまおうと躊躇なく、ぶちまけている。
「何が結果オーライですか、あなたが手伝ってくれれば簡単に終わった作業なのに、国王のくせに働かないからです。このニート!」
「なっ、国王に向かってニートとは何だ、ニートとは!俺はこの国で最も働いているんだぞ、俺が働かなくなったらどうするつもりだ。」
「別に問題ありません、どうせあなたは仕事なんてしていないんですから、いたって、いなくたって一緒です。」
そんな公爵の反応に面白くないと思った国王だが、突然何かを思い出したようにニヤニヤとし、気持ち悪い顔をしているのであった。
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