32 二度目の婚約破棄?
公爵はあまりのショックに国王の服を掴み交互に揺らしている。
「陛下、それはあんまりです!ど・う・し・て・私とミラナリアが婚約することになっているんですか!」
公爵はいたって真面目に抗議しているがそれに対応している国王は笑いを隠せていない。
「だ、だって、お前が言ったんだろ。ぷぷっ、この身は国のためにありますって。だから俺は国のためになる政略結婚を勧めたんだよ。
アハハハッ、もう駄目だ。面白すぎるだろ、なんだよこの身は国のためにありますって。どこのお姫様だよ。」
「王様、だ、ダメですよ。男の子にはそういう時期もあるんですから。ぷっ、くくっ。」
公爵を笑うのはかわいそうだと国王のことを注意しているミラナリアであるが彼女自身も笑ってしまっている。それもそうだ、他人の黒歴史など面白くないわけがない。彼女に笑うなというのは無理な話だった。
もちろん、そんな二人に公爵が黙っているわけがない。自分の黒歴史が披露されてしまい、顔から火が出る思いだがここで黙っていてはさらに笑われてしまう。
「陛下、それ以上笑うと許しませんよ。これ以上笑うのであれば陛下の仕事がたまっていても今後手伝いませんよ。困るのはいったい誰でしょうか?」
公爵が国王の笑いを止めるために脅しをかけると彼もマズいと思ったのかようやく笑いを止める。しかし、彼が笑いを止めたところで契約書にはサインがある。もはや婚約自体は誰にも止められないのだ。
「お前、国王を脅すなんていい性格してやがる。」
「この場合は何も問題がありません。悪いのは陛下ですから。それと、今すぐにその契約書を破り捨ててください。こんなのは無効です!」
すると国王は思わぬ発言をしてきた。しかし、言われてみれば正論だと、公爵は例の言葉を発言してしまうのだ。
「えっと、つまりは婚約破棄ってことか?」
「はい?確かに、そう言われればサインはした後ですので婚約は一回している形になりますね。別に婚約破棄でも何でもいいので婚約を無しにしてください。私に彼女の面倒を見ることなんて無理です。荷が重すぎます。」
しかし、この言葉がいけなかった。その言葉を聞いた国王はさらに悪い笑みを浮かべ勝利を確信する。それはなぜか、なぜならメロロ王国が滅んでしまったのはミラナリアに婚約破棄を言い渡したことが原因なのだから。
国王がこの展開まで考えていたかは分からないが結果的に、公爵は国王に立派な大義名分を与えてしまうことになるのだった。
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