28 メロロ王国の現状
国王が来ても作業を進めているミラナリアだが、ふと疑問に思ってしまった。それは先ほども公爵と話していたメロロ王国のことである。
「あれ?そういえば滅んだって噂のメロロ王国は結局どうなったんですか?」
そんな彼女の発言を聞き、公爵はため息をはいている。それは、それはとても長いため息だ。
「何で、あなたがそれを知らないんですか?もはや一番の当事者と言っても過言ではないですよね。」
「だって仕方ないじゃないですか!ここに一週間は監禁状態だったようなものなんですから、外の情報なんて分かるわけないですよ。あっ、今のは遠回しにこれを全部燃やして外に出てもいいってことですか?」
もちろん、そんなことはさせられない。今の状態でミラナリアを外に出してしまえば彼女が帰ってこないことが容易に想像できたから、あえて公爵はミラナリアを外に出していないのだ。
最も、城の庭には出れるため、本当の意味で外に出られないというわけではない。一週間、城から出てないというだけなのだ。
「はいはい、ダメですよ。私が悪かったです。いいですか、あの後、国自体は滅んでしまいましたが、死者自体はほとんどいなかったようです。
あの国の元貴族たちは隣国のコネを頼りに安全な場所に逃げ出したりしていたようですし、国民たちも早くに異常に気が付いて隣国に逃げ出していたようですね。
正確には、逃げ出さないように見張っていた兵士たちが先に逃げ出してしまったので、国民たちも一斉に逃げ出したようですけど。」
国民や貴族たちが一目散に逃げだしたと聞いて、本来であれば悲しんだり、自分のせいだと責めるかもしれない。しかし、そんな常識がミラナリアに通用するはずがない。
「へ~っ、それは皆さん災難でしたね。」
そんな話を聞いても、ミラナリアの返答は他人事のようにしか聞こえないのであった。そのことに国王は笑い出してしまう。
「ぷっ、災難ってえらい人ごとだな。一応、お前の住んでた国だろ?」
「何言っているんですか?もともと、あの国は寿命だったんですよ。というか、なんで貴族たちは生き延びているんですか?むしろここは国民が反乱を起こして、貴族だけが犠牲になったっていうのが常識じゃないんですか?」
「お前の頭の中の国民はどんな奴らだよ。そんな国は嫌だよ、むしろ貴族はいらないだろ!」
もちろん、二人の話を聞いている隣で公爵は一人、頭を抱えているのだった。ちなみに、国王はあまりのミラナリアの言いように腹を抱えて笑っている。この二人を止めることは彼には難しいかもしれない。
よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。
また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。