25 メロロ国王の最期
「いやぁ、スカッとしましたね!結界が無くなって貴族たちが少しでも魔物に襲われればいいなと思っていましたがまさか国がなくなるほどとは思いもよりませんでした。
見ましたか、あの国王の顔!もうあれは立ち直れない顔ですよ。いやぁ~、スッキリしました。」
「まさか、泣かせるを超えて廃人にしてしまうとは、ミラナリア、君はしばらくその辛辣な口撃は禁止だ!」
余りのミラナリアの口撃の威力に公爵からストップが入ってしまうのだった。
サクラ王国を去り、メロロ王国に帰ってきた宰相とライカハンが見たものはかつて栄えていた王城の崩れ去った姿だった。街や城は完全に破壊され誰が見ても国が滅んだ後だったのだ。
「そんな、私の屋敷が、国があ~~~っ。」
先ほどまで廃人となっていたライカハンは宰相の奇声で目を覚ましたのだろう。
「なんだ、ここはどこなんだ?確か、私はサクラ王国で会談を行っていたはずだが?おい、宰相!ここはいったいどこなのだ?なぜ、叫んでいる!おい、しっかりしろ!」
ライカハンが宰相の肩を揺らすと宰相はぶつぶつと小さな声で話し始める。
「・・・・です。」
「なんといった?小さくて聞こえんぞ!もっとはっきりしゃべれ!」
「メロロ王国の王城があった場所ですよ!」
「何を言っている、馬鹿なことを言うな!ここにはガラクタばかりしかないではないか!こんな場所が我が王城であるはずないだろ!」
もはや国が無くなれば国王の身分など関係ない。宰相は目の前にいる人物が元国王ということなど気にもせず、今までの溜まっていた怒りを吐き出すように罵倒し始める。
「いい加減現実を見ろよ!メロロ王国は滅んだんだよ!国が無くなった今、俺もお前もさんざんバカにしてきた平民よりも価値がない難民なんだよ!」
「貴様!宰相の分際で国王である私に何たる口の利き方だ!」
「だから、国が滅びたのに国王なんて関係ないんだ、ひっ。」
宰相はライカハンと言い争っていたかと思うと突然怯え始める。そして、急にライカハンを放って彼と反対向きに走り始めてしまう。
「おい、話はまだ終わっていないぞ!どこへ行く、おい、宰相!あっ、」
しかし、彼がそれ以上しゃべることはなかった。国を滅ぼした魔物がいまだにこの地に残っていたのだ。それにいち早く気づいた宰相は彼を囮にすることを選び、逃げおおせるが、それに気づかなかったライカハンは逃げ遅れてしまったのだ。
彼は絶望の表情を浮かべたまま、国を滅ぼした魔物の餌食になってしまうのであった。
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