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24 とどめの一撃

しかし、メロロ国王からすればそのような事実、許容できるわけがない。彼は先ほどのサクラ国王の発言を今回の会談の話をうやむやにするための策略だと考えたのだ。


「ふ、ふ、ふざけるな。我が国が滅んだ?そんな馬鹿な話があるか!」


「いや、十分可能性はあるだろ。今までミラナリアの結界を当てにして兵士の鍛錬を行わなかったのであれば魔物が現れれば簡単に前線が押し負けると思うぞ。」


その言葉に、宰相は心当たりがあったのだろう。今、考えれば魔物が現れたからと言ってほかの国でも行っているように兵士たちが戦えば被害は抑えられていたはずだったのだ。


しかし、兵士は使い捨てという考えがあった宰相にはそれが不自然なことだと思わなかったのだ。そんな宰相の絶望しきった表情を見て、メロロ国王はようやく真実味のある話であると理解する。


「まさか、本当に我が国が滅んだのか?そんな馬鹿な!」


「ミラナリアに頼り切っていたのに彼女をないがしろにしたのが間違いだったんだよ。いや、そもそも結界に頼り切っていた先代の王が間違いだったんだろうな。結界があっても兵士の訓練くらいしておけよ。


自分たちを支えている土台が無ければ立つこともできないのに自分からないがしろにする。そんな国の末路にはぴったりの最期かもしれないな。」


平民たちがいることによって特権階級である自分たちは生きていけるのに、そんな彼らをないがしろにしてきたメロロ王国のやり方にサクラ国王はあきれることしかできない。


「ふざけるな、ふざけるな!平民が!お前のせいでこうなったのだぞ、平民の癖に!お前が一生国で結界を張り続けていれば問題なかったのだ!」


サクラ国王に何も言い返せないメロロ国王はこの場で最も弱い立場であるミラナリアに狙いを変える。


「それはおかしなことを言いますね?あなたが私を婚約破棄し、追放したんじゃないですか。自分から追い出しておいて国で働き続けろとは何かのとんちですか?あなたが婚約破棄をした瞬間に私が国を守る契約は破棄されたんです。


それに、先ほどから”平民が”と言っていますが、国が無くなったのであればあなたは難民ですよね?家もある平民と難民を比べれば普通に平民の方が上な気がするのですが?そこらへんを理解していますか?」


その言葉はメロロ国王、いや、今ではただのライカハンにとって今日一番に心を抉った言葉だった。今まで虫けら程度にしか見ていなかった平民以下に自分がなってしまったからだ。


余りのショックからか、ライカハンはぶつぶつとよく分からない言葉を繰り返し囁くだけになってしまった。


「陛下、陛下。ぐっ、ひとまず我々は国の様子を見に行く必要がありますのでこれで失礼いたします。」


宰相はそう告げると力なくうなだれているライカハンに肩を貸し、立ち去るのであった。


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