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第8話 俺が欲しかったのはこういうのじゃないんだが?


「どうして……どうしてこうなった」


 ――朝。

 いつものように学校へ登校していた俺は、ぐったりと疲れ果てていた。

 なんで疲れてるかって?

 そりゃあ家に居候が一人増えてしまったからである。

 自称母、自称姉と続き、今度は自称妹が。

 えーっとつまり、今度は遊佐神が自称妹を名乗り始めちゃったワケで。

 どうにも初めからそれが目的だったらしく、衣緒莉先生や菫先輩の話を聞いてその中に割って入るつもりだったようだ。

 これで母なる者に、姉を名乗る不審者に、メスガキ妹に……もう役満状態である。

 お陰で俺の生活はもうメチャクチャだよ。

 クラスメイトを見返すために彼女を作るつもりだったのに、どうしてこうなったんだか……。

 そんなことを思いながら校門を取り過ぎた時、


「お、おはよー銀次。なんか元気ないじゃん」


 声を掛けられた。

 振り向くと、そこには事の発端であった佐藤姫子の姿が。


「ああ、おはよう姫子。ちょっと色々あってな……」

「そ、そうなんだ。……この間のことは悪かったと思ってるわよ。流石に謝るわ、ゴメン……」


 どうやら俺を煽って騒動の元凶となったことは反省しているらしい。

 もっとも今となっては、姫子に対して怒りも湧いてこない。


「いや、俺もついカッとなって悪かった。そうだよな、俺があの時彼女を作ろうなんて言い出さなければ、こんなことにはならなかったんだもんな……」

「? こんなことって、なにがあったの?」

「それは――」


 俺は言いかけるが、ぐっと言葉を抑えた。

 いやだって、言っていいのか?

 自称母と自称姉と自称妹ができましたなんて。

 言っても信じられんと思うし、頭のおかしい奴とでも思われるよな普通。

 なんて説明しようか悩んでいると、


「銀くんおはよ~! ようやく追い付いた~! ママ悲しいよぉ? なんにも言わずに一人で家を出ちゃうなんてぇ!」


 どこからか衣緒莉先生が現れ、俺に抱き着いてくる。

 その姿を見た姫子はぎょっとし、


「さ、桜江先生……!?」

「おはようございます、姫子さん。私の可愛い息子と仲良くしてくれてありがとお~。でも銀くんに彼女とかは早すぎるから、距離感と節度も保ってね!」

「憎い憎い憎い……朝の登校で肩を並べるのはお姉ちゃんの特権なのに、なんて汚らわしい泥棒猫……。よくも私の銀次くんを誑かしたわね……」

「あ、青藤先輩まで!?」


 同時に現れる菫先輩。

 もう姫子に対する敵意を隠そうともしていない。


「くふふ~、朝から女の子に囲まれて楽しそうですねぇ~お兄ちゃん? ウチも交ぜてもらおっかな~♡」


 さらに狙ったかのように現れる遊佐神。

 俺は瞬く間に三人に囲まれ、一歩も動けなくなってしまう。

 そんな光景に姫子は開いた口が塞がらなくなっていた。


「こ、こ、これはどういうことよ銀次!? 女に縁のなかったアンタが……!」

「ああ、うん、その縁を作ろうとした結果がコレだよ……」

「それじゃあママと一緒に教室行こっか銀くん。姫子さんもHRに送れずにねぇ~」

「放課後はお姉ちゃんと生徒会の仕事が待ってるから、忘れないでね銀次くん。今日も二人きりの時間を過ごしましょう……くすくす」

「くふふ~、それじゃあ帰ったらウチと遊んで貰おうかなぁ~。お兄ちゃんってばゲームもクソザコなのか試してあげますねぇ~♡」


 自称母、自称姉、自称妹の三人に連れられ、校舎へと向かう俺。


 どうやらしばらくはこんな生活が続きそうだ。

 確かに女性との縁を作ろうとしたけど、俺が欲しかったのはこういうのじゃないんだが……?


短いお話となりますが、これにて一旦完結とさせて頂きます。

もしかするといずれ続きを書くかも……?

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うーん...好き!!!
[一言] 彼女として私を紹介してあげると意気込んでいたんだろうなぁ…って微笑ましくなった(自称家族から目を反らしながら)
[一言] プロローグが終わったってことか! なるほど…ここからが本番だからね!! うん、完結なんて信じないんだからね!!!!
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