表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。  作者: 万怒羅豪羅
13章 歪な三角星
545/860

13章 モンスター・用語辞典

●モンスター図鑑


この図鑑は、ギネンベルナ王室が編纂した、全国に生息するモンスターの特徴、生態、戦う際の注意事項などを記したものである。これを読めば、読者諸君は危険なモンスターに対する最低限の知識を得る事が出来るだろう。ただし、留意しておいてほしい。ここに記されているのは、あくまでも多種多様なモンスターの一側面に過ぎない。諸君が実際に剣を握り、モンスターと相対する際には、必ずしも本に書かれた知識だけが全てでない事を忘れないで頂ければ幸いだ。


“危険度”について

そのモンスター一体のみに対して、人間が戦いを挑む場合の脅威の指針。


S……生物の頂点に位置する種族。人間が大軍を成したとしても、討伐は極めて困難。ドラゴン種などが該当。


A……非常に凶暴。人間単体では歯が立たず、屈強な戦士たちによる軍隊の形成が必要。オーガ、ゴーレムなどが該当。


B……危険だが、熟達した知識と技量があれば討伐可能。ただし一人では苦戦を強いられるであろう。ライカンスロープ、トロールなどが該当。


C……単体では弱く、一人前の戦士なら十分応戦可能。だがこのランクのモンスターは群れを成すことが多く、個としての弱さを補っているので注意されたし。オーク、ゴブリンなどが該当。


D……極めて脆弱、もしくは危険性のない生物群。


・モンスター詳細

ドッペルゲンガー

死霊目 影法師科 危険度C−

他人の姿を真似る悪霊の一種。

実在する人物になりすます特徴がある。姿形はそっくりで、記憶や性格まである程度模倣するが、なりすました人物の名前を言う事ができないという弱点がある。もしもドッペルゲンガー疑惑のある人物を見つけた場合、名前を言わせて確認すればよい。看破されると黒いもやとなって消えてしまうからだ。

心の弱った人はドッペルゲンガーに憑かれやすくなると言う。これは、本種が人の妬みや恨みの感情が具現化した存在であるからだと言われている。取り憑かれた人物は少しずつ生気を吸い取られていき、やがてドッペルゲンガーと成り代わられて影となってしまう。ただし、同時に同じ人物が二人存在する事になる為、そうなる前に誰かに気付いてもらうのは難しい事ではない。危険なのは、一人で孤立して生活している場合である。ドッペルゲンガーの模倣は、当然だがその本人には全く効果がない。その事は本種も理解しているようで、模倣元(オリジナル)に目撃されると凄まじい攻撃性を持ってオリジナルを殺害しようとする。この時の危険度はB+相当となる為、取り憑かれた人物は絶対にもう一人の自分を見てはならない。


シュテン

鬼人目 酔鬼科 危険度B+

朱色の体色をした鬼の一種。

鬼人目特有の筋力に加え、並外れた生命力を持つ。例え腕を落としたとしても、切り口を触れ合わせれば簡単に接合してしまう。討伐するには徹底的な破壊手段を用いるか、後述する酒に目がない特性を利用して追い払うのがいいだろう。

主に山の奥地に棲息するが、平地や農村にも出没するなど、活動域は広い。食性は雑食だが、なによりもアルコール、つまり酒を好む特徴がある。ただし自身で酒を醸造する技術は持っておらず、もっぱらヤマタノオロチが造った果実種を目当てに山を彷徨いている。かの蛇とは共生関係にあるようで、シュテンが巣の警護を、オロチが見返りに酒の一部を提供しているが、酒癖の悪いシュテンが巣を追い出される事もままあると言う。その場合、山を出た本種がワイン農家などを襲う場合があり、農家は必ずシュテン避けとして、出来の悪いブドウから造った超高アルコール度の粗末なワインを用意している。本種は完全な味音痴であり、唯々アルコール度の高い酒のみを求める傾向があるからだ。それでも時には酒蔵が被害を受ける時もあり、業を煮やした酒造家たちによってシュテンの討伐が指揮された事があるが、その際シュテンは首だけとなっても生き続け、頭のみで逃げて行ったという。

余談だが、シュテン避けの為に造られた高アルコール度の酒が一部の好事家に受け、「シュテンワイン」として販売されている。


カイロウドウケツ

六放海綿目 硝子音叉科 危険度D

深い海の底に住むトンネル状の体を持つ生物。

深海の海底に植物のように根を張って暮らす。水中の微細な生物を餌とし、また土中の鉱物成分を吸収してクリスタル質の体を形成する。海綿らしく体は筒状で、網目のような無数の穴が空いている。ただしこの特徴を持つのはメスのみで、オスは孵化直後は微生物程度の大きさしかなく、海中を漂ってメスと出会うのを待ち続ける。運良くメスに出会えると網目の隙間から内部に侵入し、そこで成長する。成長するにつれて網目よりも大きくなり、外へ出られなくなる為、オスは一生をメスの内部で過ごす事になる。オスは赤い小石のような見た目で、体を震わせる事で音を発する事ができ、メスがこれに共鳴する事によって交尾がなされる。メスによって共鳴する音域は異なる為、オスは少しずつ振動の仕方を変えてチューニングしていき、最終的にはそのメスのみに対応する周波数に固定される。この性質を利用すると、オスに向かって声を吹き掛けると、共鳴したメスの体から声が聞こえて来るという、簡易的な通信装置のような使い方ができる。残念ながら有効距離は短く、実用性は乏しいが、子どものおもちゃとしては人気で、時たま浜辺に打ち上がったものが土産物として売られている。


アルラウネ

歩人根目 根鋭牙科 危険度B+

植物型モンスター。根っこで歩き回る。

生物の体液を好む。単体ではそこまで脅威ではないが、しばしば群生し、集団で襲い掛かってくる。炎に弱いので、アルラウネの生息地を通る場合は松明を切らさないように心がけよ。

濃い緑の葉に、褐色の根を持つ。山深い森の中に生息し、獲物の気配を察知すると植物のフリをして忍び寄り、油断したところを一斉に襲い掛かる。動物の血液、涙、汗、糞尿といったあらゆる体液を好んで啜るため、なるべく獲物が長く苦しむように嬲り殺しにする傾向がある。アルラウネに襲われた屍体はカラカラに干からびてしまっており、本種に襲われる事の悲惨さを物語っている。

体液を好む性質上、時たま山を離れて、処刑場や肥溜めに出没する事がある。絞首刑に処された罪人の足下に滴った体液を啜る本種の姿を見た人たちは、本種がその罪人の足下から生えてきた不浄な悪魔に見えたと言う。一部地域でアルラウネを悪魔として捉える風習が残っているのはこのためである。


ゴールデンイーグル

鷹目 壁鷹科 危険度B−

大型の鷹。翼の大きさはグリフォンに匹敵。

防衛本能が強く、巣に近づく者には容赦しない。肉食だが屍肉を好む為、巣の警備以外の理由で動物を襲う事は滅多にない。鉤爪の一撃は強力な為、襲われた場合は何としてでも巣から離れるべし。

黄金色の羽を持つ大型の猛禽。人間の大人の二倍はある翼を広げて、険しい崖や渓谷を悠々と飛ぶ。子煩悩ならぬ卵煩悩な事で知られ、切り立った崖に好んで営巣する。これは岩壁の方が卵を狙う獣に見つかり辛いからだと考えられるが、卵は非常に頑丈な殻を持ち、生半可な牙では文字通り歯が立たない為、やや過剰な防衛でもある。二〜五個程の卵を産み、孵化直前までは大事に暖めるが、間もなく雛が生まれるという段階で巣から蹴り出し、崖下に落としてしまう。それでも卵は頑丈なので中の雛は無事で、むしろその刺激により雛の孵化を促し、同時に殻にヒビを入れて雛を手助けしているのではと考えられている。孵化したばかりの雛はしばらく殻を捨てず、ヤドカリの宿の様に利用して身を守り、地表の昆虫などを食べて暮らす。そうして殻に収まりきらない程に成長する頃には翼が発達し、活動の場を地面から空へと移すのだ。そこから完全に成長し切るまでは十年がかかると言われている。


●用語辞典


三冠の宴

シェオル島で開かれる、三国合同の宴。各国が贅のかぎりをつくす為、大陸で最もきらびやかな宴と称される。


フィドラーズグリーン戦線

魔王の大陸ゲヘナと、人類の大陸の境目にあたる戦線。三十三年戦争の最前線であり、長年膠着状態が続いている。


自我字引

エゴバイブル。勇者のナビゲート役として渡されるが、真の機能は勇者を監視し、心の最も根深い闇を封印することである。


●魔法辞典


・(火属性)


ファイアフライ

小さな蛍光色の火の玉を複数飛ばす魔法。


トリコデルマ

高温の赤い火の粉を撒き散らす。皮膚に触れると爛れ、吸い込むと肺を火傷する。


・(氷属性)


ウォールオブレインディア

氷の壁を生み出す。


・(風属性)


ストームスティード

疾風の速さで走る馬を呼び出す。


●地図

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ