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8章 モンスター・用語辞典

●8章 モンスター図鑑


この図鑑は、ギネンベルナ王室が編纂した、全国に生息するモンスターの特徴、生態、戦う際の注意事項などを記したものである。これを読めば、読者諸君は危険なモンスターに対する最低限の知識を得る事が出来るだろう。ただし、留意しておいてほしい。ここに記されているのは、あくまでも多種多様なモンスターの一側面に過ぎない。諸君が実際に剣を握り、モンスターと相対する際には、必ずしも本に書かれた知識だけが全てでない事を忘れないで頂ければ幸いだ。


“危険度”について

そのモンスター一体のみに対して、人間が戦いを挑む場合の脅威の指針。


S……生物の頂点に位置する種族。人間が大軍を成したとしても、討伐は極めて困難。ドラゴン種などが該当。


A……非常に凶暴。人間単体では歯が立たず、屈強な戦士たちによる軍隊の形成が必要。オーガ、ゴーレムなどが該当。


B……危険だが、熟達した知識と技量があれば討伐可能。ただし一人では苦戦を強いられるであろう。ライカンスロープ、トロールなどが該当。


C……単体では弱く、一人前の戦士なら十分応戦可能。だがこのランクのモンスターは群れを成すことが多く、個としての弱さを補っているので注意されたし。オーク、ゴブリンなどが該当。


D……極めて脆弱、もしくは危険性のない生物群。


・モンスター詳細


イフリート

巨人目 炎神科 危険度S

体が燃え盛る炎で出来た巨人。

高熱の炎と怪力を併せ持つ。大軍が一瞬で灰になる攻撃力は脅威の一言。その巨体故に遠目でも発見はしやすいので、全力で逃げれば生き残る可能性はあるだろう。

詳細な記録はほとんど無く、その特徴は口伝でのみ伝えられている。それによれば、体長は60キュビットにも達し、全身が炎と黒煙で包まれている。拳を一振りすれば、森が瞬く間に焦土と化す、とのこと。現在残っている最も新しい記録は33年戦争時のもので、魔王の大陸にて遭遇、あわや戦闘になりかけたものの、勇者の機転により事なきを得た。本項目のデータはその時の情報を基に作成した。


ハナカツミ

七草菖蒲目 七草菖蒲科 危険度D-

成長しきるまでどんな花が咲くか分からない、幻の植物。

花弁に高い薬効を持つと言われているが、実際に採取できたという記録はほとんど存在しない。そもそもこの種の存在が確認されたのがつい最近であり、生態に関しては未だ不明な点が極めて多い。

本種が発見された記録で最も古いものは大陸暦160年代のものであり、「地下で根が繋がっている植物がある」というものだった。2種類の植物の根が融合した状態で見つかり、当時は植物の奇病だと思われていたが、その後も十数年間隔で同じような植物の発見が相次ぎ、学者たちの注目が集まり出す。だがそれとは裏腹に原因の究明には至らず、長い年月を経た310年代になって、ようやく奇病などではなく、別種の植物に寄生・融合する性質を持った植物(本種)である事が判明した。なぜこれほどまで調査が難航したかと言うと、本種が咲かせる花が、融合した植物によって色・形・大きさに至るまで別種レベルで変化する特性の為である。葉や茎もそこまで劇的ではないものの変質し、外見による判別はほぼ不可能。つまり手当たり次第植物を掘り返して根を確認してみる他なく、その余りの労力の多さから、「幻の花」「幻の植物」と呼ばれる様になってしまったのである。未知の部分が多い為、もしも旅先で目にするような事があれば、扱いに十分注意すること。


アパオシャ

奇蹄目 (ひでり)黒馬科 危険度B

主に砂漠に生息する、痩せ細った姿の黒馬。

物静かな性格で、こちらから近づかない限りは滅多に襲ってこない。ただし水場を荒らされることを嫌う為、気付かずに水浴びをしている所を攻撃されることがある。

蹄に小さな穴が空いており、そこから水を吸い上げる事ができる。アパオシャは餌を食べず、水だけを飲んで生きていくと言われている。その原理は永らく不明だったが、解剖の結果、体内に特殊な袋をもち、ここで水を電気と気体に変換させることでエネルギーを得ている事が判明した。そのメカニズムはまだ不明な部分も多いが、恐らく何らかの魔術による作用であり、本種もマナを操る獣の可能性があることが報告されている。

アパオシャの生息する地域は乾燥帯である事が多い。ただ、水をエネルギー源とする本種が水の少ない地域に生息する事は不可思議である。そこは元々は乾燥帯ではなく、アパオシャに水を吸い上げられた結果荒地になったと主張する学者もいるが、真相は未だ定かではない。


マンティコア

雑綴(つぎつぎ)万象目 人造獣科 危険度A-

ライオンの体、コウモリの翼、サソリの尾を持つ、キマイラ相のモンスター。

非常に凶暴な性質で、動くものには見境無く襲いかかる。強い再生力を持ち、多少の傷なら即座に回復してしまう。

邪悪な魔術によって人工的に作り出されるモンスター。繁殖はせず、野生の個体は存在しない。口はあるが食物を摂取する事はなく、消化器官も有していない。基本的に自我を持たず、術者の命令にのみ従うが、人間への強い敵意だけは全ての個体で共通している。その憎しみの深さは本能と言っても過言でなく、制御に失敗すれば術者ですら危ういほどである。

一説では、古代の魔術師によるキメラの合成実験の失敗の際に、偶発的に誕生したといわれている。背景として、かつてはゴーレムなどに分類される可動無機物目のモンスターの召喚術式が確立されておらず、代わりに本種のような合成獣を外敵排除の為の使い魔として利用していた。本種やキメラの過剰な人間への殺害本能は、この時に形成されたものと思われる。

現代においては、マンティコアの合成術式は三国間魔導連盟によって禁呪に指定されている。内容は極めて邪悪かつ醜悪であるが、本書では知識として、以下の最低限の情報を記載しておく。本種の合成は、ライオン、コウモリ、サソリを最低一匹ずつ、そして人間の生きた心臓を素体として使用する。犠牲となる動物の数が多いほど、より大きく強い個体が出来上がるが、制御の難易度も飛躍的に上昇するとされる。


●8章 用語辞典


光の魔力

非常に希少な魔力。その効果は奇跡に例えられる。その希少さ故に、術者は争いに巻き込まれやすく、短命なことが多い。


闇の魔力

非常に希少な魔力。その効果は業に例えられる。唯一“心”に作用できる魔法と言われる。術者は凶悪犯罪を起こすことが多く、処刑されて短命なことが多い。


七つの魔境

かつて竜が屠られた地。詳細不明。


残存型、継続型魔法

魔法のタイプ。一度唱えると一定時間効果が永続する残存型と、常に魔力を放出し続けなければならない継続型がある。


●8章 魔法辞典


・(火属性)


ファイアフライ

小さな蛍光色の火の玉を複数飛ばす魔法。


フレイムパイン

燃え盛る柱を地面から生やす。


フレーミングバルサム

パチパチと爆ぜる火花を散らす。


トリコデルマ

高温の赤い火の粉を撒き散らす。皮膚に触れると爛れ、吸い込むと肺を火傷する。


メイフライヘイズ

高熱を放ち、蜃気楼を発生させる。


・(風属性)


ウィンドローズ

世界のどこかで吹いている風を呼び出す。


ヴィントネルケ

風の鎖で相手を拘束する。


ストームスティード

疾風の速さで走る馬を呼び出す。


ブラストビート

風の渦を閉じ込めた球を放つ。任意の場所で炸裂し、突風を巻き起こす。


・(氷属性)


メギバレット

氷の弾丸を撃ち出す。


・(冥属性)


ディストーションハンド

右手を霊体化させ、アンデッドを使役する。


ディストーションハンド・ファズ

アンデッドの状態を巻き戻す。


●地図

挿絵(By みてみん)

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