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ペア1

「紬、今日この後時間ある?」

 で遊ぶのも楽しいけど、こうして二人で遊ぶのも俺は好きだ。

 二人の時は夏休みの宿題や勉強を教えてもらったり、単純に彩さんが招待してくれてご飯を御馳走になったり、仲良くさせてもらっている。

「この後ですか? どこか行くんですか?」

 あと少しでいつもの帰る時間になるのに立ち上ろうとしている俺を見て察してくれたようだ。

 俺には紬に言うことがある、いや言うときがついに来た。

「うん、最近体動かしてなかったから、散歩したいなーって…」

「時間は大丈夫です…」わぁ…キョロキョロ

 目がグルグルと回転する勢いで辺りを見回し、肩にも力が入っているように見える。

 もしかして俺が何を言うかバレてるのかな…。

 あんなわかり安い台本だったらバレるのも当たり前か、それがバレてたら俺の気持ちだって…いや、ちゃんと言いたい。

 今日俺が言いたいことは二つ、音声作品のこと…そして俺の気持ち。

 この気持ちは声優なんて関係なしに好きだということ、俺は今日伝えようと思う。

「じゃあ日が沈む前に行かない?」

「そ、そうですね」

 お互い緊張して口数が少なく、気まずい空気が流れる。

 それでも、出会った頃…俺達が偶然ペアになったあの時、お互い何も話さず、距離感を測りかねていたあの時の気まずさとは違う。

 これは信頼からくる気まずさだと思う…だって

ーーどれだけ気まずくても、肩があたりそうな距離を保って、ピッタリとペースを合わせて歩いてくれているから。

「この時間だと、あんまり人いないね」

「はい、もうすぐ日も沈みますし。 あの夕日の赤色、すごく綺麗です」

「雲もいい感じだし」

「…」コクコク

 この紬の頷きだけの返事もすごく懐かしい。

 草木や揺れる音をBGMに二人で公園を歩く。

「結構歩いたし…そこのベンチ座らない?」

 実際にはそんなに歩いてもないんだけど、口実のためにそういった。

「…」コク

 椅子に座ると、さっきまでより風が気持ちの良く駆け抜けた気がした。

 やっぱり紬はどこか緊張していて、全体的に固い。まぁ俺も心臓が暴れているんだけど。

「あのさ…」

 なんとなく言うのが恥ずかしく隣を見ると…

 夕日に照らされた幼めの美少女が眩しいのかどこか悲しそうな表情をしているようにも見えて…

…芸術的

 そう思った。

「あのさ、声優辞めてからもsnsチェックしてたりする?」

「はい…」

 お互い目の合わさないまま会話を続ける。

 まだどうやって言い出すか考えてなかったことを後悔している。どうしよう。

「その…今売れてる、結ちゃんの作品さ…」

「…」

 音声作品は無事発売された。

 結果は…売れた。ものすごく。

 今日も一日の売り上げトップとしてランキングに乗っていると思う。

 覚悟も決めたはずなのになかなか俺が台本を書いたと言い出せないまま、時間が過ぎる…。

「…あ…その」

 言いたいことは頭にあるのに言葉にならない。

「…あの台本を書いたのって颯太君ですよね?」

「う、うん」

 バレているとわかっていても言わせたこと、自分で言えなかったことが悔しかった。

「私嬉しかったんです。 颯太君が書いたのはすぐにわかりました」

「俺の所為で声優をやめることになって…それで」

「颯太君の所為じゃないです、私が決めました」

「でも、俺は今でも紬に声優を続けてほしいと思ってる」

「私は…もう声優をするつもりはありません」

「それは…」

ブックマーク、評価よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ

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