お仕事2
*『彩(お母さん)視点』
初め颯太君がUSBメモリを渡して来たときは何かと思ったの。
私の中で颯太君はいい子だし、紬の友達だから中身がウイルスだとか疑ういことはなかったわ。
でも、中学校であんなに友達の居なかったあの子が急に家に男の友達を連れてくるようになって…
ーーまさか弱みを握られてる…?、これの中身は紬の裸の写真でお金を要求されたり…、なんてアニメや漫画の読みすぎかしら。
「私はバカね…」
そうは言いつつも、あんなに楽しそうに誰かとゲームをする紬が颯太君にゾッコン…、身も心もなんてことは……
「はぁぁ…」
PCで読み込んで、ファイルに着けられた名前を見てすぐにこれは音声作品の台本だってわかったわ。
もちろん、紬から颯太君と何を話したとか楽しそうに話すのを聞いていたから、颯太君が紬の活動のことを知っているのもわかっていたのだけど。
ーー問題は内容、早く読まなきゃいけないそう思ったの。
……
…
「ふぅぅ、これは…」
紬のことをよく見ていて、結として得意な演技や声のトーン、話し方の癖を理解していないとかけないこの台本の演技指示、振り付け。
ネットでシナリオライターを募集したり、依頼したのじゃ書けない、あの子のためのストーリーだと思った。
…紬の声優人生を、颯太君にかけてもいいかもしれない。
そう思うほどに。
あの子は私よりも声での演技の才能もある、私とは違って安らぎのある声をしている、努力も怠ってない。
紬のための台本に紬の演技、声。それは紬の音声作品。
紬なら、この台本を読んだら誰が書いたのか一発でわかるでしょう。
無責任かもしれないけど、親の押し付けじゃない、紬と颯太君の選択を…応援しよう。
*『紬視点』
あのお母さんがこの仕事は私の判断で受けなくていいと言われたのは初めてでした。
それも最後の最後で…、まずは読んでみましょう。
……
…
「颯太君…?」
今までこんな台本が書けるなんて聞いたことは…無かったとおもいます。
たぶん、間違いないです。心辺りは…昨日私が席を外した時でしょうか…。
この台本は私と颯太君の思い出や出来事、行動や会話なんかをベースに書かれていましたし。
ーー恥ずかしい。
自分の思い出が台本になって読んでくれと言われると恥ずかしいが真っ先にできてます、でも同時に嬉しいとも思いました。
…
私はお母さんかお父さんしか頼れる人はいませんでした。
でも、何も話さなくても嫌がらずに一緒にいてくれて、それだけじゃなく私の声を好きって純粋に言ってくれたのは颯太君でした。
私はそんな颯太君に頼りきりです。
炎上した時も怖くて、勝手に相談して、勝手に実行して、勝手に悪化させて…。
それを颯太君は自分のことのように責任を感じてくれて…。
それでもカフェに連れて行ってくれたり、ジュースを奢ってもらったりして一緒に居てくれます、家族以外で信頼できる唯一の人です。
ーー今なら認められます。颯太君に声優を辞めると言ったあの時、声優を続けてほしいと言って欲しかったんです。
だって私が声に自信を持てる唯一の源だから、また頑張れって、もっとできるって言ってそばで応援して欲しかった。
それも言えなくしたのは責任を感じさせた私なのに…。
私は厄介で、面倒で、自分のことしか考えていません。ひどい子です。
…それでも颯太君が私に期待して、推してくれるならーー私の自信は尽きません。
「お母さん、この台本、私やりたいです」
翌朝、私はお母さんにそう言いました。
予定では来週完結すると思います。
それまでにどうかブックマーク、評価よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ




