依頼6
「ふぅぅ、このゲームなら何とかできました」
「え、紬上手くない?」
二人とも軽く話しながら同じ難易度でプレイしたのにも関わらず、紬の方が二倍いい結果が出ていた。
「私はこのゲーム少しやったことあったので」
フォローのつもりかもしれないけど、まぁ家にあったらやることもあるだろうけど…。
俺もゲーセンとかでやるし、単純に紬のほうがリズム感とかがいいのかな?
「それにしても上手くない?」
「そうですか?」ニコ
紬が選んだゲームだし、多少は自身があったのかもしれないけど…悔しい。
いや、悔しかったんだけど、褒められてか、恥ずかしさと嬉しさを隠しきれていないこの紬の表情が可愛すぎて楽しいからいいやという気になった。
「ごめん、紬トイレ借りるね」
紬の可愛い表情を見て、気が抜けたのか漏れるかと思った。
「はい、さっきの本棚の部屋の隣です。 わかりますか?」
「うん、一度通ったし大丈夫、ゲームしててよ」
さっきジュースを飲みすぎたかな?
コントローラーを置いて、トイレで用を足す、手を洗う。
一曲三分ぐらいだけど、すぐに帰って来たから少し待つことになる、と思って戻ると…
「…」コク…コクコク…コク
首で小刻みにリズムを取りながらコントローラーを操作する紬の後ろ姿が目に入った。
まだ太陽の光、それも夕日を反射して輝いて見える綺麗な髪。
まるで髪が光を放っているみたいだ。それに後ろから見るとよりわかるスタイルの良さ…。
「……ぁ。 ごめん、ごめん」
数秒見とれてしまうほどに、太陽と紬の後ろ姿は最高に合っていた。
それも何とか気を取り戻し、紬の横に座る。
すると今度はーー
「…あ」コク……コク「ふぅぅ」
ゲームに集中する紬の顔は真剣だ。
というか小刻みにリズムを取るせいで微振動が体に伝わっていて…やばいことになっている。
あと短いスカートにニーソの紬が女の子座りをすると…その太腿が…白くて…。
「…エッチ」ぷるぷる
「あ」
曲が終わったのに気づかずまた太腿を見つめていたのを、紬に見られた。
彩さんに台本を渡し、心に余裕が出来たからか…またやってしまった、やばい、何か…何か言わないとーー
「ごめん…、その…服似合ってて、その、可愛…」
あわわ「も、もういいです。 つ、続きしましょう」
慌ててつい墓穴を掘ってしまった。
顔を真っ赤にしてキョロキョロしている紬がゲームを再開してくれたおかげで何とか俺は許されたらしい。
「負けてしまいました」
「ふぅぅ…」
邪念を払うように集中してプレイするとそれなりの結果が出た。
操作にも慣れて来たのか偶然か紬といい勝負ができるようになってきた。
時々会話しながらゲームを続けた。
「そろそろ時間かな」
「もうそんな時間ですか…」しゅん
楽しくてすぐに時間が過ぎてしまった。
彩さんに台本を渡してからは一度も姿を見せなかったし、ずっと二人きりで遊んでいた。
一度ぐらい彩さんの反応というか、言葉を聞いて安心してたかったけど、信じて待つしかない。
急に不安な気持ちになったのを隠しつつ、ゲームやお菓子のゴミの片づけ、カバンを持って玄関に移動する。
「駅まで一緒に行きますね」
「もう暗いし、すぐそこだから大丈夫」
「そうですか、それなら下まではいいですよね?」
「じゃぁお願い」
最近夜は寒いし、目の前の駅までで迷うこともないだろう。
「お邪魔しましたー」
ほとんど一日居た紬の家を出る。
紬がいい匂いだからか、外の空気が寂しく感じる。
「颯太君待ってください」
先に外でていた俺に小走りで追いつくようにして紬が出て来た。
エレベーターが来るのを待って、二人で乗り込み、マンションの下まで降りる。
「じゃあここで、今日はありがとう、楽しかった」
「はい、私も楽しかったです。 その…また来てください」
「ありがとう。 じゃあね」
「…あ」
辺りには街灯がついていても夜は暗く、」やっぱり肌寒い。
バイバイして数歩…ーー
「颯太君…」
服の後ろの裾をつかまれた。
「紬?」
紬が近づいて来ている音は外の車の音で聞こえなかった。
「そ、その…」
「?」
暗くても、俯いてても、わかるぐらい紬の顔は赤く、モジモジとしているのがわかる。
もしかして風引い…ーー
「そ、颯太君もその服似合って、カッコいいですよ」あわわ
俺は何も言葉を返す間もなく、走って帰っていく紬の背中を見送った。
「反則…」
俺には紬の言葉と声は刺激が強く、しばらくその場から動けなかった。
俺が紬に思ったように、紬も思っててくれたのかな?
ーー俺の今のこの気持ちと、俺が紬に言った時の紬の気持ちが同じなら…
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