依頼3
「お邪魔しまーす」
駅でのギクシャクした感じもなく、久しぶりの紬の家にお邪魔する。
「あら、久ぶり柏木君」
お母さんが迎えてくれた。
改めて聞いてもいい声のお母さんで、声の出し方が綺麗だと思った。
「すみません急に押しかけて。 これお菓子です」
「どうもありがとう。 後でこれも一緒に出させてもらうわね。 そうそう、この間は紬を助けてくれてありがとう」
そういえばそんなこともあった。
つい三日前ぐらいに完治したばっかりなのにもう忘れかけてた。
「いえ、怪我がなくてよかったです」
「…」
紬は横で申し訳なさそうにしてる。
「その話は上がってからで、ね? お母さん。 颯太君、どうぞどうぞ」
「そうね、どうぞ」
二人に招き入れられ、先に靴を脱ぎ終えた紬について行く。
すると絨毯の引かれた廊下を通り、紬の部屋の前までいきなり来た。
前回も思ったけど、この部屋は本当に心臓に悪い。ドキドキしすぎる。
「あ、本直すならこっちじゃないほうがいいですね」
今日来た予定を思い出した紬が本棚の部屋まで案内してくれた。
だから、紬の部屋に入らず、心臓にはいいけど、少し残念な気がしたのは内緒だ。
「長いこと借りててごめん、全部読んだけど、どれも面白かった」
「それは良かったです。 こんなにあったんですね」
本を直す場所が分からない俺の代わりに紬が直してくれている、ありがたい。
「はい、これで全部ですよね?」
俺も本を直そうとしたけど、他の本が多すぎて場所がわからなかった。
だから結局ほとんど一人で直してくれた紬は文句の一つも言わずに微笑んでいる。
「ごめん、借りたの俺なのに全然場所分からなくて」
「いえいえ、気にしないでください。 それより、遊んで帰りますよね?」
俺も本を直し終えて、これで帰りますじゃ寂しいし。
それに紬からそう言ってくれるとなんか嬉しい。
「時間は余裕あるし、何する?」
前回来た時は紬の部屋で本を読んだり、会話したりだった。
「そーですね…ゲームとかしますか?」
「え? 紬ってゲームとかするの?」
以外な回答が返ってきてびっくり。
「あんまりしないですけど、ありますよ」
ほとんど重さの無くなったカバンを持って本のおいてあるこの部屋を出る。
そのまま紬の部屋の前を過ぎ、いくつかのドアの前を通るとリビングだった。外からだとわからないけど縦長の家のようだ。
入ったリビングは手前側にキッチン、ダイニング、奥にソファーとテレビ、その奥にベランダとなっていた。
掃除が行き届いていて、センスのいい家具が並んでいる。
でも紬の部屋は可愛くポップな感じだったけど、リビングはモダンな感じがする。お母さんの趣味かな?
お母さん本当にスペック高いと思う。
「あら二人とも何するの?」
ベランダ側、L字のソファーとテレビの置かれた空間でお母さんが本を読んでいた。
「うん、お母さんテレビ使ってもいい?」
「ゲームするの? すぐにお菓子の準備するわね」
多分どこで遊ぶか分からなくてお菓子や飲み物を持ってくるのを待ってくれていたんだろう。
「どうも」
すぐに読んでいた本を閉じて、準備してくれるようだ。
お礼を言うとニコッと笑った。その顔が紬に似てて親子なんだなぁと感じさせられた。
「そんなにソフトもないんですけど、どれがいいですか?」
ラインナップを見て、二人で相談して某髭の生えたおじさんのレースゲームに決まった。
「このゲームって紬の?」
「いえ、お父さんのです」よいしょ
「お父さんのなんだ?」
「はい、私はあんまりゲームしないので…っと、アニメは見ますけど。 はい、コントローラーです」
「ありがとう」
これいつお母さんにあの話をすればいいんだろう。
紬といると楽しい…、というより居心地がよくて当初の目的を忘れそうだ。
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