テスト6
「んーーー」
颯太君は勉強の区切りがついたようで、気持ちよさそうに伸びをしています。
「ふぅぅ」
私も流石につかれました。
「稲葉さん」
「はい?」コクり??
唐突にどうしたんでしょう。
「そのさ答えずらかったらいいんだけど…」
急に改められると怖くなります。
「…」うぅ?
「声優ってどうやって活動してたの?」
「へ? あぁ、えと細かいことはお母さんがしてくれてたので、私には」
びっくりしました。
でも、い、一応は…推しだって言ってくれてますし、興味を持ってくれるのは嬉しかったりもします。
もうやめますし、言っても特に困ることもないでしょう。
「お母さんがマネージャー的な?」
「…そうなります、ね?」
はっきりとそういうわけではないですけど、間違ってもないと思います。
半年と少しぐらいの間でしたけど、お母さんには感謝しています。
「そっか」
「はい、お母さんのコネや伝手で機材とか」
「え?」
「うーん、…初めの仕事ははお母さんが台本を発注して、作品を作ることからでした。
実績もなしでは厳しいので」
「そうなんだ…、お母さんすごいね」
「はい、やめてしまうのでホントに申し訳ないです」
「…そっか」
すごく悲しそうにしてくれていますが胸に刺さります…。
実は颯太君にも感謝しているんです。
野外活動の後ぐらいでしょうか…、snsですごい嫌な書き込みがあって、本当はあの時やめるつもりでした。
ここまで続けて来れたのは颯太君のおかげ…ホントにお世話になってばっかりです。
「ごめん、わがまま言って。 ありがとう、話してくれて」
「満足してくれたならよかったです」
……
…
*『颯太視点』
「やっぱり話すの好きだよね?」
今、勉強に一区切りついて少し話して、やっぱりそう思った。
「…そう見えます?」
「うん。 さらに好きなこと話してるときが一番輝いて見える」
「ふふふ、そうかもですね。 やっぱり話すのは楽しいです、好きです」
好きなこと…今もそうだったけど、本当に目の奥から笑って話す姿が眩しい。
やっぱり声優を続けてほしい、さっきは声優を続けるのは本人の望むことではないのかと思ったけど…そんなことない、と思う。
今声優の活動の話をする稲葉さんは輝いていた。
「そ、そうだ、最近本読めてなくてさ…、返せてなくてごめん」
「いえ…、それは大丈夫ですけど、最近しんどそうだったので…、何かあったんですか?」
「え…いや、確か前も言ったけどゲームにハマってさ」
「はい…大丈夫ならいいんですけど…、体調には気を付けてください」
「う、うん気を付けるよ」
拒絶感を感じたのか深くは聞いてこなかった。
確かに体調はいいとは言えないし、昨日はタイピングが上手くできず諦めて早く寝たから今日は久しぶりの元気。
稲葉さんと遊ぶのを楽しみにしていたのもあったかもしれないけど…。
「はい…。 では、そろそろ失礼しますね」
「そっか、もうこんな時間か…、駅まで送っていくよ」
「…それではお願いします、道に自信がないので」
帰るのを引き留める勇気はないし、せめて駅までの時間一緒に居たいと思った。
やっぱり稲葉さんは荷物が散らかっていることはなく、学校の帰りのようにすぐに荷物をまとめた稲葉さんと外に出た。
「風が強いですね…」
スカートを少し手で押さえつつ、困り顔。
「昼はそうでもなかったのにね」
朝、いつもは長く感じる駅までの通学路。
でも、夕日が沈みそうになっていて、周りの気が風に揺れているこの雰囲気は稲葉さんと二人で歩くことで本当に輝く時間になって。
「ここまでありがとうございます。 お茶やお菓子をだしていただいて」
ーー大事な時間、楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。
「うん、じゃあね、稲葉さん…。 また明日、学校で」
「はい…その最後に、一つ…、一つだけ我儘言っていいですか?」もじもじ
最後の最後…別れ際。
稲葉さんは恥ずかしそうに、俯いている。
「うん」
どんなお願いが来るか心臓がバクバクしている。
「あの、その、名前…」
「? 名前?」
名前、稲葉さん?
「その…、名前! 私のこと下の名前で呼んでくれませんか? この間みたいに」うぅ、ぷるぷる…。
「えと、…うん。 紬…」
我儘で下の名前で呼んでほしいは…、可愛すぎる。
「はい…」
俯いててもわかるぐらい顔を赤くしてる稲葉さんだけど、多分俺も大して変わらいだろう。
自分でもわかるぐらい顔が熱いし…。
「ありがとうございます! 私、帰りますね颯太君!」
「またね、…つ、紬」
「はい! また」ニコ…えへ
稲葉さんの笑顔は夕日よりも綺麗で、輝いていた。
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