野外活動2
今日は一日をかけてペアでチェックポイントを回ることになる
心配していた例のペア活動だ。
「颯太君おはよう……」
「よっ、司」
将はまだ寝ているようだ。
「まだ、時間はあるし寝かせてあげよう。 昨日の疲れは取れた?」
「もちろん全く残ってない」
「へぇー、それって昨日言ってた音声作品ってやつのおかげ?」
俺は寝るときにあれがないともう無理なので司にも話をすると自分も音楽を聴きながらじゃないと熟睡できないと言っていた。
「まぁ、音声作品のおかげっていうか結っていう同人の声優がいるんだけど、その人のおかげだな」
「好きってすごいね…。 ふぁぁぁ」
「眠そうだな」
「やっぱり環境が変わるとね」
「それにしても将は……」
「羨ましい」
今も自分の家のように熟睡している。
『起床の時間になりました』
リズムのいい音楽とともに目覚まし代わりの放送が流れる。
先生が朝起きたのかチェックに来たがその時には将も起きて着替え終えていた。
あとは朝飯を食べている間に水筒にお茶を入れてもらい、歯ブラシや準備をしてペア活動の集合場所に向かう。
これもまた何かの式を行い、長い話を聞いた後に出発するらしい。
ここの職員の人がいうには舗装された道や道路、登山道のようなものがあちらこちらにあるからそれを通れば安全とのこと。
それに加え大人数の大人が見回りしているから問題があれば近くの大人を頼るようにとか…連絡をされた。
「稲葉さん、こっち」
話を終え、ペアで集まる。
その時にキョロキョロしていた稲葉さんに声を掛け、昨日ぶりに顔を合わせる。
「どう昨日の疲れは取れた?」
「…」コクコク
恥ずかしそうにしていたが疲れが残っていないようでよかった。
学年主任の笛の合図とともに一斉にバラバラに分かれていった。
「おい颯太」
「どした将?」
「どっちが早く戻ってこれるか勝負しよーぜ」
「ふんっ、かかってこい」
「おう、自信があるなら来週昼飯おごりでどうだ?」
「御馳でーす」
将のいう戻るとはすべて回って宿舎まで戻るととりあえずこのペア活動は終了となる。そのことだろう。
その時、司は苦笑いで稲葉さんはキョロキョロしていた。
「じゃぁ、また晩飯でね。 颯太君」
昼飯の時も食べる場所は決まっているので会えるかもしれないが、学年の人数も多いし探すのが大変そう。
そんなこんなで俺らの戦いが幕を開けた。
「…ってごめんね、勝手に行ってるだけだから気にしないで」
「……」…コク
少し戸惑うようにして小さくうなづいてくれた。
多分、まぁいいよって感じだろう。
「じゃぁ、俺らもいこうか」
歩き出すと俺の横までちょこちょこと小走りで来てくれた。
最初の二十分ほどで初めのポイントに行き、もうすぐ二つ目のポイントに着く。
ちなみに俺と稲葉さんは一番遠いポイントまで道中のポイント四つ回って、大回りに安全な道路を通ってかえって来る。
予定では三つ目のポイントを回った後に昼飯になるだろう。
「はぁ…はぁ…」
上って下ってを繰り返しやっと次のポイントに向かう。
俺も少し疲れたが、稲葉さんは疲れてはいるようだが、息切れするほどではないらしい。
「稲葉さん結構体力あるね」
「…」フルフル
否定しているけど、日本人特有のあれだろう。
俺が体力がないだけかもしれないけど…。
「はぁー、ついたー」
「お疲れさま、はいこれハンコね」
その場の先生にハンコをもらった。
これで二つ、あと三つだけどその前に少し休憩してから次に向かたい。
「ごめん、すこし休憩させてくれる?」
「…」コク
稲葉さんも近くにあった段差に座ってお茶で一息ついていた。
あまり目も合わないし、話してもくれないけど、話かけると返してくれるから積極的に話かけていた。
別に反応を見るのは、動作に癒される感があって楽しめはている。
稲葉さんが嫌だと思ってないといいけど。
目を合わせてもらえないとこんなにも相手の感情がわからないんだな。
「ありがとう、もう大丈夫」
「…」コクコク
お尻についた砂を落とし、次にポイントへ歩き出す。
「稲葉さん、やっぱり体力あると思うよ」
「…」?…コク
少し考えてからのうなずき、多分「そうかな~?」って感じだと思う。
どんな話方をするのか知らないけど…。
「何かしてるの?」
「……」…ふるふる
少し間があったが、してないらしい。
「そっか、すごいね…」
「!」ビク
褒められるのが嫌いなのか、風切り音が聞こえてきそうなぐらい顔をすごいスピードで横に背けてしまった。
でも、まだ息切れもしてないし、すごいと思う。
「そだ、次のチェックポイントが終わったら昼飯だけど大丈夫?」
「…」コクコク
お昼は宿舎が用意してくれた弁当でみんな一緒おかずで、お米の量だけ多いのと少ないので選べた、多分衛生面を考えて市販のものだと思う。
無言で歩く時間が長いが、別に気にならない。
「あと、少し」
多分二つ目のポイントから三十分ほど歩いてきた。
マップ通りだとあと五分ぐらいで着くと思う。
それにしてもここは広すぎる。時々、クラスの人や他クラスの人とすれ違ったりするが基本は二人だ。
でも、すべての道にちゃんと道はあるし、道路も多い、それに至るところにマップがあるから迷う人もいないと思う。
「あー、見えた」
見えたのはいいがそこからが遠いように感じた。
やっと休憩できる。将や司がすぐに見つかったらいいけど。
「よし、到着!!」
「…」コクコク
「お疲れさまー、はい昼ご飯はあっちでなー」
「はい」
「…」コク
三つ目のポイントから五分ぐらいの位置にある広場に向かう。
ここは広場から近いから強制でルートに入っている場所で、すれ違う生徒の数も多くなってきた。
「んー、いないな。 あれ?稲葉さん?」
ずっと一歩後ろ辺りにいたのに、気づくといない。
後ろを振り返って探す…いた、誰もいない広場の端っこの方に一人で歩いていくところだった。
もしかして、俺が二人を探しているのを見て、邪魔だと思ったからとか?
まぁ気まずいだろうし一人のほうが楽なのかもしれないけど、すごい申し訳ない気分になる。
二人が見つからないからとかの理由ではなく、一緒に食べたいと思った。
…下心はない、けどそんないい子のけ者にするのは違う気がする。
「でも…、一人のほうが好きだったりするかな? んー」
ペアは今日で終わりだし、関わることもなくなるかもしれない、後悔ないようにしとかないと。
すこし、小走りで稲葉さんの下に向かう。
「!」キョロキョロ
あ、困ってるっぽい
「急にいなくなったからびっくりした」
「?」
「一緒に食べようよ」
「!」…コク
女性のことはよくわからないけど、とりあえず嫌がられてなさそうでよかった。
次いちゃつきます。
感想、ブックマーク、応援よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ