テスト2
「稲葉さん!? どうして」
『あ、その急にごめんなさい』
「それは大丈夫だけど…、どうして電話番号わかったの?」
『ごめんなさい、勝手に。 藤井君に聞きました』
将に聞いたのか。
「何かよう? あの後大丈夫だった?」
『はい、ホントにおかげさまで。 その、颯太君にどうしてもお礼が言いたくて』
「気にしないで、俺が勝手にしたことだし」
『それに私の所為で怪我をしたので…』
「いや、稲葉さんの所為じゃないから、もう大丈夫だって」
『その…だから、あの…』
用慮を得ない。
何か言いたいんだけど、恥ずかしいそんな感じが伝わってくる。
『腕どうでした?』
なるほど、心配してくれているんだ。
素直に稲葉さんに心配してもらえると嬉しい。
「うん、病院で軽いギブス? テーピングされたからペン持ちづらいけど、安静で大丈夫だって」
『そうですか…骨折とかじゃなくてよかったですけど、テスト大丈夫ですか?』
「そうそう、次のテストで頑張ろうかなって…」
正直諦めだったりする。
今回ダメでも留年することはないと思うし…最低限勉強して赤点だけは回避していこう。
『じゃぁ、その…私でよければ教えましょうか?』
「え?」
半分諦めの俺に降ってわいた幸運。
稲葉さんに声優を続けてほしくて、時間を割いたと言っても俺のためという意味合いのほうが強い。
推しに辞めてほしくないこと、俺がアンチに対して言い返すというアドバイスをしてしまったことの罪滅ぼしつもりだ。
それを稲葉さんは知らないのに善意で言ってくれているなら天使だ。
『い、いえ。 前回もそんなに順位は悪くなかったので…どうですか?』
恥ずかしさと慌てを感じる声から不安そうな声に変わった。
もちろん嬉しいし、テスト一回分を捨てるのにも不安はある。
「いいの?」
『はい、颯太君がよければ』
「それじゃお言葉に甘えて」
『はい! あ、颯太君明日は学校行きますか?』
「明日は安静にって病院でいわれてるから」
『私も今日のことがあって明日は休むつもりなので…その…一緒に勉強し、しませんか?』
「家に居なくていいの?」
『大丈夫じゃないですか?』
「いや、良いなら俺はいけるけど…」
『では場所は…颯太君家の近くがいいですよね?』
今日の稲葉さんはぐいぐい来る。
今日のことで責任を感じてるのかもしれない。
「どうして?」
『いえ、カフェだと学校に近いですし、腕が使い辛いので移動しづらいかなって』
相変わらずの気配りに感謝。
別に足に問題があるわけじゃないし、大丈夫だと思うけど、気を使ってくれるならありがたく受け取っておこう。
「俺の家の近く…家しかない?」
特に思いつく当てはない。
『颯太君の家が無理なら私の家でもいいですよ』
「…稲葉さんは俺の家でもいいの?」
『?? はい、問題はない…と思いますけど
私友達の家で勉強するのにすこし憧れがあったりするんです』えへ
純粋ピュアな稲葉さんには危険性が分からないのかも。
でもわざわざ言うのも意識してるみたいだし…いや意識してるんだけど。
「場所はわかる?」
『いえ、駅が一つ隣りってことだけしか』
「じゃぁ駅まで迎えに行くから」
『ありがとうございます』
通話が終わったのは時間を決め、雑談をした後だった。
ーー思いがけず、稲葉さんと一緒に勉強する約束をしてしまった。
それも学校をさぼって、二人で勉強をするなんて。
今から緊張してきた。
前回投稿した「side:稲葉さん」を消しました。
理由は最後までの分の稲葉さんの視点を書ききれそうにないこと、
完結に向けて、稲葉さんの視点を挟みたいことです。
ブックマーク、評価よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ




