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稲葉さんの秘密5

「私この公園好きなんですよ」

 二人で歩いて近くの公園までやって来た。

 その公園の散歩ルートの看板に従って歩いている。

「確かに雰囲気いいし、風が気持ちいね」

「…」コクコク

 上手く言葉にできないけど、公園は駅の近くで周りには高層の建物が囲っている。

 その中に木々が生い茂っていて、と言っても手入れされているて遊具なんかも置いてあった。

「稲葉さん、聞いてもいい?」

 心地のいい風が吹き抜ける。

 俺もそうだし、稲葉さんも。お互いに言いたいことがあるのに言えない、それを風が断ち切る。

「…」ふるふる

 ダメか…、やっぱり怒ってる?

「…私はどうすればよかったんでしょうか?」

 わざわざ口に出さなくても、稲葉さんは結ちゃんだったということだろう。

 その上での相談。二度目のチャンス。

「…昨日はごめん、俺の所為で」

「いえ…私がしたことなので、でも…」

「本当にごめん俺、子供みたいな意見だった」

 お互い無言のまま、時間が流れる。

「座りませんか?」

 公園を半周ぐらい回ったところで空いているベンチを見つけ、二人で座る。

「飲み物買ってくる、何がいい?」

「いえ、私は……お茶でおねがいします」

 断られかけたけど、空気を呼んでくれたみたい。

 すぐそこにあった自販機で自分の分とお茶を一本買って戻る。

「ありがとうございます」

「あ、冷たいのでよかった?」

「はい、大丈夫です」

 そういえばそういうところにも気を使っていたことを思い出し確認を取るも、問題ないようだ。

「…柏木君、私はどうすればよかったんでしょうか」

「結ちゃん」

「ひゃい!」

 言われてみればどうして確信を持てなかったのかってぐらい声が似ている。

 もちろん、地声と演技中は違う、それでも今みたいに驚いた時なんかは本人だ。

「ごめん、俺、本人に恥ずかしいこと言ってた」

「いえ…恥ずかしかったですけど、嬉しかったですよ?」ふふ

 本当に心から嬉しいと思っていると信じられるぐらいには純粋な笑顔。

「少し、お話を聞いてもらえますか?」

「うん」

 稲葉さんは飲み物を片手に、ゆっくりと話し始めた。

「私もともと、中学校に入ってすぐ、みんなが物心ついたぐらいで私の声が普通じゃないことに気づきだして…。

 友達もみんな離れていきました。

 すると別に面白いことも言えない、私はずっと一人でした。だから今まで友達が居なかったわけじゃないんですけど」

 困ったような苦笑いで言い辛いことを言ってくれた。

「だから友達に対してすごく間違った知識があったの?

 普通は友達でも男の子を部屋に招かないしね」

「…」コク…ぷいっ

 顔をそらされた。

 今では自覚があるみたいだ、あの時は本当に心臓が止まるかと思った。

「それで私、自分の声がトラウマだったんです。

 でもお母さんがネットで声優して見ないって始めたんですけど」

 ファンの中で俺だけ聞いたことのある結ちゃん誕生秘話。

「お母さんを責めるわけじゃないんですけど…。

 昔、業界でトラブルがあったらしくて…その人が娘の私のアンチで」

「だからいつも一定の人からアンチコメントが?」

「全部そうって言ったら調子に乗ってることになりますけど…、その人が悪いように広めているようで」

 つまり大体はあってるけど、一人もアンチが居ないというのは違うってことらしい。

 フォロー人数の割にアンチが多いと思っていた、その謎が解けた。

「トラウマを治すためにって始めた声優なんですけど…、私余計に落ち込んじゃって。

 そんな時トラブルがあったんです、依頼者の人ともめちゃって。

 たくさん文句や悪口言われて…もうやめようと思いました。

「え」

 それは本当に嫌だ、俺は夜も寝れないし、推しが急にいなくなるのは耐えられない。

「でも…柏木君と出会って。私が推しで好きだって言ってくれて…救われたんです」えへ

 俺は知らずのうちに推しの引退を止めていたらしい。

 あの時の俺、つい口を滑らせて素直に言いすぎたけど、ナイス。言われるとハズイけど。

「だから」

 稲葉さんはそこで一度区切った。

 何を言うのか、予想もつかない。

「一度私の心を救ってくれた柏木君だから一番に言おうと思いました」

 …予想がついた、ついてしまった。

 やめてほしい…言わないでほしい。

「私、もう声優を辞めようと思ってるんです…」

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