稲葉さんの秘密2
この間同様、時間帯にしては人の多い、カフェに来た。
「どうも」
案内され、稲葉さんはこの間と同じ反応を返してはいるが、表情は明るくないように見える。
「…」
席についても切り出しづらそうにしている。
「稲葉さん、折角来たし先に注文しようよ」
「そう…ですね」コク
そう言って力なく手に取ったメニューからこの間と同じ、キャラメルマキアートを注文した。
この間はメニューを見てわくわくしているのが伝わってきていたけど…今日は他には目もくれてない。
俺も前とは違う味のコーヒーを注文して終わった。
「…」
注文をみて少しはテンションを上げるかと思ったけど、そういうことはなかった。
「それで最近辛そうだけど…何かあった?」
この空気が続くのも重い、俺から声をかけ話を切り出してもらう。
「ごめんなさい、私が相談したいって言ったのに…」
「いや、大丈夫だから…ゆっくりでいいよ」
重い空気が場を支配している。
稲葉さんは間を開け、注文したものが届いた後、ぽつぽつと話し始めた。
「例えば…例えばですけど、柏木君が誰かに仕事を頼まれたとして、自分はその仕事をいつ通りにしたんです」
言葉が続けば続くほど、顔が俯いていく。
「でも、その頼んだ人が嫌がらせでその仕事をわざとミスにしてみんなに広められた時どうすればいいと思いますか?」
「…」
つまり、自分のしたことを誰かにミスにされて広められたってことだろう。
そんなこと許せるわけない、でも…どうするかと言われると難しい。
「それはもう広まっているの?」
「…」コク
もし、それを指摘したとして自分の味方になってくれる人が居ればいい。
でも、いなかったら…。
「訂正するとか…もう一度やって見せるとか?」
「…では、色々問題があってもう一度できなくて、自分が仕事をちゃんとしたことを証明できるとすればどうしますか?」
そんな状況は極限られている。
こんな滅多にないと思う話だけど…でも稲葉さんの表情は真剣そのものだ。
「なら…それを証明するのがいいんじゃない?」
「それが…いいと思いますか?」
「…うん」
正直、容量を得ない。
これは多分稲葉さんの今の状況だろう。
学校で?…いや違うと思う。となると…心あたりは一つしかない。
「そう…ですね、ありがとうございます」
本当にこれでよかったんだろうか…
実際俺なら許せない…けど、状況による対応があったんじゃないか?
「また何かあったらお願いしますね」
「…うん」
稲葉さんは泣くのを我慢した顔、でもさっきまでの顔より少し楽になったように見える表情をしていた。
自分の思考もまとめ切れずはっきりと意見も出てこない。
何も答えを出せないまま、いつも通りの会話を少ししたあと、コーヒーを飲みほした俺達は店を出た。
お金はお互い自分の分のを払った。
払うって言ったんだけど、悪いって断られてしまった。
「あの…最後にいいですか?」もじもじ
「どうしたの?」
カフェから出て駅に入る直前、稲葉さんはさっきまでとは違う、恥ずかしそうな俯きでもじもじしていた。
「まだ音声作品すきですか?」
「好きだよ」
俺のストレス発散方法はシチュボや音声作品、それは変わる気がしない。
「なら…今好きな声優さんは誰ですか?」
俯きを辞めて、目を合わせて来た。
期待するような…、覚悟を決めるような…。
「前も言ったよね? 結ちゃんが俺の推し」
そんな偶然ないとは思うけど稲葉さんが結ちゃんかもしれない…。
もしそうなら本人にこんなことを言うのは恥ずかしいことだけど。
ーー今俺が稲葉さんに出せる答えはこれだけ、だから目を合わせてはっきりと言った。
「そうですか、同じこと聞いてごめんなさい」
「ほら、電車来るし、帰ろうよ」
やっぱり恥ずかしくなって、すぐに目をそらした俺はやっぱり俺だった。
「…」コク
今回特にわかりにくかったと思いますここまで読んでいただきありがとうございます。
未熟な語彙力の所為です。ごめんなさい。
ですが颯太もまだ概要を把握しておらず、次から稲葉さんの今の状況の話も入れていきますが少し補足します。
大丈夫~って方は飛ばしてください。
アニメの声優は多分集まって、スタジオなんかで撮ったりするイメージです。
ですが同人や個人でゲームを作る場合、Vの方のシチュボなどは声優さんが依頼を受け、個人のスタジオ(家)で収録してもらうか、スタジオを借りて収録をして、それを編集して販売、公開となります。
その時、作品が売れず収益回収ができないと依頼者が一方的に声優さんの所為にしてトラブルとなることがあります。(色々な考えがあります)
今回はそれを題材にしています。
ここまで読んでいただき感謝です。




