友達2
「御馳走様」
他愛もない話をしつつ、二人とも食べ終えた。
昼はあと二十分ぐらいで終わる。
「昼からの授業なんだっけ」
「数学Iです」
「俺あれ全然わからないんだけど」
「…」コクコク
稲葉さんは授業中すごく真面目だから頭良んじゃないかな。
「そういえばもうすぐテスト?」
「そう…ですね」
少し考えればスケジュールが出てくるぐらいには把握しているらしい。
「そういえば、前言ってた本もう読みました?」
「ごめん、まだ買いに行けてなくて」
「そうですか…」
「でもお金ないから、今度でた新しいやつ買うのもありかなって」
お小遣い制の高校生には音声作品とラノベの両立は難しい。
「でもでお、すごくおもしろかったですよ!」
稲葉さん的にはすごくおすすめの作品らしい。
「そっか、そこまで言うなら買いにいくか…」
「はい! あ、私のやつ貸しましょうか?」
なるほど、話が合う子がいると貸し借りができるのか。
でも本が汚れたりとかあるし、いいのかな?
「すごく嬉しいけど、いいの?」
「この間のお礼ってことで」
「ありがとう。 あ、でも明日土曜だから月曜になるのか」
「え、それって…。今日、家まで取りに来ますか?」
「へ」
これは今日ほしいって俺が催促した形になってしまったかも…
「ごめん、催促したいわけじゃなくて…その」
「お母さんも一度来てほしいっていってましたし、いい…と思います」
「それは…」
行きたくないとかではなく、これあれだ、稲葉さんは男女ではなく、友達として純粋に言ってくれてる。
リアルに興味ないとは言いつつも二次元の女の子が好きなわけで、意識するのは許してほしい。
「あ、ごめんなさい。 私友達との距離とかが分らなくて」しゅん…
俺が悩んでいるのを見て何かを察したようだ。
落ち込んでいる稲葉さんを置いて何だけど背中にすごい視線を感じる。
『ほら、行けー』『意気地なしー』
後ろで委員長と黒板係の林さんが聞き耳を立てて、小さい声で何か言ってる。
「あー、今日行っても迷惑じゃない?」
「…」コク
「なら今日取りに行ってもいい?」
「…」コクコクコクコク
しゅんとしていた表情から一度顔を上げて驚きを見せたあと俯いて嬉しそうに微笑んだあと、小刻みに肯定を返してくれた。
本当に喜怒哀楽がわかり安すぎると思う。
『もっと押せー』『頑張れー』
後ろから何か聞こえるけどすべて無視する。
「そういえば昨日お母さんと話したんだけど…」
「その…ごめんなさい。 お母さん思い込み激しいところがあって」
「先生に呼び出されて稲葉さんのお母さんが来てるって言われてびっくりした」
「ふふ、病院から帰ってちゃんと説明したら謝りたいって」
手を口元にもっていって上品に笑った。
「そうそう、急に謝られてびっくりしたよ」
稲葉さんはやっぱり話すのが好きだって感じた。
……
…
「颯太いつの間にあんなに仲良くなったんだ?」
「え?」
「一緒に弁当食べるほど仲良かったっけ?」
二人のお弁当タイムを終え席に戻ると、食堂から帰ってきていた将と司に見られていたようだ。
「まぁ、それなりに」
「付き合ってるのか? 羨ましいことで」
「友達? 知り合いぐらいだと思うけど…」
今日一緒に弁当を食べた以外は会えば話すって程度だったから友達よりも知り合いってのが近いと思う。
「またまた…あんなに仲良さそうにしてたのに」
「あんな稲葉さん、多分誰も見たことないぞ」
「…そういえば将また告白されたらしいじゃん」
必殺、話そらし。
まぁ気になってた話なのは事実だけど。
「俺は…そういうのは部活が終わってからでいいや」
「別にいいとおもうけど」
「部活に集中したいから」
「それなのに羨ましいの?」
「そりゃそうだろ。 なぁ俺のことより、今日どっか遊びに行かね?」
嫌な話題だったのかもしれない。
「僕は少しなら行けるよ」
今日に限って、将の部活がない日だったみたいだ。
「ごめん、今日は用事があるから」
「颯太に予定って…」
中学からの親友、将は俺に平日予定がなく、家でアニメかラノベ、誘われれば行くということを知っている。
「司は用事か?」
「夕方からバンドの練習で」
「颯太は暇だよな?」
「いや、予定があって」
「嘘だろ?」
「本当だって、稲葉さんの家まで本借りにいくから」
「だからいつからそんなに仲良くなったんだよ」
「いつも話しているのは知ってたけど、そこまでだったなんて」
「いや、まぁ、成り行きでさっき決まったことだけど」
「颯太が先に大人になる?」
「バカ」
思春期のバカを黙れせて次の授業の準備を始めた。
……
…
終わったー。
昼飯あとの眠気に耐え、授業の終わりの挨拶をする。
稲葉さんの家に行くのは緊張するけど、別に家に入るわけじゃないと思うし。
変に気する方が変なので、リラックスしていく。
「…」
「あ、稲葉さん」
多分いつも整頓ができているから片付けも早いんだろう、もう荷物を持って俺のとこまで来ていた。
急いで片付けを済ませる。
「ごめん、待たせて」
「行きましょう」コク
すこし緊張してる?
「今日はお母さんいるの?」
「はい、昼からいるらしいので」
小声だけど歩きながら話している。
時々駅から学校まで一緒にくるし、慣れたのかも。
「じゃあな。 颯太、俺ら二人で行ってくるわ」
「またね」
「また明日~」
将と司は駅の近くにできたカフェに行くらしい。
「約束してたなら…」
「ううん、無いよ。 大丈夫」
心配そうに言われると困る、俺もあの本は注目してたから読みたいし、それに先に約束してたの稲葉さんだったし。
読めるなら早く読みたい、楽しみだ。
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