友達
昨日も結局疲れて本屋に行は行かなかった。
早く読んで稲葉さんと話したい気持ちはあるし、今日ぐらい行こうとか、でもお金がないし次の作品をまってもいい。
周りにオタクの仲間がおらずそういう話をしたことがない俺にとって、好きなことを話せる時間がすごく楽しい。
もちろんキワドイ表現の部分はなるべく言わないようにして、空気を保っている。
「よっ、将、司」
「おはよう、颯太」
「おはよう」
朝の挨拶をして教室に入る。
「…おはよう」
「!!」
入った直後、女の子の挨拶の声が聞こえた。
もしかして…
「おはよー」
…俺にではなかったみたいだ。振り向かなくてよかった~。
教室中を見ても稲葉さんはまだ来てなかった。
割と時間ギリギリにも関わらずいない。
「今日も休みかな…」
諦めかけた時、教室のドアに手が掛けられ開くのがわかった。
朝のショートホームルームの時間だしな…
「…」
そう思いつつも期待しているとドアが開き、トコトコと無言で自分の席に着く、黒髪のミディアムぐらいの女の子。
「よかった」
クラスの男子にも数名、安心したような表情を浮かべている人がいる。気がある連中かもしれない。
でもそいつらも髪を括ってないのを見て首をかしげている人が多い。
確かに括った髪型が似合いすぎているのもあるけど…こいつらは外見しか見ていないんだな。
「ほら、席付けー」
俺が稲葉さんに話かけるか迷い始めたタイミングで池田が教室に来た。
話しかけるのは昼休みになりそうだ。
俺は男子の好意の視線を見て、動揺している二人がいるのを見逃していた……。
……
…
本いつ買いに行こうかなーって考えてたらいつの間にかお昼のチャイムが鳴った。
授業担当の先生も時計を見てなかったようで急いで授業を終わる。
「すぅ~はぁ~」
深く深呼吸をすると疲れが取れる気がするのは気のせいじゃないはず…。
「颯太今日も弁当か?」
「いつも通り」
カバンから弁当を取り出して見せる。
「そっか、それなら行ってくるよ」
「あとでな」
将と司は食堂に行くのがあたり前になってきている。
そんなことよりもお腹がすいた…。
「そういえば…」
稲葉さんはお昼どうしてるんだろ。
突然気になり、稲葉さんの席の方を見るとまさに弁当箱を開けるところだった。
「…」ガクッ
嫌いなおかずがあったみたいだ、わかりやすい。
「…」!?
それが面白くて笑っているとこっちに気づき、驚いている。
目が合ったので手を振ると手招きが帰って来た。
「その…この間はごめんなさい。 ホントにひどいこと言って」
「そんなことより足はどう?」
二日前にも謝られているし、別に怒っているわけでもない。
「はい…学校まではお母さんに送ってもらってるので、松葉杖なくても走ったりしなければ大丈夫だそうです」
「そっか、それは良かった」
弁当も食べたいけど、聞きたいこともあって、稲葉さんと俺の机をキョロキョロしてしまった。
「あ、その…一緒に食べませんか?」
俺のキョロキョロを見て言ったんだったら、すごい気づかいだ。
恥ずかしそうに、でも覚悟を決めたような雰囲気はお母さんにどこか似ていると思った。
「稲葉さんが嫌じゃないなら…」
「…」コクコク
女子とそういう経験はないけど、いいと言ってくれているならお言葉に甘える。
弁当を持ってきて、稲葉さんの前の席を借りて座る。
「机合わせてもいい?」
一緒に食べるんだから机を合わせて、向かい合ったほうがいい。
「もぐもぐ」コク
その間に稲葉さんは弁当に手を付けていたので急いで食べる準備をする。
対面に座って、弁当を開ける。
「…」ジー
「そういえば何か嫌いな物が入ってたんじゃない?」
「…」コク「揚げ物が…苦手で」
俺は基本肉系は好きなので、見ていて食べたくなった。
「なら俺のおかずと交換してよ」
「…」コクコク
「どれがいい?」
「じゃぁ…トマト…いえ、卵焼きを…」
「これでいいの?」
俺は弁当の卵焼きは好きだが、揚げ物の対価だと思えばラッキーだ。
「好きなんです」
「あとトマトもいる?」
「ごめんなさい」ぷるぷる
トマトと悩んだことが恥ずかしかったのか、照れながら謝罪、でも喜んでくれてるようだしよかった。
俺は別に野菜が好きなわけではないので喜んでくれるとトマトも喜ぶと思う。
「これどうぞ」
稲葉さんが箸で俺の弁当に入れてくれた。
「ありがとう。 じゃぁ、これ」
俺も流れで卵とトマトを弁当に入れてあげる。
「お箸上手いんですね」
「まぁ、親が箸にはうるさかったから。 最近はそうでもないんだけど」
「…あ」じー
稲葉さんが俺の端をじっと見つめて固まっている。
「あ」
確かに俺の箸はまずかったかも。
「でも、俺まだ箸使ってないから、もし嫌なら…」
使ってないのに嫌って言われると…
「い、いえ。 いやとかじゃないです。 潔癖とかでもないです」
ふぅ~、よかった。
髪とかもきれいにしていて潔癖なところがあるのかと思ってたけど違うらしい。
「あ、私もお箸…」
その言葉の後に一気に顔が赤くなった。
「あの…ごめんなさい」
真っ白な肌が赤くなって、その後すぐに青く泣きそうになった。
先に弁当を食べ始めていたからもう箸を使っていたことを気にしていたんだと思う。
「中学生じゃないし、それより…いただきます」
「…」ほっ
俺の誤魔化しで安心してくれたようだけど…正直味が分らないほど心臓がバクバクしている。
「あの…私、友達とこうやってご飯食べるの初めてです」
まだ声は小さく、教室中というよりは俺にだけ聞こえるぐらいの小ささでそんなこといわれると…。
自分でも顔が赤くなるのがわかる。
「あ、私」あわあわ
「また食べようよ」
「…はい!」コクコク
お互い、今の状況が恥ずかしくて変な空気にはなったけど…元気な稲葉さんが一番いいと思う。
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